見出し画像

【代表メッセージ】新工場・新事務所竣工にあたり

インターステラテクノロジズ株式会社代表の稲川です。
2020年12月21日、無事に新しい本社、新工場を完成する事が出来ました。
日頃より応援いただいている皆様のおかげで、竣工の日を迎える事が出来たと思っております。
これまで、私たちにご支援頂き、本当にありがとうございました。
我々インターステラテクノロジズは一歩前に踏み出せました。

この新工場建設にあたりまして、株主でもあります、萩原建設工業株式会社様はじめ、関係者の皆様方のお力で竣工に至りました。心よりお礼を申し上げます。

弊社インターステラテクノロジズは、2005年から小型ロケットを作り始めた「なつのロケット団」という組織を始まりにしています。そして2009年から北海道、当時は北海道赤平市を拠点にロケット開発を続け、2013年にインターステラテクノロジズ株式会社を創業し、大樹町に本社を設けました。

画像2

▲北海道大樹町にて最初のデモンストレーション打上げ機「はるいちばん」の打上試験を行ったなつのロケット団のメンバー


私自身は2013年から参加し、今の第一工場と呼んでおります場所を整備するところから始まりました。当時から関わって頂いてる方は多くいらっしゃいましたが、2013年入社時点で社員2人の会社が現在では社員50名を超えて、全国から極めて優秀な人材が集まる会社になっています。
そして昨年、民間企業単独開発のロケットとして国内初めてとなる宇宙空間到達という、大きなマイルストーンもクリアすることが出来ました。
その中、新工場完成まで来たことに感動しつつ、大きな責任を感じているところです。

iOS の画像 (3)のコピー

▲設立〜社員数が10人を超えるくらいまでは、農協の販売所だった場所を事務所として使っていました。今は主に製造班が事務所として使用する、通称「第一工場」。写真は初めて表札がついた瞬間。


組立棟と呼んでいる新しい工場では、MOMOを複数機同時に製造できるので、生産性を上げ、これまでよりも打上げ回数を大幅に増加させるための施設になります。
また、一番の目的は人工衛星打上げることのできるZERO開発・打上げのためです。
100人規模で開発メンバーが勤務できる事務所が出来、そして自社で開発しているロケットエンジン・電子装置・地上設備などを作るための工場として稼働させます。
宇宙企業として、MOMOよりも一歩進んだ、ZEROの開発を前に進めます。

大樹町は人口5500人ほどの町です。しかし、この小さな町は宇宙産業の集積地になるポテンシャルのある、世界でも有数の場所です。
東も南も広く海に開けていてロケット打上げには最適な場所です。
2020年6月、7月のMOMO打上げにおいては、コロナ禍での打上げということもあって、無観客・来町自粛を依頼しての打上げでした。その中で、我々は東京にある山の手線の内側一帯の約半分ほどの面積のエリアを立ち入り制限し、ロケット打上げを実施しました。それだけ広大な場所がある地域です。

現在の人工衛星は静止軌道と呼ばれる軌道よりも地球低軌道と呼ばれる場所に行く人工衛星が圧倒的に多くなっています。そうすると、赤道近くにあるロケット射場よりも緯度が高い地域の方が、実は力学的に考えて”有利”になります。そういった意味でも非常に地理的優位性のある場所です。

大樹町は30年来、宇宙のまちづくりと銘打ってきました。その歴史のお陰で、道内に宇宙開発に理解があり、協力して頂ける方がたくさんいます。また、ロケット打上げに対して地元の理解が深いのも大きな特徴です。「大樹町インターステラ後援会」というイチ民間企業であるISTを応援してくれる地元の方の民間の組織があります。こうした地元の方々に強力にサポートして頂いています。

図1

▲官民一体となって宇宙のまちづくりを進める大樹町。「北海道スペースポート構想」を掲げています。


現在、世界的に民間の宇宙産業は成長産業だと言われており、今後20年で3倍の産業になると予想されています。

我々は独立したベンチャー企業です。人も資金も十分ではありません。
正直、この工場建設の判断は悩みました。
しかし、これから伸びる宇宙業界、大樹町の地理的なポテンシャル、そして我々の国内唯一の技術を目の前に持ち、立ち止まるのか?一歩前に進むのか?
悩み抜いた末に、この地域において宇宙産業は一大産業になると確信し、我々は一歩前に進む決断をしました。

新工場の着工を決意するのに、多くの投資家・金融機関からの投資・支援がありました。地元の金融機関や事業会社からも出資を受け、総合商社である丸紅様も株主としてサポートして頂いています。また、「みんなのロケットパートナーズ」というパートナーシッププログラムにて現在25の企業団体様と一緒にロケット開発を実行しています。

みんロケ_logo

現在では国の宇宙機関・研究機関でもあるJAXA様と共同研究を実施しています。この共同研究にて世界的にも次世代だと言われるほど最先端な、ロケットエンジンの研究開発を行っています。また、トヨタ自動車からは優秀なエンジニアが2名、「助っ人エンジニア」として出向で来ていただいています。

画像4

日本のものづくりの底力を宇宙産業にインストールし、ロケットの大量生産の時代を作ろうとしています。さらには、ファンクラブやクラウドファンディングなど、日々私たちの活動を応援し、支えてくれる多くの方がいます。そのみなさんの励ましや応援が私たちの力になっています。

また、大樹町が中心となって北海道スペースポートの構想を進めています。今後、大樹町だけではなく、多くの民間や大学も関わる、「みんなのスペースポート」になっていきます。
今後、今回の新工場だけではなく、ロケット射場の整備がハイスピードで進んでいきます。
みなさんが「一体ISTは何回竣工するんだ?」と今後呆れるぐらいに色々なものが出来上がっていく予定です。

インターステラテクノロジズは未来を予測し、その未来を実現していく会社です。
現在では小型人工衛星が大量に宇宙に運ばれています。そういった未来を10年以上前から予測し、そこに貢献するために、2005年から15年間ロケットを開発してきました。
そして着実に実績を積み、昨年大きなマイルストーンも達成できました。
誰も信じていない時に、まず一歩踏み出し、あるべき未来を予測し、ビジョンを持ち、独自技術を獲得し、真面目にモノづくりをして、ひらかれた宇宙開発を志向し、周りを巻き込んで、これからの宇宙産業を作る。
インターステラテクノロジズは、そういう会社です。
徐々に体制が整い、開発や製造のスピード・レベルが急速に上がっています。
今後の日本の宇宙産業の中心として、国内はもとより”人類”の宇宙開発をリードできる組織にまでなっていく所存です。
今後より一層、未来を予測し、みなさんとともに、未来を作ってまいります。
我々は今後も一歩踏み出し続けます。ご期待ください。
ありがとうございました。

画像6

2020年12月21日
インターステラテクノロジズ代表取締役社長 稲川貴大



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?