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strange days

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2023年7月の記事一覧

猛暑、忘却、小さな四角

季節のせいにした切なさは、いつしか猛暑にかき消された。暑すぎて止まった時計。何が起きるか分からずに、実感もなく、海の中のゴミのように彷徨っていた。慰められて知る現実。分からないふりをしていた。なんとなく日付に丸をつけるけど、思い出せない。本当は、全てのことを覚えていたいはずだった。紙の上に小さな四角があるだけだ。

環状線

家の近くに環状線が通っている
こんな夜中にだれかがどこかから
どこか遠くへ移動している

どこから来て、どこへ行ってしまうのだろう
ここに立っているわたしは途方もなくちっぽけで
その世界からは分断されているようだ
それは星空を見上げる感覚にも似ていた

ぼんやりとそんなことを
一瞬考えるともなく考えた時
小さい頃に見た不安な夢みたいに
漠然と悲しくなってしまうのだった

明け方

揺れていた
早朝に微かに揺れて
それからずっと揺れていた

見ることのない朝焼け
僅かに何かを予感した
足りない何かを探してた

どうせ眠れないからコーヒーを淹れて
ぼんやりと外を眺めた
あの朝と同じ匂いがした

祖母が亡くなる夢を見た
夢に練習させられている
どうか置いていかないで