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読書感想文「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」町田その子

こんばんは。

今日読み終えた本の感想文です。※ネタバレあります


泣ける系の本が読みたくて、購入しました。
短編集ですが、登場人物や舞台となる街などが所々リンクしています。

どのお話も、登場人物の色々な葛藤が描かれていて、なんとかもがいて生きていこうとする話でした。
どれもとても良かったんですが、涙腺刺激されたのは
「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」と「海になる」でした!


「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」

内気でいじめられがちな孫を守るためにいじめた子を怒鳴り散らしたり
育児ノイローゼのあまり晴子を殺そうとした母を追い出す時、鎌を持って追いかけ回すなど…ちょっと過激なおばあちゃん。

周りから見たら近寄りがたいし嫌われる存在だったかもしれないけど
おばあちゃんなりのやり方で孫を守ろうという深い愛情を感じる。
そしてそんなおばあちゃんが認知症になってしまい、
施設に入所することに…

晴子が目の前にいてもわからなくて、当の晴子に向かって
「晴子は渡さない!」と怒鳴った、というエピソードが切なすぎた。

認知症になるってことはある意味、死んでしまうよりも悲しい面もあると思う。
大切な人であっても、それが誰だかわからなくなる…それでも大事にしていた強い想いだけは残るんですよね。
そして晴子父は晴子をおばあちゃんの妹に預けることにして、自分は育児放棄。
遠くの街に一人きりで引っ越さなくちゃいけなくなることになって、
内気な性格の晴子が変わろうとしていじめっ子に立ち向かって行くんですよね。おばあちゃんの愛情があったからこそ強くあろうと思えたんだろうと思います。晴子はおばあちゃんの愛情をしっかり受け止めておりました。
中学生とはいえまだ幼いのに、おかれた環境で踏ん張って前を向く姿に心動かされます。
ちなみに同じ理由で魔女の宅急便も毎回見るたび泣いてます。


「海になる」

出だしの見開き1ページで、3回流産した後の妊娠中、その子も死産してしまうという内容から始まる本編。
妊娠中なのでちょっと内容的に避けたいな、って思ってしまったんですが
結果読んで良かった…。

特にDV夫の首を絞めて殺そうとする両手に脈をしっかり感じて、
死産した赤ちゃんに与えたくても与えられなかったものを
自分の手で奪ってはいけないと感じ思いとどまるところが胸に刺さった。

どん底の状態から、清音と出会って、夢だった子供を持つことは絶たれてしまったけど、命の誕生を助ける助産師になって
自分が取り上げた子供達に囲まれて生きて行くという結末にかけての後半は涙止まらずでした。


町田その子さんの本、感情の描写が丁寧でとても好きです。他にも読んでみたいと思いました!









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