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#66 データ型小論文の一例(模範解答)

次の資料を読み、あとの問いに答えなさい。

[資料1]日本の年代別人口比

 以下のグラフは2022年3月1日現在の日本の年代別人口比(概算値)です。

出典:総務省統計局「人口推計の結果の概要」

[資料2]年代別の投票率

 以下のグラフは2021年10月31日に実施された衆議院議員総選挙の年代別の投票率を表しています。

出典:総務省「第49回衆議院議員総選挙における年齢別投票状況」

問1 資料1・2のデータから読み取れる内容として正しいものを以下の選択肢から2つ選び、記号で答えなさい。

ア 日本では年齢が上がれば上がるほど、人口の割合も投票率も上昇する傾向にある。
イ 人口比からみると、日本は若者が少ないにもかかわらず、投票率があまり高くない。
ウ 日本では10代の民意と80代以上の民意とで比べると、10代の民意のほうが政治に反映されやすい。
エ 日本は中高年の人口比が1番高いにもかかわらず、中高年の投票率はあまり高くない。
オ 日本の年代別の人口比と年代別の投票率とは、互いに反比例する関係にある。
カ 現状の投票率では、日本の全ての若者が投票したとしても、中高年・高齢者の投票数には及ばない。

問2 資料1・2のデータから読み取れる社会課題を1つ設定し、その改善策について、600字以内であなたの意見を書きなさい。

解答
問1【正解】
イ 人口比からみると、日本は若者が少ないにもかかわらず、投票率があまり高くない。
カ 現状の投票率では、日本の全ての若者が投票したとしても、中高年・高齢者の投票数には及ばない。
問1 【解説】
ア 日本では年齢が上がれば上がるほど、人口の割合も投票率も上昇する傾向にある
→ 80代以上になると、人口も投票率も下降傾向にあるため不正解。
ウ 日本では10代の民意と80代以上の民意とで比べると、10代の民意のほうが政治に反映されやすい
→ 選挙権は18歳から与えられるものであるため、10代全体の民意は反映されない。
(18&19歳の投票率と80代以上の投票率が同程度であったとしても、人口比を考え合わせれば、投票数は80代以上のほうが多くなる。)
エ 日本は中高年の人口比が1番高いにもかかわらず、中高年の投票率はあまり高くない
→ 中高年を40・50・60代と考えるならば、投票率は相対的に十分高いと言える。
オ 日本の年代別の人口比と年代別の投票率とは、互いに反比例する関係にある。
→ 若干ではあるが比例関係にあると言える。少なくとも反比例の関係にはなっていない。
(日本は中高年・高齢者の人口が多く、中高年・高齢者の投票率も高い。)
問2(解答例)
 資料から読み取れるのはシルバー民主主義の固定化である。問題は「どうせ若者世代の民意は反映されない」という諦念的な価値観が生まれることだ。これではシルバー民主主義が是正されるどころか、逆に益々シルバー民主主義が加速してしまう。
 そのため、日本は選挙制度自体を変える必要がある。具体的には、1票の重みを世代別に変えるという制度はどうか。例えば、20代が10人、80代が20人いたとする。20代には1票を、80代には0.5票を与える。そうすると、20代も80代も人数は違えど、ともに合計が10票となる。このように世代ごとの人口の数によって1票の重みに変化をつける。10代から100代まで、それぞれの世代が最終的に10%の参政権を有するようにする。そうすると、世代間における1票の格差はある程度は是正されるはずである(実質的に1人当たり0.000001票などどなってしまうが)。
 ただし、そうすると人口の数が少ない18・19歳の1票が大変重くなる。これは大きな格差である。しかし、だからこそ若者は深く考えるようにもなるだろう。10代のうちに社会を変えられる実感と思考を持てば、20・30代になっても投票に行く可能性は高まる。またこうでもしないと前述した諦念的な価値観の改善には至らないだろう。おそらく10代のうちの主権者教育だけでは若者の投票率は向上しない。そのため、日本はもっと抜本的に選挙と民主主義のあり方をデザインし直すべきである。(585字)

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