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2023年9月の記事一覧
灰色の建造物 (短歌)
悲しみは夢に出てきた灰色の
大きな建造物に似てる
そこにいていないみたいな温もりを
言葉の代わりに覚えていたい
結局は正義が曲がる感覚と引き換えに欲しいものなんてない
新月が見えない (短歌)
昼下がり 一日二食で十分と
残したコーヒー また口つけて
目覚めるとやっぱり今のままだった
夢に復習させられている
新月が見えない きみの不在に似てる
ないものはないとばかり思う
耳鳴りは ラ (短歌)
家電屋のエスカレーター映る姿
存在すらも割と曖昧
耳鳴りはいつもラだった
あの時も大音量で鳴っていたから
暇だから頭の中で掛け算の筆算をした
酔いが回った