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フリーランスから法人成り、 やること多すぎヤバすぎの巻

Conclusion First(結論から先に)で行きますと、

法人化はめっちゃ大変です!!相応のメリットがないと心折れちゃうのでマジで注意!!って話をこれからします!!!

(本当に大変だったので、いつもより熱量高めの導入となりました。)


■フリーランスから法人成り(1人会社を設立)しました

先日、フリーランス(個人事業主)から法人成りしました。理由は後に詳述しますが、仕事の実態的にも、金額的にも、精神的にも、「そろそろ個人では限界があるな」と感じていたことがきっかけです。

現在は会社の設立が終わり、各種の手続きのために登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取り寄せている途中なのですが、会社を作るのって、もう、とにかく、書類が、いっぱい必要です。

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(やってられなかったので、謎のネコでデコりました。以降、随所で登場します。)

私は書類への記入および管理がものすごく苦手で、受験では希望学部を書き忘れ(しかも落ちた)、奨学金手続きでは訂正印を21回押し、免許証も保険証も学生証も1回ずつなくしています。先週はご祝儀をなくし、再度用意しました。

いろいろな事情はあるけれど、個人的にはあらゆるペーパーをレスにして、パスワードは静脈認証にして欲しいところです。もう「再発行願」書きたくない。(現在はほぼすべての書類を電子化することにより解決しました)

愚痴は置いておいて、「こっちが本業!」なフリーランスなら一度は意識したことのある法人成り。どこで決意した?メリット/デメリットは?実際どういう手続きがいるの?などなど、気になる方も多いのではないでしょうか。

今回はフリーランスライターの私が法人成りを決意した理由と、実際に行った手続き、かかった費用についても赤裸々に公開しようと思います。ちなみに、再びConclusion First(結論から先に)で行きますと、約85万円かかりました。
※区役所への交通費や郵送費など、こまごましたもの含めたざっくりの費用

■法人成りを判断したポイント

まずは、私が法人成りを決断したポイント3つをご説明します。

1. 金額(税金)面で法人化のラインが見えていた

大前提としてこれがあります。隠す必要もとくにないので(いや恥ずかしいけど)、具体的な金額を書きますと、2020年の収入は566万2553円、所得は407万9431円でした。あんまり夢がないですね。

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とはいえ、2021年度はもう少し上がる見込みで、このままだと、個人事業主でやっていった場合の税金>法人成りの税金、になりそうだなと感じました。

私は上述のとおり書類仕事が苦手なため、個人事業主として開業した際も、すぐさま税理士さんと契約を結んでいました。そのため、「法人化したほうがいいんでしょうか」と気軽に聞ける環境でした。

そうした背景もあり、「まあ、いっぺん聞いてみるか」と決意しやすかったのも大きかったです。

(2022.6.2追記)

結局、1期目の売り上げは1171万1359円でした。今年はもう少し増えるかも。当初の読み通り、どのみち法人化したほうがよいタイミングでした。

2. 業務の幅が広がり、個人契約の範疇に含めるのが難しくなった

金額面の話をしましたが、税理士さんに試算してもらったところ、必ずしも「法人成りがオトク」ではないことがわかりました。「あと1年くらい様子を見て、+100万円になってからでも遅くないかも」というのが税理士さんの意見でした。

それでも決意したのは、業務の実態が個人では難しくなってきたことがあります。ありがたいことに、取材—執筆以外の業務を任せていただける機会も増え、個人契約の範疇にはおさまりきらないなあ、という実態になっていたのです。

法人成りをすることで、金銭面では多少損をするのかもしれない。けれども、自由に動けるようになれば、業務の幅がさらに広がり、売り上げもアップする。

このような考えから、機会に投資するつもりで法人成りを決意しました。事実、売り上げはちゃんと上がっているので、損した分はおそらく取り返していると思います。いや分からない。めっちゃ飲んでるので飲み代に消えてるかもしれません。

3. 精神的に、「手取り」とか「ボーナス」とかいう概念が欲しかった

最後は、数字から少し外れたところの話です。

私は大学を卒業した後、大学院に進み、なんやかんやで一度も会社員にならずここまで来ました。

フリーランスの家計は会社員とは違い、給与天引きがされない(から、自分で払ってね)システムです。

そうすると、家計の管理がけっこう難しいんです。「やっぴ!〇〇万円振り込まれてる!」と思っても、次の瞬間、国民健康保険税に吸い込まれていく……的な。いや結局、私の手元にはなんぼ残るねんと。

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これまでは700万円近くの奨学金を払うことに必死だったのと、新婚旅行も控えていたので、「とにかく現金をキープ!」でやってきたのですが……

ありがたいことに奨学金も完済(一部手続き中)したし、新婚旅行はコロナでぽしゃったので、もうちょっと分かりやすい貯金をしたくなったんですね。

また、FP3級の資格をとってみて、「国民年金の第1号被保険者、守られてなさすぎワロタ」と感じたこともありました。具体的には、

第1号被保険者(フリーランスも含む)
何もしなければ、受給できるのは「国民年金」のみ(1階建て)。
任意加入の「国民年金基金」に加入するか、積み立てNISAや貯金などで老後資金を貯める必要アリ

第2号被保険者(いわゆるサラリーマン)
「国民年金」+「厚生年金」(2階建て)。
会社によっては「企業型確定拠出年金」の3階建てになることも。
これに加えて積み立てNISAや貯金をする人もいる

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(出典:厚生労働省

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(出典:厚生労働省

ざっくりこのような感じで、自分から情報をゲットし、モリモリ貯金しないと、会社員に比べて老後が不安になりやすいシステムだなと感じました。

これまでは比較的安全性の高い投資信託に全ツッパする、捨て身のギャンブラー方式でやってきたんですが(80万くらい増えました)、30歳になったし、普通に貯金しようかなと……。

法人成りすれば、第2号被保険者となり、サラリーマンと同じような生活スタイルになれます。毎月の給与が定まるので、無計画な支出もセーブしやすいのでは、と思いました。最後は数字ではなく、精神面で決めた感じですね。

(私がFP3級の勉強に使ったテキスト。紙質の工夫で軽いし、分かりやすくてよかったです。適切な知識を身につけて、フリーランス生活を円滑に!)

(久々にちゃんと勉強しました)

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(私が勉強させていただいたYouTubeチャンネル。完全無料で、ウォーキングついでに聴きながら学べるのが魅力。オリジナルテキストもあるそうです)

(補足)会社を経営する=給料が支払われる、ってどういうこと?

「えっ、会社を作ると『給与』が支払われるの?経営者なのに?」と疑問に思った方もおられると思うので(私もそうでした)、ちょっとだけ補足します。

※以下の説明は非常にざっくりですし、私は専門家ではありませんので、あくまでもイメージ程度に捉えてください。詳しくは税理士さんや公的機関など、信頼できる方にたずねてくださいね。

フリーランス(個人事業主)の会計は、1年間の所得を申告し、それによって決まった保険料や住民税などなどを納付するスタイルです。会計の締めが1年単位なので、「ウヒョ〜!今月はいっぱい売り上げが上がったぜ!」とはしゃいで散財してしまうと、年度末付近に各種の支払いができず、泣きを見る……なんてことになりかねません。

一方で法人成りすると、基本的にはサラリーマンの生活と同じになります。毎月、決まった額面の給与(役員報酬)があって、なんか色々引いた額(手取り)が振り込まれる、というように。そのため、「口座にお金があると、ついつい機材を買っちゃう」人間(私のことだよ!)にとっては、こちらのほうが家計管理がしやすいメリットがあります。

ちなみにこの役員報酬は、年に1回、事業年度のはじめに決めることになっています。「今月はもうかったから、役員報酬も30万円くらい上げて、収益がほとんどなかったことにしちゃお。そうすれば、(もうかった分にかかる)税金も少なくできるし、ラッキー!」なんてズルはできません。つまり、予想外にもうかってしまうと、予想外に税金を納付することになるのです。

実は、大企業が年度末に新規事業に投資するのは、こういった理由があるのだとか。「利益をホールドしていても税金で持っていかれる一方だから、せっかくなら次の事業の種まきをしよう」なんて考えるそうです。フリーランスをしていると、年度末に思いがけなく、たくさんお仕事をいただく機会に出くわすと思うのですが、実はこうした背景があるんですね。ありがたい話だ……。

■会社=借金=人生終了、ではない

さて、会社を作るというと、ドラマなんかの影響で

お金を借りて経営する
=首が回らなくなる
=怖い人が来る
=北の海で寂しい末路を……

というイメージがありますが、実際にはどうなんでしょうか。

結論から言うと、私のようにオフィスを構えず、従業員を雇わず、借り入れもせず、出資も受けない(100%自己資本の)法人成りであれば、借金とは無縁です。儲からなければ使うお金もない、シンプルな構造なので。

ただし、それなりに費用がかかるので、まとまったお金は用意しておいたほうがいいです。自治体によっては創業資金を貸し付けてくれるところもありますが、最初からお金を借りるつもりで事業をするのは、個人的にはちょっと怖いなあという印象。自治体からのお金とはいえ、借金ですからね。

中には、クライアントから「法人化したら、必ず〇〇万円分の仕事を頼むからサ!」と言われたのを鵜呑みにして、バーンと法人化して、サクッと裏切られて、借金だけが残った、なんて話もあるそうです。

誰かからお金を借りていると思うと、視野狭窄になり、柔軟に動きづらくなります。業態にもよりますが、基本は自己資本でやっていくぞ〜と考えたほうが、精神的にはラクだと思います(個人の意見です)。

■法人成りを決意したらやること

ではいよいよ、具体的なToDoと、かかった費用について整理していきます。

お付き合いのある税理士さんと契約(試算2万円、顧問契約42万6000円)

私の場合は、数字のエビデンスが欲しかったので、お付き合いのある税理士さんに有償で試算をお願いしました。法人化しなければこう、したらこう、みたいなシミュレーションをしてもらったわけです。まず、これに2万円お支払いしました。

その上で、1年間の顧問契約費用見積もりが42万6000円。

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「とんでもねえ〜!」って思うかもしれませんが、あらゆることを相談でき、社会保険への加入や源泉徴収(する側になるんですよ!)など、素人には厳しい「謎の手続き」を一括でお願いできるのは相当な強みだなと。

1ヶ月で割れば5万円しないですし、それだったら原稿書く時間に当てたほうが有益だよね、と、顧問契約を締結しました。今後も全面的に頼っていくつもりです。

県の創業センターに相談する(無料)

次に頼ったのは、住んでいる自治体の創業センターが提供している無料相談でした。お付き合いのある税理士さんがいるとはいえ、セカンドオピニオン的に意見を聞こうと思ったためです。

普段は県庁所在地に出向かなければいけないのですが、コロナ禍でオンライン相談を始めたそうで、在宅でお話を伺うことができました。

私の場合、対応してくださったのはシニアの税理士さんでした。とにかく経験が豊富でいらっしゃり、「これこれがこのくらいで」とお伝えすると、「じゃあ、こっちのほうが〇〇円弱お得だね」と(暗算で!)アドバイスをいただき、「これが無料!?」と驚くほど。

とくに嬉しかったのが、国の特定創業支援事業を教えてくださったこと。詳しくは後述しますが、所定のセミナーに参加することで、登録免許税(15万円)が半額になる制度です。助かる〜!

(公益財団法人 神戸市産業振興財団 神戸市産業振興センターの記事。中小企業庁のサイトより説明が分かりやすい)

ちなみに、もっとも心に残ったのが、

「法人化するか迷っているんです。こちらが税理士さんに試算いただいたもので……」
「なるほど。でもさ、法人化したら仕事の幅が広がるんでしょう」
「はい。それは確実に」
「じゃあ、するんだよ」
「え」
「試算とかいいの。するの」
「はい」

こんな感じのやりとりでした。いい意味で熱く、頼りがいのある方でした。

司法書士と契約、各種書類を揃える(登録免許税等込み、23万3666円)

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次に相談したのは司法書士の先生です。私の場合、お付き合いのある税理士さんが信頼できる方を紹介してくださったので、スッと見つかりました。

(私が許可すれば、税理士⇆司法書士間で書類をやり取りしてくれ、手間が省けるメリットもありました)

司法書士さんとZoomで面談したあと、以下の2点をもらってお互いに準備。

会社設立シート
設立希望日や会社名、事業目的、資本金額……など登記に必要な情報をまとめて司法書士さんに渡すもの。
よくわからない点があれば「こういうふうにしている会社さんが多いですよ」とアドバイスをもらえた

株式会社設立の手順と流れ
司法書士さんがやる作業、こちらでやる作業をまとめたフローチャート。
「この書類が来たら、印鑑を作るのね」とか分かってよかった

もうこのへんで、書類仕事が苦手な私はグェ〜という感じだったのですが、司法書士さんがいてくれたおかげで考えることがかなり減ってよかったです。

(余談)おもしろかった手続き、「資本金の入金」

ちょっとだけ余談ですが、会社を設立する際には、資本金を入金したエビデンスが必要になります。

とはいえ、そもそも口座を1つしか持っていない私。「いや、残高は十分あるからいいのでは」と言いたいところですが……

「残高がある」だけでは証明にならず、「いっぺんお金を引き出して、もういっぺん入れた」履歴をエビデンスとして提出しなければならないそうです。この工程、要る??????

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虚無の履歴。きっと何らかの理由で必要なんだと思いますが、素人には「???」でいっぱいでした。

バーチャルオフィスを契約(デポジット込み、1万9800円)

法人を設立するには本社住所(オフィス)が必要なのですが、賃貸住宅は法人登記NGとなっている場合が多く、基本的に難しいと考えた方がいいです。

また、会社代表氏名や本社住所は公開情報なので、見ようと思えば誰でも見ることができます。まっとうに生きていくつもりなので、「知られたらマズイ!」とかはないのですが、やっぱ怖いものは怖いです。すごい適当な格好でコンビニ行ったりしてるもの。

そんなわけで、バーチャルオフィスを借りました。バーチャルオフィスは、お金を払って法人登記の住所を借りられるオフィスで、会議室や固定電話も備え付けられています。格安でオフィス機能を持たせられるので、1人会社にはありがたい存在です。

ただし、銀行融資等では、バーチャルオフィスだと不利になることもあるそうです。反社会的組織のペーパーカンパニーだと疑われる確率が上がるのだとか。(直近の決算資料を持参すればOK!なんて話もありますが、すべては銀行のさじ加減なので……)

業態によっては借入が必須になるかもしれませんので、慎重に判断されてください。

会社の実印+ゴム印を作成する(2万4850円)

まだまだハンコ社会なので、こういうものも要ります。

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よく分からないので3点セットを買いましたが、今のところ1本しか使ってません。今後必要になるのか……?

特定創業支援事業認定セミナー(4回〜)に参加する(無料)

県の相談で教えてもらったセミナーです。私は渋谷区に本社(バーチャルオフィス)を構えることにしたので、渋谷区のセミナーに参加しました。

渋谷区の場合は完全オンラインで、毎週土曜に3時間ずつ、全5回の構成。すべてを受講すると証明書がもらえ、この証明書を添えて登記することで、登録免許税が半額にしてもらえます。

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内容は税務・人事・法律・マーケティング・ITと幅広く、会社を経営するのに必要な知識が一通り学べたなあという印象です。(ITやマーケは初歩という感じで、踏み込んだ話は出てきませんでしたが、それはそうですよね。)

起業を決めている人だけでなく、関心のある人も参加OKなので、「今のところ法人化ラインには乗っていないけど、ちょっと気になるな」なんて方も気軽に参加してみてください。

ちなみに、国の支援制度であることから、ズルをしないようカメラは常にオン(マイクはオフ)。最初はけっこう窮屈に感じましたが、最終的には慣れました。

クライアント様へのご挨拶と手続き

上記と並行して、長くお付き合いのあるクライアント様に法人化のご挨拶と、手続き関連のお願いをしました。

受託内容に応じて、必要な手続きはさまざまでした。

原稿を納めているだけのクライアント様に関しては、「請求書を法人名にして、源泉徴収をナシにしてくれればいいですよ〜」程度。一方で、幅広く受託しているクライアント様には(大手なこともあり)契約を新規に締結するなど、さまざまなご調整をいただきました。

相手方に負担をかけてしまうので、決断した時点で早めに相談しておくのが良いと思います。

社会保険への加入手続き(+4万円)

税理士さんとの顧問契約はいろいろな手続きがコミコミなのですが、

・社会保険適用事業所設置届(3万円)
・社会保険新規適用届(1万円)

に関しては契約外となり、別料金が必要でした。もはやノールックで依頼です。

法人登記完了!

ここに書いた以外にも、レターパック買わなきゃ!とか、渋谷区役所に行かなきゃ!とか、細かいお金は発生してたはずですが、もはや思い出せません。

というのも、このあたりの時期は通常の仕事をしつつ、学会の準備をしつつ、法人設立準備をしつつで。

「めちゃくちゃ暑い中、いろんな紙を持って、いろんなところに行ったなあ」

くらいの記憶しかありません。

まん防のため記念のディナー等にも行けず、「なんか知らんけど、いつのまにか会社ができていたな」くらいの感覚でした。こんなんでいいのか、人生の転機。

給与・賞与を設定する

さて、法人登記ができたので、次は給与体系を決めていきます。

税金というのは、「もうかった分」にかかるようにできています。

たとえば100万円の売り上げがあっても、80万円が経費であれば、税金がかかるのは「もうかった」20万円分にだけかかるわけです。

この前提に立った上で、どうすれば節税できるのか?それは、売り上げ=給与、にしてしまえばいいのです。

「100万円もうかったけど、100万円給与で支払ったから、もうかったのは0円です!だから税金も0円です!」みたいなラインを狙っていくわけですね。

※分かりやすく簡略化して説明しています。実際にはいろんなアレがアレします。専門家の説明ではないので、話半分に聞いてください。

赤字にはせず、かといって利益が残りすぎないラインを考える……これこそ、税の専門家である税理士さんの領域。

結果的に私は、「額面35万円、手取り29万円。売り上げが多かった場合は、ボーナス100万円」という設定になりました。

(補足)役員への賞与(ボーナス)って経費にできるの?

「ボーナス100万円」と聞いて、「ん?」と思った方もおられるのではないでしょうか。「いや、記事の上の方で、『役員報酬は年に1度決定するもので、もうかったからといって、給与を上げて税金を減らすズルはできません』って言ったじゃん」と。

この考え方に間違いはありません。ただ、すごく厳密な条件をクリアすると、役員賞与も経費にする(=その分の税金を減らす)ことができるらしいんですね。その条件とは、

法人設立から2ヶ月以内に、
支給日と支給額を税務署に対して届出し、
・かつ、その支給日にその支給額(1円のズレも無し)を支給した場合

だそう。

言い換えると、「年度始めに計画されたボーナス(=予想外にもうかったからといって、税金をごまかすために支給するわけではない賞与)」であれば認めてもいいよ、という考え方なのだと思います。

賞与はあくまでも賞与なので、売り上げが上がらなければ支給しなくてOKです。これを踏まえると、

・会社が赤字になってはいけないので、毎月の役員報酬はやや保守的に(低めに)計算する
・かつ、軌道に乗った場合の売り上げも計算する
上めの予想 - 下めの予想 = 賞与 で設定し、申告しておく

ことで、予想外に売り上げが上がった場合でも、「アア〜〜……」という気持ちになるのをある程度防ぐことができるそうです。税のプロ、すごいな。

自社のWebサイトを制作する(約5万円)

これはオプショナルな話ですが、大きなクライアントさんと契約するには、自社サイトが必要となる場合があります。なんでも、会社情報がしっかり載っている公式サイトをもとに稟議が進むらしいです。(私の場合は間に合わず、登記簿謄本のコピーで許してもらいました)

で、これが意外とお金がかかるんですよね……。独自ドメインの取得、サーバーの契約、WordPressの有料テーマ購入、など、など。

もちろん、「ペライチ」などで無料サイトを作ってもいいと思うのですが、取引されるクライアントさんの規模によっては「もうちょっとしっかりしたサイト作りなよ」って思われる可能性があるので、自己判断してください。

法人口座を開設する(無料、ただし切手代などが必要なことも)

これは、まだ完了していない手続きで、今のところは個人口座に振り込んでいただいています。登記簿や印鑑登録証明書などが必要なので、法人設立「後」にしか手続きを進められないためです。

銀行の手続きは反社チェックや審査、郵送での住所確認があるため、最短でも3週間くらいかかるのだとか。バーチャルオフィスを契約している人は、「郵便物の転送」まわりの規約や、デポジットが不足していないかどうかを慎重にチェックしておきましょう。(銀行からの手紙が差し戻されるとタイムロスになりますし、何より信用を損なうかもしれないので。)

さて、法人用口座を作るにあたり、考えるのは「どこの銀行で?」でしょう。通っているパーソナルジムのトレーナーさん(私と同じく、法人成りした立場でもある)にお話を伺ってみると、

メガバンク
審査が厳しく、落とされることもよくある。
直近の決算書を提出する、生活用口座としての使用実績がある、上場企業のクライアントがいる、借入金がない、などの要素が揃えば開設できるかも。

地方銀行
実績が少なくても話を聞いてくれる感触。
「まずは地方銀行から」という人も多いらしい。

ネット銀行
とても便利だし、手続きも迅速だが、信用面で微妙な顔をされることもあった。

とのこと。

かつ、税理士さんからは、「できればPay-easy(ペイジー)対応、かつ、ペイジーで税金納付を行える銀行がよい」とのアドバイス。

ネット銀行はペイジー非対応であったり、対応はしているが税金の納付は行えない……などの制限がかかっていることもあるそうで、のちのちのことを考えると、やはりメガバンクで開設できるのがベストかなというお話でした。

というわけで、私の場合は、生活口座・報酬の振込先口座として利用している三菱UFJ銀行に申し込みました。某支店まで足を運ばなければいけないのかなと(面倒だなと……)思っていたのですが、最近はネットで面談してくれるそうで、在宅で審査完了。

残念ながら対応支店は限られているようですが、最寄りの支店がオンライン対応であれば、在宅で審査を受けることができます。

審査では、事業の内容や法人設立の経緯など、一通りのことを説明しました。登記簿や本人確認書類のほか、直近の確定申告、決算書あたりも「信用度が上がりますので」と提出を求められました。

「頼む〜〜〜」と祈りながら仕事をしていると、3時間ほどで審査完了!「無事に開設していただけることになりました!」とご連絡をいただき、郵送での住居確認等が始まりました。

生活口座・報酬振込先にしている=銀行側で、お金の流れがクリアに見えていたことが有利に働いたのかもしれません。同じ状況の方であれば、ダメ元で申し込んでみることをおすすめします。

なお、法人化すると、源泉徴収は「される側」から「する側」に変わります。

請求書を発行する際に、源泉徴収のチェックを外すよう注意しましょう。

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住居を借り上げ社宅に転用する(未)

これも、今から行う手続きです。

役員の住んでいる住宅を「社宅」にすると、賃貸費用を経費にすることができます。

売り上げ−経費=もうかった額(税金がかかっちゃう!)なので、家賃が経費にできれば、けっこうな節税になります。

ただし、「じゃあハリウッドセレブ的な豪邸に住めば、経費でゴージャスな家に住めて良きじゃん?」という単純な話でもなく。

これもまた、アレがアレなところがあるので、詳しくは税理士さんにおたずねください。

私の場合は、登記簿謄本を持参して所定の手続きを踏めば、住んでいる賃貸住宅をそのまま社宅転用できることになりました。

会社の登記簿謄本(500円)、いろんなところで求められるので、勢いよく5枚くらいゲットしておくことをおすすめします。(電子申請・電子納付で取り寄せられます。)

■法人成りを考えている方にアドバイス

「いや、記事、長っ」と思った方もおられるでしょう。そうなんです。法人化するって、そのくらい面倒なんです。

なにせ、自分の会社だから、あらゆる決裁を自分でしなければならない。小さなことだけど、「ハンコの素材はツゲか石か、それともチタンか」みたいな決断が際限なく襲いかかってきます。「どうしても決断するのが苦手」な人には、相当な苦行になるでしょう。

自分の場合は、そもそも社会人経験がなく、社会のレールからとっくに外れていたこともあり、「あかんかったら廃業したらええねん」と割り切っていました。いや嘘。夜中に不安になってオイオイ泣きました。

とはいえ、トータルではやって良かったなと思います。保険制度が手厚くなったのもそうだし、気持ち的にも、「こんなに面倒臭かったのにあっさり潰すわけには」と胆力が備わった気がします。

つい先日、ついに30歳になった私。20代は、鬱になるし、留年するし、業績は上がらないし、太るし、おい〜〜〜〜!!!!って感じでした。

その分、30代では思い切りやっていきたい。失敗したとしても、「会社作ったんだよね。潰れたけどwww」なんて話のネタができたなら、酒飲みとして成功だと思うのです。

あと何年もつかは分かりませんが、細々とやっていこうと思います。いち体験談ですが、フリーランスのみなさんの参考になれば幸いです。

というわけで、随時お仕事募集しております!

そんなわけで、無事に法人化し、以前より柔軟に動けるようになりましたので、原稿制作のお仕事も随時ご相談ください。
(プログラミング教育/ICT教育/eスポーツ関連等、IT分野が主な専門。教員免許も持っているので、学校教育系の話題も得意です。)

詳しい実績は以下のページよりご覧いただければ幸いです。

※免責事項

この記事に書いてある内容はあくまでも個人的な体験であり、正確な知識を提供することを担保するものではありません。

税や年金をはじめとした各種制度は随時変更されており、また、どなたにも当てはまるとは限りません。詳しくはお住まいの自治体や公的機関、資格を保有した専門家におたずねいただきますよう、お願いいたします。

とっても嬉しいです。サン宝石で豪遊します。