見出し画像

第26回「逆境」を乗り切る思考法

パナソニックの創業者、松下幸之助さんは、人生には「順境」と「逆境」があると言います。

順境とは「上手くいっているとき」で、逆境とは「上手くいかないとき」ですね。

仕事にやりがいを持って、充実した毎日を過ごし、悔いのない人生を送れている。こうした順境が送れたら、幸せですよね。

しかし人生には、必ず逆境が訪れるんです。

たとえば、もうどうしようもなく憎い人が現れて、その人が頭から離れずに、イライラが止まらない。

病気になってしまって、いつ治るのかも分からず、先が不安で不安で仕方がない。

借金を抱えてしまって、どう払って行けばいいのか、見当もつかない。

どうしようもない「逆境」に直面したとき、私たちの心は乱れます。怒り、恐怖、不安といった負の感情がむくむくと湧き上がってきて、止められなくなります。

これは心理学的に言うと「認知的不協和」が起きているんです。

「こうあるべきだ」という自分の認知と、現実が折り合わないと、私たちの脳は「不協和」を感じます。そのままでは気持ち悪いので、脳は怒りや不安といった負の感情を生み出して、その不協和を解決しようとするわけです。

しかし逆境とは、簡単に解決できない問題がほとんどですから、状況は中々変わりません。先で良くなる保証もありません。

すると脳内で「なぜ?」「どうしたらいい?」という不協和がずーっと起き続けて、負の感情が湧き上がり続ける。

負の感情は血圧を上げ、身体をこわばらせる「毒」のようなものですから、身体も心もしんどい状態がずっと続いてしまう、というのが、逆境のメカニズムなんです。

ではこうした逆境に出会って、自分の力ではどうにもできないとき、私たちはどう考えればいいでしょうか。

天理教の教祖、おやさまはこの逆境に対して、とても面白いことを述べておられるんです。

「さあ一時に出たる泥水、ごもく水(汚水)やで。その中へ、茶碗に一杯の清水を流してみよ。それで澄まそうと思うても、澄みやすまい。」

逆境の時とは、自分がためてきた悪いものが、一気に噴き出してきた時だと、おやさまは言います。

この世界は「心通り」の世界ですから、逆境も元をたどると、自分の使った悪い心が巡り巡って、積もり積もって、自分のもとに返ってきているだけなんです。

しかし、わたしたちはそんなこと分かりませんから、辛いことが起きてきたら慌てふためいて、解決しようとあがきます。

ただ、それは噴き出す泥水に対して茶碗一杯の清水を流すようなもので、中々解決には至らないんですね。

さらにこんな言葉もあります。

「さあ~~悪風(台風)に譬えて話しょう。悪風というものは、いつまでもいつまでも吹きやせんで。吹き荒れている時は、ジッとすくんでいて、止んでから行くがよい。悪風に向こうたら、つまずくやらこけるやら知れんから、ジッとしていよ。又、止んでからボチボチ行けば、行けん事はないで。」

むしろあがくことは、ちっぽけな自分が、巨大な台風に向かって行くようなもの。

あがいても解決に至らないどころか、つまずいたりころんだりして、余計に被害が出てしまいます。

逆境とはつまり、自分の心通りのものが返ってきているんです。だからどれだけあがいても逃げられない。受けきるしか道がない。

だから焦らずに、じっとすくんで待っていて、収まってからだんだんと行動したらいい。また上手くいく時も来るよ、と、おやさまは仰っているのですね。

そしてさらに、とある先生が、おやさまから聞いた話を、こう言い残しています。

『おやさまは、「日々教理を聞いて成程と感じることは心の養いである」と仰せになった。ちょっとしたことで心を濁したり狂うたりするのは、心に力がない証拠である』

おやさまは、逆境に立ち向かうコツとして、「心に力をつける」ことを教えて下さっているんです。

困ったことが起きたとき、慌てて取り乱したり、イライラっ!と怒りが湧いてくるのは、自制心が負け、負の感情に振り回されている姿。心に力がない証拠です。

普段から人間の心の動きや、この世界についての勉強を積み重ねて、心に力をつけましょう。

そしていざというときは、逆境に振り回されるのでなく、平常心で、「鋼のメンタル」をもって乗り切ることが大切だということなんです。

そう考えると逆境に見舞われたときというのも、心を鍛える絶好の機会なのかもしれません。

重ねて言いますが、おやさまは、この世は「心通りの世界」だと仰いました。

最近では「引き寄せの法則」とか「思考は現実になる」という言い方もされていますが、自分の使った心、その通りのことが表れてくるのがこの世界です。

そのため、普段から機嫌よく生きている人には、その通りポジティブな現実が返って来るし、不機嫌で、イライラしてばかりしている人はネガティブなことを引き寄せてしまう。

そう考えると、逆境が降りかかってきた時に心を濁すと、その心通りにまた逆境を引き寄せてしまうわけです。これを延々と繰り返しているのが人生だと考えてみてください。

この不幸の連鎖から抜けるためには、どうしたらいいのでしょうか。

答えは「逆境の中を、明るく通り抜ける」こと。

これが今日の本題なんです。

この世界は心通りの世界ですから、どんな時でも心を濁さず、明るく通り抜けたならば、その心通りに、明るくて前向きな現実が返ってきます。

つまり、辛い状況の中でも上機嫌で通れるようになれば、その心通りに、いいことしか起きてこなくなるんです。

たとえば、仏像がたたえる笑みを「アルカイック・スマイル」といって、この世で起こる辛いことや、苦しいことをすべて抱え持ったうえで、にこっと微笑んでいると言われます。

つまり辛い逆境にあった時、負の感情に囚われてしまうのをやめて、にこっと「上機嫌」を意識する。

これが運命を良くする秘訣だということですね。

このように逆境のなかでも、明るく、陽気に生活することを、おやさまは「たんのう」という言葉で教えて下さっています。

どんな中でも明るく、「たんのう」して生きることこそ、人間として「誠」の姿である。上機嫌で生きることで、積んできた悪い心遣いも果たされて、幸せが訪れますよ、と、教えて頂くんです。

つまり、逆境にあった時こそ、運命を切り替えるチャンスなんです。

鋼のメンタルで心を濁さないようにする。さらには上機嫌でたんのうして通ることが、運命を切り替える秘訣だということですね。

ここでちょっとスピリチュアルな話をすると、わたしたちの魂は生きどおしですから、何代も何代も生まれ変わっているわけです。

しかしどの人生においても、起きて来る問題は一緒なんです。

つまりこの人生で起きて来る問題をクリアできなければ、また来世で同じことが起きるんです。

だからわたしたちはこれまでにも、何度も同じ問題に直面しては、失敗している。そういうループの中で生きているんだと考えてみてください。

このループの事を仏教では「曼荼羅」と言うんです。

スティービーワンダーの有名な曲に「ハイアーグラウンド」というものがあるんですが、この曲は正にこの曼荼羅のことを歌っています。

「人生で出会う、負のループに打ち勝って、一つ上に上がろうよ。一番上にたどり着くまで、挑戦し続けるんだ」

人生の問題ごとに心を倒さず、通り抜けることによって、一つ上に上がれる。わたしたちは何回も生まれ変わって、そうした挑戦を続けているんです。

ちなみに全ての問題をクリアして、もう学ぶことがなくなると、生まれ変わる必要がなくなります。仏教ではこれを「解脱」といって、人間の最終的な目標としているんです。

つまりわたしたちは、逆境を乗り越えて、より幸せなハイアーグラウンドを目指していくんですね。

今日の話をまとめると、

人生は「上機嫌」で通ることが、いちばん大切なことなんです。

逆境だからといって心を濁すと、またその心通りに悪いことを引き寄せてしまう。

逆境にあっても上機嫌で、にこっと笑って「たんのう」できれば、その悩み事は解決してしまう。

負のループを外れて、一段上に上がれるんです。

つまり心の勉強、この世界についての勉強をを積み重ねて、心を鍛えることが大切です。

そうして「上機嫌」で過ごすことによって、人生はどんどん拓けていく。幸せになれるということなんです。

逆境のときこそ、「上機嫌でたんのう」を心がけましょう。

https://youtu.be/XV1DK9tSHio

ハイアー・グラウンド

人々は学び続ける
兵士は戦い続ける
世界は回り続ける
先がそんなに長くないから

人々が死に続ける間も
権力は嘘をつき続ける
世界は回り続ける
先がそんなに長くないから

神はもう一度やり直すチャンスをくれたんだ すごく嬉しいよ
だってこの前地球にいた時は、罪の世界に生きていたから
生まれ変わったから、あの時より知ってることが増えた。嬉しいよ
挑戦し続ける。一番高い所にたどり着けるまで

教師は教え続ける
牧師は説教を続ける
世界は回り続ける
先がそんなに長くないから

恋人たちは愛し続ける
信じる者は信じ続ける
寝ている者は寝るのをやめるんだ
先はそんなに長くないんだから

神はもう一度やり直すチャンスをくれたんだ すごく嬉しいよ
だってこの前地球にいた時は、罪の世界に生きていたから
生まれ変わったから、あの時より知ってることが増えた。嬉しいよ
挑戦し続ける。一番高い所にたどり着けるまで

一番高い所にたどり着けるまで
誰にも僕を引きずり下ろせない
一番高い所にたどり着けるまで

誰にも引きずられるな(奴らはきっとくるぞ)
神がもっと高い所を示してくれるだろう
神こそが人と共にある唯一の友達なんだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?