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痛みながらも願いを抱えて参加したプロセスワーク×LGBTQ+合宿

2023年9月のプロセスワーク×LGBTQ+の合宿で出会った尚ときりんの二人の対談企画vol.2!
(前回vol.1はコチラから。ぜひ読んでみてください。)

  • 合宿に参加するまでの二人のそれぞれの歩み ←今回はココ!!

  • 合宿を通して感じたこと、体験したこと

  • 合宿からしばらく経って今、振り返って感じる変化

今を生きるわたしたちを何回かの記事にわけてお届けします!

参加した合宿はこちら!

LGBTQ+と現場に立つアライに贈る
【 ディープデモクラシーへの扉@大阪 】 ー「葛藤・つながれなさ」の先へ ー


この合宿は、LGBTQ+の当事者、当事者の家族やパートナー、支援者が、それぞれの立場から、日々現場で感じる葛藤・つながれなさに向き合い、ともに生きるために私たちは一体何ができるのか?を模索する場でした。

この合宿は、tomoni.三鷹ダイバーシティーセンターのギフト企画として実施されました。

▼ tomoni.とは?
「なにひとつおいていかない」を大切に、対話し、 場を共にし、それぞれの声に耳を傾けて、いのちを大切にするユニットとして 2021年10月に結成。性の多様性を含めたあらゆる違いが豊かさになる社会を目指して、多様な性を切り口にした人権研修や出前授業、外部講師を招いたワークショップ等を関西を中心に実施されています。
https://tomoni-to-tomoni.amebaownd.com/

▼ 三鷹ダイバーシティセンターとは?
「深層民主主義」という世界観を基本のコンセプトとして活動する任意団体です。多様な価値観を持つ人たちとの共生を目指しています。
https://www.facebook.com/mitakadiversitycenter

\対談に登場する尚ときりんの自己紹介/

▼ 🐋尚の自己紹介
学校の先生であり、トランスジェンダー(FTX)。「自分にはプロセスワークが必要だ!」という感覚があって学びはじめました。
プロセスワークをコツコツ学ぶことがすきですが、ちょっと苦手意識もあります!
トランスジェンダーやノンバイナリーの人もいろんな人がいるから、今から話すのはあくまで尚個人の感じたことです!!

▼ 🦒きりんの自己紹介
トランスジェンダーの2人の子どもを持つ母親。
プロセスワークとの出会いはこの合宿が初めてで何もかも新鮮!
今はプロセスワークが大好きでオタク的にハマっています。

しんどかった2023年。生きることに必死だった尚。当事者である自分と支援者である自分。


🦒きりん:
尚自身が感じていた葛藤・つながれなさは何があった?

🐋尚:
当事者としては、昨年6月ごろは、LGBT理解増進法について、社会が揺れていたり、有名人の死があったりして、落ち着かない感じがあったね。

それもあって、トランス女性のほうが大変とか、性別違和がない人はいいよね、とか、当事者同士もつながれなさがあったな。仲間と思っていたのに、急に「いいよね」って言われたり、大変さのくらべあいになっちゃったのが悲しかった。

体調を崩している当事者の友人も多かったし、ここからどうなるんだろうという先の見えなさがあったな。
自分もすごい不安定になってたな。希望を語ることもできないし、「自分が生きていることが申し訳ない」みたいな気持ちになったりね。

「トランスジェンダー」もいろいろでさ、尚は、女性として生まれて、性自認が「男でも女でもない」なんだよね。
だから、はっきりしてない自分がいやになったりもしてた。

いったい性別はどっちなの?って聞かれても答えられないしさ。
男女二元論の社会の構造のなかでは、どっちにも当てはまらないから、「自分が性別を決められないから悪い」ってずっと責めてたな。

そんなことずっと考えてたら体調悪くなったりしてさ。身体が悲鳴をあげていた時期もあったよ。

その一方で尚は、学校で働いているので、支援者という立場も持っているんだよね。

学校では、ジェンダー・セクシュアリティのテーマで研修をしたり、授業をしたりするんだ。
先生のなかでも感覚の違いがどうしてもあるから、複雑な気持ちにもなるね。

自分は当事者であるから、声を出していかないといけないと思うけど、カミングアウトを当時していなかったから、声をだすことの怖さもあったよ。

でも先生だからさ。
「言わない」っていう選択をするのは葛藤が毎回おこっていたな。

やっぱり、当事者の子は必ず学校にいるからさ。カミングアウトをしていない子も含めると相当いることが分かっているのに味方になれていない感じがしてたな。

🦒きりん:
悲しさやもどかしさもあるね。当事者の家族からすると現場に、当事者の尚がいるのはとても大切なことだと感じるよ。でも、いろいろ葛藤や苦しさもあるんだね。

🐋尚:
学校現場で自分が当事者として「どうしたらいいんだろう?」と困ることもあるんだ。
わたしは、女の先生として働いているんだけど、自分の性自認は「男でも女でもない」なんだよね。だから、女子トイレとか、女子更衣室とかすごい抵抗があって・・・。でも、先生だし、大人だし、「これぐらい我慢しよう」っておもって日々つかってるよ。

子どものことは、「なんとかしたい」とか「考えよう」っていう意識があるけど、自分のことになると後回しになるね。これは、支援者によくあることなのかな。
水泳の授業とか、先生たちも水着に着替えるんだけど、いかに人と会わない時間に着替えるかとかめっちゃタイミングみたりね。いちいち気にするのを疲れたと思う自分がいたりね。

トイレ問題は、学校以外の場でもあって…。公共の場ではさ、女子トイレを使うんだよね。でも、見た目がいわゆるボーイッシュなのさ。髪型も服装もメンズの恰好をしているんだよね。
だから、「女子トイレに入ってきた男」として見られることもあってさ。女性をびっくりさせてしまったり、自分も「ごめんなさい」って気持ちになりながら使ったりしているよ。

かといって、男子トイレを使うことにも抵抗があるからさ。
多目的トイレを使えばいいじゃんって言われることもあるけど、それはそれで「何か違う」ってなるんだ。

この「何か違う」という感覚は、説明が難しいんだけど、「わたしが使っていい場所じゃない」って感覚かな。
結局もういちいち考えるのがめんどくさくなって、公共の場ではトイレにいかない、とかするよ。

ニュースで、トイレのこととか、銭湯のこととかテーマとして出てくるやん。
それが心苦しいなと思う。
いろんな立場のひとが、それぞれの意見を言ってるのをみて、否定しあう言葉が並ぶと、「いったいどうしたらいいんだ」と思うね。

公共のトイレはここ1年ぐらいで、結構使いにくくなったな。だれかを怖がらせてしまうかもしれないとか、自分も怖い思いをするかもしれないとか思うからね。

🦒きりん:
トイレ問題は私も親として葛藤があるんだよね。

うちの子どもたちは、体は女の子で心は男の子だから、見た目がかなりボーイッシュでほぼ男の子なの。
外でトイレに行くときとかに、今のところ女子トイレに行く選択を子どもたちはしているんだけど、多分、尚と同じことが起きるから、さりげなく私が一緒に行くみたいにしてるの。
でも、周りをびっくりさせてるんじゃないかという申し訳ない気持ちとか、居心地の悪さがあるよ。

「多目的トイレに行くのはどう?」って勧めたりはするんだけど、それもまた色々思うところがあるみたいで…。

トイレ問題って生活と深く密着しているからこそ、そんなに簡単に割り切れたり棲み分けたりできないみたいなことって、なかなか伝わりにくいことなんだろうなと思った。

尚が言ってくれたようなことも、SNSでの投稿とかを読んでいると、本当に心が苦しくなることが多くて・・・。最後まで読めないっていうこと多いんだよね。
本当に日々の毎日の24時間365日の苦しさ・悩んだ末の選択がそこにあるのに・・・って思うとつながれなさを感じてしまうよ。

🐋尚:
そうだなぁ。悩みつつ選択することの連続だからさ。みんなが当たり前に使っている場所を使うことが、難しいと感じることも多いよ。

🦒きりん:
最初の「あなたはいいよね」のエピソードのところをもう少し聴きたいんだけど。
マイノリティ同士同じと思っていたけど、対立しちゃうっていうところさ、セクマイの話だけじゃなくて、ジェンダー課題のあらゆるところにあるね。

例えば、男性と女性という役割でくくると、女性同士は団結できるけど、女性同士はお互いを傷つけあうのが怖くて「言えない」とかあってさ。わたしも仕事で感じたり・・・。むずかしいよね。みんなが「葛藤・つながれなさの先に」について考えられるといいなぁって最近思っているよ。

🐋尚:
大事なことだよね。すべての人が当事者だからね。

すべての人が当事者。これはみんなのこと。

🦒きりん:
セクシュアル・マイノリティのテーマとなると、当事者が近くにいないと、関係ないっておもったり、違うことの話になっちゃうけど、本当は、みんなも心当たりがあったりするね。同じ苦しみを抱えていたり、同じ構造の中にいたり…。

🐋尚:
みんなに関係することだよね。最初の話に戻るけど、当事者同士の葛藤もあるんだけど、当事者と周りの人との関係性のなかでも葛藤があって。

トランスジェンダーっていうと、すごい「特別な人」みたいな感じで扱われたり、腫物にさわるみたいに、あたり障りない感じの薄い関係性になっちゃうんだ。

それが、けっこう悲しくてさ。

つながりたいし、友達になりたいし、仲間になりたい。でも、それが叶わない体験も多かったり、自分から関係性を切ってしまうこともあった。

今でも、女性として生きていたときに友達だった人とは、会えなくて、結婚式とかもぜんぜん行けてないんだよね。
本当はお祝いしたい気持ちがあるけど、もう当時の自分とは、だいぶ見た目も違うからさ。

人と人として関係性を築きたいのに、ジェンダー・セクシュアリティの壁は結構あるよ。

🦒きりん:
分かる感じするな。触れちゃいけないのかなとか、どこまで話をしていいんだろうと、様子を見られる感じかな?すごい言葉を選んで状況を確認されるとつらくなってくるよね。話せている感じがしないよね。

🐋尚:
お互いに迷いのある会話になることもあるよ。「傷つけたくない」「嫌な想いをさせたくない」とかがあるのは分かるんだけどね。
自分の性別について話すと相手を戸惑わせることもあるから、話しながら「ごめん」って思うこともあるよ。

🦒きりん:
なんかさ、謎のアドバイスをもらったりさ、腫物にさわるとはまた違ったものがあるよね。無責任なアドバイスだと感じたりね。

🐋尚:
話を逸らされることもあるな。

🦒きりん:
なんか本当に「つながれなさ」を感じるよね。

🐋尚:
求めていない関係性や会話になるから「言わない」とか、自分をとじることが多くなるんだ。

🦒きりん:
そっかぁ。なんかさ、当事者である尚は、言う・言わないの選択はできるかもしれないけど、支援者の尚は、また違う選択になったり、それが葛藤になるのかなと思ったよ。

🐋尚:
そうだね。先生だから「言わないと」とか「子どもたちの力になるにはどうしたらいいんだろう」とかずっと思っているな。実践できていない自分とか、変えられない現実を目の当たりにするとすごく悔しい気持ちになるな。

🦒きりん:
そっかぁ。尚だから語れることがあるなって感じたよ。葛藤の種類もさ、当事者+支援者だから、たくさんあるよね。話してくれてありがとう。

🐋尚:
きりんさんと話しながら、こうやって真剣に心から話せることが本当にうれしい。この対談こそ、「つながれなさの先へ」を見ている感覚。忘れられない時間になっているよ。

次は二人の合宿を通して感じたこと、体験したことを話そうか!楽しみだね。

次回のプロセスワーク×LGBTQ+企画についてのお知らせ

🐬尚と🦒きりんの二人が参加した2023年9月の合宿は、今年は2つの企画になって開催されるそうです。
LGBTQ+フレンドリーなら参加できる2Dayの7月末の企画!
それから、LGBTQ+当事者&家族、現在現場のある人向けの9月の合宿企画!
どちらも本当にオススメで、ぜひ一度は体験してほしいです。

7/27(土)・7/28(日) 2days!!
LGBTQ+&アライがより繋がっていくために、分かち合いたい!
Dayaのプロセスワーク入門講座
LGBTQ+フレンドリーなら皆歓迎です◎

9/14(土)〜9/15(日) 1泊2日合宿!!
LGBTQ+と現場に立つアライに贈る
『ディープデモクラシーへの扉@大阪』 2024
〜「葛藤・つながれなさ」の先へ〜
LGBTQ+当事者&家族、現在現場のある人向け◎


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