【推し物語】アウトサイダー・啓之輔選手へのラブレター
noteというのは他のSNSに比べ「ふぁぼ」を貰いにくい媒体だと思う。というか、私はしにくい。イイネ!と思う前に「素人JDがこんなすげぇ斬り口で書きやがって、畜生!」とゴリゴリにムカついてしまうきらいがあるからだ。完全に嫉妬である。評価をされなければ当然ヤル気も起きないが、書き物などという陰湿な趣味を持つ人間などおおむねそんなものであろう。
その性質上「全国の書き物自慢集まれ」の様相を呈するnoteは文章界の「アウトサイダー」だと思う。
「アウトサイダー」というのは、伝説のプロレスラー前田日明氏が「全国の不良、集まれ」のスローガンのもと開催したアマチュア総合格闘技大会である。その名に恥じず、全身カラフルなお絵描きだらけの青年達がバチボコに殴り合う大会だ。「不良の更生」をコンセプトにしていたらしいが、私が見る限り更生しようとして出場していた人はあんまりいない。
当然観客もその手の方々が多かったし、野次どころか負けた選手のチームメンバー(50人くらいいる)がリングに上がって大乱闘スマッシュブラザーズを繰り広げることもあった。あの前田日明が学級崩壊した教室の担任よろしくやめなさいやめなさいと困惑していた次第である。
そんな物を、当時まだ目くそがオカズ、鼻くそがメインだった幼稚園児(22歳)の私は観に行っていた。大会の客層があまりにもヤバいため、アウトサイダーの客席入場にはボディチェックもあったが、なぜか私だけはリュックの中すら見られなかった。年確くらいはされたかもしれない。イカツいバウンサーのおじさんに「気をつけてね汗」と気を遣わせていたくらいだが、そんな環境にわざわざ身をおいてまで、1万円払い詳しくもないアマチュア格闘技を観に行ったのは何故か。
「イケメンの裸が見たかった」からだ。
よくぞそこで「ホストクラブ」などにハマらずスポーツ観戦という健全(?)な趣味に走ってくれたと過去の自分に拍手喝采だし、実際イケメンの裸(遠目から見ると完全に着衣の選手も多かったが)は胃もたれするほど見られたので良かった。味をしめて通算10回は通った。金額にすると10万円なのでホストクラブなら2回で飛ぶ。アウトサイダーで本当に良かった。
ところで、その中に一際目を惹くスター選手の1人が「吉永啓之輔」選手であった。
現在は「啓之輔」と改名していらっしゃるが、この人は「カレンダー」とかが作られるくらいの人気だった。顔面偏差値の高さは勿論のこと、手足が長くスタイルも滅茶苦茶良い。御多分に漏れず全身和彫りの入墨だらけだったが、もともと彫り師志望とのことで、当然といえば当然だろう。
その剣呑な三白眼で相手を睥睨し、長い手足で寝技に持ち込み蛇のように絞め倒す。ファンの女性たちは黄色い大絶叫であったが、私はひとり(尊い……)と心のキンブレをぶん回していた。あまりの静けさに周囲の観客も別種の恐怖を隠しきれなかったことだろう。ちなみに観客の方々、見た目はイカツイが良い人も多かった。スター選手の入場の折、その応援団が、周りにチンコ型の風船(野球の試合でもよく見られるあれ)を配って飛ばしてもらうことがある。私はそれを何処かしらから貰うたびに自力で膨らますことができず、すると、近くの席のお兄ちゃん(パンチパーマ)が声をかけてきて膨らませてくれたりするのだ。もしや私がイケイケギャルとかであればそこからナンパに発展した可能性もあるが、それは当然皆無であった。
啓之輔選手をはじめ、RIZINで活躍中の朝倉未来・海兄弟など、数多くのスター選手を排出したアウトサイダーだが、やがてその人気も沈静化し、啓之輔選手は現役で各地の試合に出場しつつ、格闘技ジムの会長になった。歳をとってもその風格は健在。あまり笑顔は見せず、無口でクールな感じもまた渋い。
そんな啓之輔選手、数ヶ月前に、なぜか「ふわっち」をはじめた。
「ふわっち」。ツイキャスとか、ニコ生、イチナナといった配信アプリの類である。当然30分か1時間、顔出しトークで繋がなければならない。
無口でクールって、今、言ったジャァン!!配信アプリの類を見た事のない人も多いと思うが、入りは大体YouTuberっぽい感じである。「はいっ、どーもね!うんこ大名行列です!笑 あっアイテムありがとうございます〜!」とイケイケで攻めなくてはならない上、視聴者のコメントにあわせてアドリブを喋り続けなくてはならない。しかも多少偏見が入るが、ふわっちは配信アプリの中でもダントツにチャラいやつだ。まずあの端正な唇から「ふわっち」などというふざけた単語が発せられることが許せねぇと悲しんだ(キモイ)。
私は完全に老婆心から、啓之輔選手の初配信を観た。
氏は、画面をジッ………と眺めつつ、ほぼ、無言だった。マジで「こんにちはァ」「うん」とかしか言わなかった。
時々、可愛がっている後輩(のちにジムの金庫から売上金をパクられる)と2人でトークすることもあったが、まず盛り上がることはなかった。こちらも気を遣って「昨日の(所属ジムの選手名)の試合はどうでしたか?」等、広がりやすそうな質問を投げたりするが(この行為も我ながら少し気持ちが悪い)「あいつ?そうねー……………頑張ったね…………入場がね……………、面倒臭いね…………」以上。マジでこんな感じである。
しかし、だ。氏は何故かこのふわっちにハマったのか、またはジムや主催大会の宣伝のために頑張っていらしたのか、配信を継続し続けたのである。1日に3本配信する日もあった。元々、アウトサイダーの看板選手であった頃もアメブロを1ヶ月のエントリ数150本とか書いていたツワモノである、凝り性なのだろうか。とにかく継続は力なり、アンニュイな雰囲気はそのままに、トークはどんどん軽快になっていった。
時々「お風呂配信」とか、サービスとしか言えないような配信もしてくれる。「全身浴、どのくらいの時間やるんですか?」などのキモい質問にも「今日はァ……1時間くらいかな。1時間。付き合ってくれんのか?(ニヒルな微笑)」など完全にコツを掴んでくれやがっている。元々、格闘技に関しても、年齢一桁からはじめる選手も多い中、20歳近くなってからのスタートだというから、相当な努力をされていらしたのだろう。最近は配信者ランキングでも常に上位を獲っている。これからも尊び続けたい次第だ。あと、氏に倣って、私もnoteの継続を頑張りたい。明確なメリットが見えなくとも、継続していくことで何らかのビジョンが拓けてくることを彼から学んだ。
また、全く関係ないことだが先程、朝倉兄弟の名前を出していて気づいてしまった。私は朝倉兄弟の兄、未来選手をテレビ画面越しに「みくるちゃーん!」「お兄ちゃん」などと呼んでしまうことがままある。これは私が散々disってきた「金属バットを金属ちゃんと呼ぶJD」と全く同じ現象だ。アラサーだからもっとタチが悪い。同族嫌悪とは恐ろしい。改めたいと思う。朝倉!だ。朝倉ァー!そして何より、け、け、啓之輔ェーー!!!!!!!!担当カラーだけ教えて頂けませんかァァァア!!!?
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