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田舎エミネムの合コン。
二十歳前後の冬。
私は若さに任せ、
毎晩爆裂にお酒を飲んでいました。
スポーツ上がりの人間でしたので、
人並み以上には飲めましたが、
性格通りしっぽり派。
もっさい毎日の私。
初めて合コンに誘ってもらえます。
全身にみなぎる野生のENERGY。
早速頭の中では、
戦略シミュレーションが始まります。
…
…
…
よしっ。
「まずはバイト代を切り崩して、ブランド服を買いに行こう!!」
まずは見た目から自信をつける作戦です。
あれもこれも高いですが、そんなことはもう関係ありません。
合コンには修羅が集まると聞いています。
そして、
雑誌に忠実なB-BOY君誕生。
心も体もエミネムです。
マムズスパゲティです。
![](https://assets.st-note.com/img/1704940047465-YxObEOklWy.jpg?width=800)
~
そんなこんなで当日を迎えたエミネム君。
怖いし、胃も痛いです。
中身と外見が乖離しすぎて、今にも引き裂かれそうです。
先に友達の男性陣が座って待っていました。
私含め全員が見様見真似ファッションに
身を包み、
「俺イケルぜ!」
と口を揃えて言います。
ですが、
自分たちではもうわかっていました。
知らない女性陣登場にビビり散らかしていることに…
![](https://assets.st-note.com/img/1705807807071-QIUozrJgms.jpg)
~
「こんばんは~。」
女子軍登場。
上から下、左から右へと
品定めタイムが始まりました。
そして静かに、
膨れ上がった妄想が、
よりリアルなものへと小さく小さく
アジャストしながら萎んでいく表情が見て取れました。
女の子達も僕らと同じような、
滲みでるかっぺの合コン一年生感。
互角の合戦。
4対4のグループ面接来たのかと思うほどの、
ぎこちないやり取り。
「私お酒強いですよ~」
そうアピールをしては、
ジュース酒を飲み干し、頑張って中身のない話をしていました。
全員の背中が煤けている。
そこにだけ、不思議な一体感がありました。
私も、多分周りももっと
合コンとは楽しいものであり、
若者にとって最高の遊びだと、
そう思っていたに違いありません。
そんなのは、幻の都でした。
知らない者同士が急に向かい合って、
酒飲んで話して面白いはずがありません。
頑張ってためたバイト代を切り崩して、
高い服や靴を買ってみてくれ良くして、
薄々のメッキ見せあって…
…
…
悲しすぎるよっ!!
悲しすぎるよぉ。
そう私は自分を責めながら、
一人しっぽりモードに入っていっていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1705382315981-mfmTMCIbWT.jpg?width=800)
~
半日座っていたように感じましたが、
まだ三時間程しか経っていませんでした。
無理して飲んでいたのでしょう。
皆顔色が悪く、具合悪そうにつぶれていました。
もう帰ろう。
高い勉強代だったな。
そう店を後にして解散した後、
一人酔って歩けなくなった女の子がいました。
帰りが同じ方向だったため、
介抱しながら帰ることに。
動かない彼女を見て
別の女の子が言いました。
「おんぶして家まで運んであげて。」
言われるがままに、
女の子を背負って歩き出す私。
(女の子っていうのは意外と軽いんだな…)
一歩また一歩と踏み出していきます。
何だろう…
徐々に芽生える不思議な気持ち…
これは…
「合コンって楽しいゾ!」
そうです、私は底の浅い人間です。
極寒の真夜中に、彼女の吐息が首筋に当たります。
それはとても小さな呼吸でしたが、
少しずつ背中全体をも温めてくれました。
~
なんとか家まで送り届けた後、
まんざらでもない顔で一人帰路につく私。
いいこともあるもんだな。
また一つ勉強になったよ。
しかし、なんか
さっきから臭いな…
自分から…?
背中が異常に冷たい…
(うっわ…)
首からお尻にかけて彼女の嘔吐物で
ひたひたの私。
込み上げる貰いゲ〇を我慢して、
小走りで帰路につくのでした。
完。
あとがき
あれ以来一度も合コンと名の付くものに
参加したことがありません。
良い思い出なのか、悪い思い出なのかと言われると、
悪い思い出です。
ブランド物のクリーニング代は高い
ということもまた一つ勉強になりました。
(ニットはカチカチに縮んで捨てました。
ありがと!)
それではまた。
![](https://assets.st-note.com/img/1705809829810-m8UR0PsAb1.jpg?width=800)
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