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【脊柱はどのようにして安定性が保たれているか?】

脊柱は骨盤・仙骨の上に、腰椎、胸椎、頸椎と合計24個の背骨を積み重ね、さらに頭蓋骨を乗せています。まるで積み木を重ねたような状態ですが、脊柱と積み木には大きな相違点が5つあります。

⚪︎第1の相違点『椎間板軟骨』

ひとつひとつの背骨の間にはこれをつなぐ軟骨が挟まっています。これを椎間板軟骨といい、これはさらに線維輪と髄核に分かれます。
正常では水分を多量(80%)に含み、体重を受け止め、水枕のようなクッション作用があります。
また前屈、後屈、側屈、回旋などあらゆる方向の動きによる、引っ張り、圧縮、剪断などの力に対応して、椎体と椎体をピタリと接着しています。
したがって脊柱が1本の棒のような動きではなく、鞭のようなしなやかな動きをすることを可能にしています。
このように椎間板軟骨は脊柱の運動性と安定性の基本になります。

⚪︎第2の相違点『椎間関節』

椎体の後方にあって、背骨と背骨をつないでいます。
もしこれがなければ、脊柱は自由に、いろいろな方向に牛の尻尾のように動くことができます。
しかし実際には、腰椎はこの関節のため主に前後運動が許され、側屈や回旋はかなり制限されています。
このように、椎間関節には運動の方向をチェックする舵の役目があります。
また、椎間板軟骨のようなクッション作用はないけれど、体重を受け止める作用もあります。
下部腰椎ではこの作用がとくに大きく、多ければ3:7の割合で椎間板と共同して椎体をつなぎ止めながら運動をコントロールする役割があり、これらを一括し脊柱機能運動単位ともよびます。

⚪︎第3の相違点『脊柱靱帯』

背骨と背骨をつなぎ止める帯のようなものです。
もとの長さの1.2倍程度までは伸び縮みします。
これ以上の伸びに対しては強力なブレーキとして働きます。
したがって靭帯は脊柱の動く範囲をチェックし、この範囲内での働きにはゴムのようにスムーズでしなやかな運動を許し、これ以上の負荷に対しては鋼のように強力に背骨をつなぎ止めます。

⚪︎第4の相違点
『脊柱の生理的彎曲』と『剪力』

脊柱は単に真っ直ぐの棒のように伸びているのではなく、彎曲しながらつながっています。
つまり、頚椎と腰椎は前方凸(前彎)、その間の胸椎は後方凸(後彎)の彎曲を形成し、全体としてS字状につながっています。
これは、霊長類にみられる特徴ですが、ゴリラではみられません。
また人間でも赤ちゃんにはみられず、歩き始めてから初めてこの彎曲が完成します。

このため立っている状態では第3腰椎は水平ですが、第5腰椎は水平と30°の傾きをなし、絶えず滑り落ちようとする力(剪力)が作用しています。これはその局所では非常に不安定な状態です。
これを補うために椎間板軟骨や椎間関節は大切な働きをし、さらに、第5腰椎と骨盤の間には特別に靭帯が発達しています。(腸腰靱帯)

⚪︎第5の相違点『いろいろな突起』

背骨には主に椎体より後方にいろいろな突起があります。これは柱にロープを結びつけるための留め金のような働きがあり、ここに生体では筋肉がつきます。
この筋肉は脊柱を思い通りに動かす動力源であるとともに、脊柱を挟んで互いに反対側にある筋(拮抗筋)を同時に働かせて、脊柱を安定させます。


脊柱きは筋肉が多方向についています。
これが歪みを抑える外的安定力を脊柱に与えているわけです。

このような脊柱に対する筋肉の働きは、海に浮かぶヨットに例えることができます。
すなわち筋肉は脊柱に対し帆柱を支えるロープと同じ役割をして大きな安定力を与えています。

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