見出し画像

エシカルだのサステナビリティだのと言うけれど。

私は一石二鳥が好き、だから口癖は「せっかくなら」

せっかくコンサートに行くならあの子を誘ったら楽しいかもだとか、
せっかく買うなら電子レンジじゃなくて蒸せて炊けるいい鍋にしようだとか、
せっかくやるなら自分たちが楽しむことも忘れずにとか、
せっかくだから寄り道していつも行かない店に行こうとか。

せっかくにも色んな続きがあるけれど、「せっかくなら」と口走っている時の私は陽気な欲張りさんなのかも知れない。ここに計画性がプラスされれば、一石二鳥どころかさらに一石三鳥四鳥と要領よく生きられるのだろうが、そうはいかないのが私の人生だ。

日常の積み上げは新しい感情に続く

ある日、よく目にするようになったと思ったら、耳にも入ってきてみたいなのが「エシカル消費」とか「サステナビリティ」という単語だった。

恥ずかしながら、生まれてこのかた地球で起こっているほとんどの問題は他人事だった。ペットボトルに入った水を買うのが日課で、スーパーに行けば献立を考えながら肉や魚をバランスよく購入し、ラップが最後のひと巻きまできたら新しく買い足して、近くのコンビニまで車を走らせるのが日常。

そこに大した理由はない。
それが ”なんとなく当たり前” だっただけ。

それが小さなきっかけで「当たり前じゃない方法があるんだ」と気づいた。すると、日常の中で "なんとなく" ではない選択を積み上げる変化を起こしていた。そのおかげなのか、当たり前じゃない方に自分にとって心地よいことが増えていったのだった。これらは小さいけれど確実な変化点となった。

一石二鳥好きの私としては、コンポストを始めて大嫌いな生ゴミの処理がなくなったのは本当に大発見。堆肥となった土でお野菜を育てられると思ったらワクワクして料理が楽しくなるし、生ゴミが出ないと思ったら新鮮な生のお野菜を積極的に選ぶようになった。

お気に入りのマイボトルを持って通勤するとテンションが上がるし、可愛い柄の蜜ろうラップはキッチンに立つのが楽しくなる。地物のお野菜の美味しさには毎回感動するし、お肉でないものを選んでも十分に身体が喜んでより心から美味しく食事ができることを知った。どれも喜びや心地よさなど、日常の中の感情としては新鮮だった。

最初は「エシカル消費」も「サステナビリティ」もググった私だが、ある時、私が選んでいるのは本当のところ何なのかについて疑問を持つようになった。世界平和なのか、家族の健康なのか、明日の仕事のパフォーマンス向上なのか、それ以外の何なのか。それはググっても出てこない答え。画面の中ではなく、ちゃんと自分の目で見て、聞いて、触れて、リアルに確かめたことからしかたどり着けない答え。そう思ったら、足早に地元を出発していた。

たどり着きたい答えへの道のり

私はペットボトルを消費したり、お肉を食べることが全て悪いと言いたいわけではない。「エシカル消費」や「サステナビリティ」が指す先の世界が、それらを否定することだけにフォーカスしていないことは私も理解している。ただ私は専門家のように学びを与えられるほどの知識量も持っていないから、語ることができるのは私の生きるレベルで起こった小さな感動話。

それでも、素直に感動できるのは私のいいところ。
そしてなんといっても、私は人に存分に憧れて、魅了されて生きていく性分だ。

そんな私は私と当たり前が異なる人たち、より自分や周りの人々を愛して生きている人たちにできるだけたくさん出会う方法を選んだ。

2022年7月16日。
大きなスーツケースを引き下げて、福島の西会津町に降り立つ。最寄駅のホームから改札まで階段しかないのは想定外で、ガタンガタンと音を響かせて引きずり下ろしたことはまだ誰にも話していない。

誰かは遠回りだと言うかもしれないが、未完成の私にとっては掛け違ったボタンを直す時間となる。もしかしたら新しいボタンが見つかるかもと、浮き足立つ気持ちをなだめるように慎重に周りを見渡している。

去年から今年の春にかけて、いやもう何年も前から葛藤を抱え過ごしてきて、やっとのことで、もっと色とりどりの生き方があるはずだと信じられるようになった。「この色は自分に合っているのか」と考える余白ができたのは、コップの中から外を眺めるのをやめて、縁に立ってクリアになった世界を見渡せるようになったからだろう。

これから小さな感動話たちをお届けしたい。
自分の記録とともに、誰かの心にそよ風を送るきっかけとなれば幸。

西会津に到着して、「ようやく」24時間が経った。「ようやく」の四文字で最初の一日がどんなに濃ゆいかお伝えする。また次、筆を取る時どんな想いを乗せるのか楽しみだ。


nattun.
Instagram: @imnattun_

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?