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さよならを吐けば白いCO2

拝啓 出雲にっきさま

にっきちゃんこんにちは!
そしてあけましておめでとうございます🎍㊗️2022年までに更新するはずが、とっくに年が明けてしまいました…!のんびりすぎてすみません

すたすたと進んでいくのは難しいけれど、しっかり踏みしめるような歩みで、今年もにっきちゃんとひだりききクラブをやっていきたいです
2023年もどうぞよろしくお願いいたします!


前回のにっきちゃんの交換日記は冬のぬくもりスペシャルでしたね 頭のなかで勝手にそう名付けちゃった🧶🧶優しさ、やわらかさをたっぷり含んだ自由律俳句たちに心ほぐされました☕︎

・おめめ煌めきケーキはんぶんあげるね

わたしの誕生日に寄せて作ってくれた句🎂
句のプレゼントとってもうれしいです。ありがとうございます!!
一人暮らしをはじめてからは少食気味なのですが、おいしいときはずっと「おいし〜」って言って食べています。たとえ一人でも。
特に自炊をするようになってから、自分で作った自分のごはんがおいしいことがすごくうれしくて、お味噌汁があたたかかったり、おかずの味付けが良い感じだったとき、たしかにわたしの目は煌めいてるかもしれません。誰も見ていないからわからないけど!


・光オブラートにしておくすりのめたね

抽象的で感性による部分が多いにもかかわらず、想像もしやすく、読んだ人をつつみこむような心への入り込み方のバランスが絶妙でした。

そんなやわらかさを持つ一方で、この句とエッセイからは日々をなんとか続けていこうという強さも感じ取れます。
つらいこと、仕方ないこともあるし、そんな苦味を飲み込んだところで前に進めるかはわからないけれど、自分なりの光を見つけて生きてゆくしかないって、この歳になって気付きました。
なにがつらいってわけでもなく、生活が千本鳥居みたいに隙を見せつつも絶え間なく続いているのがつら〜い!と思っていて、いまは特にそう思ってしまっていて、オブラートになってくれる光を探している途中です。
この句を読んだ人はきっと、作者のことも自分のことも応援したくなるんじゃないでしょうか。

救ってくれるような強いやさしさはこの句に留まらず、交換日記まるごとが処方箋みたいでした。

・寒いね一人でも生きれるよ

親にとってわたしたちは永遠に子どもだけど、もう当たり前に守ってもらえる存在じゃないと気づいてしまったとき、働かないと生きていけないことに気づいたとき、ちょっと背中がふるえた。

わたしは頼りがいがあって包容力のある、やわらかい母親像を勝手に思い描いていて、それにあまりあてはまらない母のことを「お母さんっぽくないな」と思うことがありました。
だけどこの前のお正月に母と徳島のおばあちゃんの家に遊びに行ったとき、母はやっぱりお母さんっぽくなくて、何をしても見離さないでゆるしてくれる友だちのような気楽な関係でこれはこれで楽しいなと思えました。

子ども時代の環境からどんどん分岐していって、大人になって、時にはどうしようもなく一人だけど、そんな母がいるから安心して一人でいられるのかもしれないです。そんなことを思いました!(たぶんこれ母も読んでますわよ イヤ〜🥵)

それではすずめ園'23の自由律俳句です❕🌅

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・布団めくったら居る猫

・煮溶けたじゃがいもすくって食う

・あの緑は業務スーパーだ


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・さよならを吐けば白いCO2

・鞄の中で冷えた本のハードカバー


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・固い蓋開けられる孤独と暮らす

わたしがいまのわたしになったなあ、と思うのは大学に進学した18歳くらいの頃だ。
高校とは違って大学にはクラスが存在しないし、透明人間みたいに授業が受けられる学校生活のなか、一人でいるのがおかしくない時間をのびのびと享受していた。

わたしは自分自身を孤独だと思っている。
孤独なことを寂しいとは思わないけれど、ずっと孤独な状態にはあるなあ、と思う。ただの状態、それだけ。

一人でいる時に息が吸いやすくて、一人でも笑ったり泣いたり幸せを感じることができること、何も誰もいなくて楽しい、そういうあかるくてかなしい孤独がわたしには常にある。

だけど孤独を寂しいと思っていないことを、なんかさみしいと思っているし、誰かと比べたときに不覚にも寂しいと思ってしまうことがある。


布等で蓋を包んで滑らないように固定してから、グッと力を入れること。
母はそう言って、冷蔵庫の奥で冷え固まったアオハタのブルーベリージャムの蓋を開けた。


わたしは孤独だけれど、人やものごとから感じるぬくもりは身の回りになんとなくあるくらいで足りているのかも、ということに気づいてから、いまのままを肯定しても良いことにした。
かつて母に教わった固い蓋を開ける方法を思い出しながら、一人で、誰かと、みんなと過ごしながら、ゆっくり孤独に浸り続けている。

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・墓地で鬼ころしだけが赤い

・セーター選ぶ母を置いて本屋へ

・末吉が背伸びして木に結んでいる


眉山という徳島で有名な山があって、頂上にはちいさな神社があります。左手でおみくじを引くべきなんじゃないかと100円を手にした時に思い、紙を開くと大吉でした。わたしはおみくじを財布の奥底に仕舞い、母は自分の引いたおみくじを木に結んでいました。

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・ホットレモン・ぱきり冷たい1番線

・ゲレンデの真逆を走る乗合バス


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・太った猫を揉む

・これしか恐竜の名前を知らない

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よくわたしの自由律俳句には「つめたい」という言葉が登場する気がします。飲み物は「あたたかい」が断然好きだけれど、言葉やモチーフは「つめたい」が好きなのかもしれない。つめたい、いいなあ。「あたたかい」は、広くてもにゅっとしているけれど、「つめたい」は、すきっとしていて寂しそうなところが良いです。

2022年末の「ひだりききクラブの猫にだって会釈」では、自分の年間ベスト句を選びました。
わたしはあんまりピンとくる自由律俳句がなくて、でもベストっぽくはないけどお気に入りの句はたくさんあったので、アルバムの中のマイナーな曲ばかり好きになりがちなわたしが喜ぶわたしの句をこれからも作ろうと思いました。

さて、年末年始はお母さんと一緒に徳島のおばあちゃんの家に遊びに行きました。今回の交換日記の写真はトイカメラで撮った徳島の写真を載せてみたのですが、初心者すぎて全てがぼやぼやになってしまった…!

おばあちゃんの家に着いて荷物を置いて早々、「餅焼こか?あんたらお腹空いてるんとちゃう?」と、餅を勧められたのがあまりにおばあちゃん家すぎてほっこりしました。お餅おいしかったです。
おばあちゃんは腰を痛めてしまったようで一緒には出かけられなかったけど、阿波弁のマシンガントークっぷりは健在で安心しました。
遊びに行った4日間で、おばあちゃんに言われたセリフ第1位は「あんたみかん食べ!」で、2位は「はよ風呂入り!」です。母もわたし以上に、おばあちゃんから同じセリフを言われていました。いつまでも子と孫です。


にっきちゃんに徳島土産を買ってきたので今度お渡ししますね!🍵
それでは、いつもより忙しい冬かもしれないけど、にっきちゃんがすこしでもゆっくり、おだやかに過ごせることを願っております。

今年もどうぞよろしくお願いいたします🌟

すずめ園より

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次は出雲にっきちゃんの番です🎍


『ひだりききクラブ』プロフィール

出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。隔週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。

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