見出し画像

拝啓、アーカーシャ#1

【注意書き】
以下の文章はアカシックレコードにアクセスし、並行世界の日記型SNS「嘔吐」から入手したアーカイブである。
SESと呼ばれる業態で働く男の愚痴が書かれているようだ。
【ここまで】

──とあるSES企業に働いているのだが、
7月から新しい現場に常駐した。
働いて1ヶ月経ったばかりだが、「お話にならない」環境だ。

上位会社に当たる方は2人いる。
1人はベテラン枠の方でXさん、もう1人は未経験でベテラン枠のバーターとして入場したZさん。

このXさんが中々の曲者だ。
入場初日から俺をそっちのけで何かのタスクをやり続けていた。
流石に暇が過ぎるので午後一時ぐらいに「ドキュメントのありかを教えて頂ければざっと全て読みますよ」と声を掛けると「あ、あイマイソガシクテ、イマイソガシイソガシ忙しいのでちょっとお待ち頂けますか」と謎に焦り出しその日は何も共有が無かった。頭が揮発性なのか、ちょいちょい抜け落ちる。
余裕が無くなったり、気になる点を指摘すると露骨にイライラして余裕がなくなってしまうのでタスク分担で話すこともままならない。よく長年エンジニアやってこれたなあと思う。タスク共有もせず一人で作業進めがち。話すのが苦手なタイプだと思ったのでグループチャットでタスクを共有しても終日ガン無視。きっとBPの事を舐めているのだろう。

Zさんは比較的まともな方で、唯一Xさんと意思疎通が出来るものの人任せなきらいがある。ただXさん係を長くやり過ぎた結果、Xさんの進捗を確認せず俺に状況を伝えてきたこともあったので信頼度は低い。Xのことは既に見限っているものの、謎にXを気遣っているので無駄に残業している。Xと同じ会社なら責任持ってケツ持ちしてほしい。製造責任は無くても帯同責任があるぞ。

俺と同じ立場のAさんは、現場で唯一の良心だ。頭がキレていて、リーダーからも個別にタスクを振られている。話しやすいがやや相手を慮らない傾向にあるのでXさんとの相性は最悪。Aさんの物言いで俺までXから火傷をさせられたのは記憶に新しい。

リーダーについてはIT業界にたまにいる超人だ。
他社にも誤っている事やテキトーな仕事なら徹底的に噛み付くし、何よりフルパワーでチャットをしてくる。(例:「これやってよ」とか「なにやってんの」)
スプラキッズの様なパワー系文章からタスクを洗い出し、体裁を整えるのもまた自分の仕事であると考えている。チャットが読みづらい事を除けば強く頼れる人だ。

聞けば入場時はリーダーからXさんにタスクが降りてきて、XからZや俺にタスクが降りてくる体制だったそうだが、Xがロクに取りまとめ役が出来ないのでリーダーから直タスクになっていた。SESありがちの商流ガン無視である。労基はいい加減仕事しろ。
Xは会話しても何言ってんのか分からない事も多く、きっちり記録に残した上で、口頭で擦り合わせても自分と同じタスクをこなしていたり、事前に確認して欲しい事を3度ばかり繰り返しても思い込みでスルーした。知識はあるのだろうが仕事で使えない人だ。はっきり言って最近流行りの発達障害だと思う。

(注釈:日記が書かれた20XX年は障害者との共存を意識する余り、健常者への配慮が欠けてしまったようだ。)

(例)「障害者」を「障がい者」と呼称したり、LGBTと無駄な配慮をした結果ペニスが生えているのにも関わらず女風呂に入浴して警察沙汰になったなどのデータが観測されている。

俺がプロパーであれば容赦なくこき下ろして消すムーブをすべきなのだが、もしそんな事をすれば俺が退場しかねない。

そのため、Xくんは極力自分の中で消す事にした。
巻き込めば余計な事をするし、X絡みの進捗ならZから聞けば良いからだ。
チンカスことXくんがコミュニケーションを取らないスタンスならば、俺は話が出来る人とやり取りして仕事をするだけだ。

リーダーとは辛うじてコミュニケーションを取れるし、ZやAさんとはある程度意思疎通の上で仕事が出来る。

なので俺はチンカス溜め太郎ことXと会話をせずに仕事をする事にした。
もちろん、進捗の共有はするが彼から返信は無い。何故かリーダーに対しては迅速に返信しているが、俺への返信は無い。

チンカスに意思を求めても仕方ない。
チンカスの塊になったとて、意思疎通の能力は持ち合わせていないからだ。意思なき者は唯のチンカスに過ぎない。

きっと俺は立場的に修羅の道を選び始めたんだろう。
今までなら話にならない奴がいたらすぐに関係各所にチクって自分が住み心地良い様に振る舞っていた。
だが、それでは自身が強くなれないと悟った。

「誰も助けてくれない」なら自分が強くなればいい。

チンカス掃除の時間だ──。

日記はここで途切れている。
この後の文章は見るに堪えない卑猥な暴言、妄言、個人攻撃が続いているため割愛する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?