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短歌

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2023年9月の記事一覧

灰色の建造物 (短歌)

悲しみは夢に出てきた灰色の
大きな建造物に似てる

そこにいていないみたいな温もりを
言葉の代わりに覚えていたい

結局は正義が曲がる感覚と引き換えに欲しいものなんてない

死んでいく(短歌)

人生に固執しているしつこさで
ことばを残す 写真をのこす

捨てたかな 捨ててなかった 忘れてた
忘れてなかった 忘れていいよ

ゆっくりと死んでいってる実感と
そして今にも枯れそうな花

nattroxx

何故か赤 (短歌)

人違いに人違いを重ねてる
確かなことが何もない気分

引くくらい低い 見えないくらい暗い
曖昧さすら助けてくれない

東京の夜空の色は何故か赤
色の理由は誰も知らない

新月が見えない (短歌)

昼下がり 一日二食で十分と
残したコーヒー また口つけて

目覚めるとやっぱり今のままだった
夢に復習させられている

新月が見えない きみの不在に似てる
ないものはないとばかり思う

耳鳴りは ラ (短歌)

家電屋のエスカレーター映る姿
存在すらも割と曖昧

耳鳴りはいつもラだった
あの時も大音量で鳴っていたから

暇だから頭の中で掛け算の筆算をした
酔いが回った