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短編

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#結婚

続・札幌でサッポロ一番を食べる ~彼女と過ごした奇跡の三日間

一日目  こうして僕はまた北海道に帰ってきた。勿論また札幌でサッポロ一番を食べるためだ。…

秋(空き)時間
8か月前
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神のイタズラ

 液晶画面の文章を何度も読み返した。地下鉄の入り口に向かって歩きながら、そのどこにでも強…

9

偽りの自伝

 花巻健は今自伝を書いていた。しかしその伝記は花巻自身のリアルな半生ではなく、彼がこうな…

秋(空き)時間
2か月前
16

初夜

「やっぱり新婚旅行熱海に選んでよかったわ。友達や同僚はなんで熱海なんて笑ってたけど、やっ…

秋(空き)時間
4か月前
8

先輩

 私は高校の後輩と結婚した。彼は私が二年の時私が所属していた映画研究部に新人として入って…

秋(空き)時間
4か月前
14

ワンシーンワンカット

「一旦シーン14の撮影を中断します。撮影再開は一時間後になりますのでそれまでにスタジオに戻…

秋(空き)時間
5か月前
12

婚約指輪 〜彼女に婚約指輪をあげたらいきなりうどんに落とされた話

 これで全てが決まる。僕はジャケットのポケットから、ずっと弄っていた箱を掴んだ。もうこのタイミングしかない。この小箱の中には僕がこの間大金をはたいて買ったものが収められている。いや、大金っていったって今から手に入れるものに比べたら大したものじゃない。だって僕は今日彼女にプロポーズしようとしているんだから。たしかに別に今日でなくてもいいという思いは何度もかすめた。彼女とはいつでも逢えるし、明日でも明後日でもいいような気がする。だけどそうやってズルズルと決断を引き伸ばしにしていた

メロドラマ

 時計の針を逆回転させるように、落ちた砂を吸い上げるようにもう一度あの頃に帰れたらなんて…

秋(空き)時間
6か月前
13

続々、札幌でサッポロ一番を食べる! ~僕とサッポロ一番のハネムーン

 三度目の札幌だった。九月のシルバーウィーク。白髪の一本も生えていない僕はサッポロ一番を…

秋(空き)時間
6か月前
19

帰還

 帰還は必ずしも喜ばしく感動的なものばかりではない。中には悲しいほどに悲劇的なものもある…

秋(空き)時間
6か月前
18

鈴木さんと佐藤さんの結婚

 2025年、長年苗字ランキングのトップだった佐藤がとうとう鈴木に追いつかれた。このニュース…

秋(空き)時間
6か月前
16

うどんについてぼくらが語ること

 別に大した用事はなかった。ただ無性にアイツに会いたくなっただけだ。女じゃなくてただのバ…

秋(空き)時間
8か月前
29

映画のような人生

 長いエンドロールを観ながら僕はひたすら感激に咽んでいた。いい映画だった。この映画は二人…

秋(空き)時間
8か月前
27

命懸けの第九

 現代最強のシンフォニストと呼ばれる作曲家大来響は、長い苦闘の末とうとう交響曲第九番を完成させた。彼は交響曲第一番で華々しくデビューしてから、現代の作曲家としては全く異例な事であるが、交響曲だけをひたすら書き続けた。その交響曲の大半はベートーヴェンやマーラーの向こうを張った大規模なものであり、聴衆はとうとう我が国から偉大なる交響曲が生まれたと彼とその交響曲を絶賛した。人はCMや映画のサントラどころかコンチェルトや管弦楽曲すら書かぬ大来を現代のマーラーと称えた。大来は世間が自分