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strange days

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2023年5月の記事一覧

空虚

空虚なことばっかり書いてたらだんだん本当に自分が空っぽの存在に思えてきた。関わる人も行く場所も全て存在しないみたい。どれだけ自分が本当であることができるか、そしてそれを自覚できるのか。生きているのに生きていないみたいな感覚になる。どうせ最初から何もなかったみたいな感じがする。数年の記憶が地続きじゃなくて、強制的に次の場所へと移っていくような、へんな時間を過ごした。生きている実感がものすごくあるよう

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日没

空想と本当が交差して、いよいよ季節が変わろうとした。見ないふりをしたメッセージは消されていた。消せるんだ。新月はどこを探しても見つからなくて、見えない場所に存在するだけだ。眩しすぎた半月前の満月が遠い昔のようだった。近くにいないとどこにもいない気がして嫌だった。絆創膏を剥がした。痛かった。陽が沈む頃、帰ろうか。そう言って。大人になったのに別れ際と夕暮れに慣れないままでいた。

空想

鬱陶しい人混みを抜け、誰もいない道を探した。どこまでも本当で、同時にどこまでも空想だったこと。時が経つほどその感覚は強まった。

時々誰かの空想を生きている感覚になる。私は私の中にしかいない。だけど誰しもが他の誰かの中にも存在している。それは恐ろしいことに思えた。

満ちていく蠍座の月が全てを見透かすようだった。人がまばらに通り過ぎる。季節が変わった。風がそよいだ。分からなかった。それで良かった。