白い犬より寒がり
拝啓 出雲にっきさま
にっきちゃんこんにちは🌨
わたしは先週、友だちの寿々木ここねちゃんと一緒に豆まきをしました。
周辺で豆まきをやっていそうな家庭がなかったので堂々と豆まきするのが恥ずかしく、控えめにこそこそ豆をまく様子が面白くなってしまい、たくさん笑いながら撒きました。そのあとはふたりで北北西を向いて無言で恵方巻きを食べました。わたしたち、キュウリ噛む音でもおかしい年頃でした。
福は内をするとき、部屋に豆が散らばると掃除が大変だからラップに包むんだよ、と言うと「頭脳派の豆まきだね」と言われたのが面白かったです。
これが例の頭脳派節分の発明品「福は内」です。
さて、前回のにっきちゃんの交換日記はハートウォーミングな句からはじまり、ファニーサミットの即興句、ゴツっとした夜の句、さらに節分の句も有りで盛りだくさんでしたね 自由律俳句の福袋だ🎊
・灯りよそうお椀いっぱいに
先週、にっきちゃんとお鍋を食べた時のことを思い出しました。(石狩鍋おいしかったですね)
熱でぐつぐつと揺れる豆腐やしいたけや白菜、鍋は見た目にもほんわかと、食べると身体の中にぽっとあかりが灯ったようにあたたかくなれます。この句にもそんな多幸感がにじみでています。「よそう」「お椀」「いっぱい」、どの部分を取っても心ほぐれる単語しかない！
きっとひとつ前の句「鍋奉行しない顔に免じて」、お椀いっぱいにサービスしてくれたのかなあ なんて思いました🍲
・真夜中ちょっと無骨、投げたり
ちょっと異質で存在感のある句ですね。実は生活の中で何度もこの句のことを思い出したり、心の中でなんとなく唱えてたりしました。
前後の「先割れスプーンお前は何だ」「穴の空いた冬のコートか俺は」との連なりも、真夜中自分の部屋で、パッと目に入ったものに対してなぜか感情が止まらなくなったり、脈絡もない想いが浮かんで悩みの沼にハマったりすることがあるので、そんなザラリとした場面を勝手に思い浮かべて共感してしまいました。
句に思いを馳せてみても、反対に意味などは考えなくても、響きや字面だけでもクセになるような、持ち歩きたくなる句でした。
それではすずめ園の自由律俳句、今回は夜っぽい句が多めの回です
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・幼な子が正しく吸う麺
・真夜中罪の卵を落とす
まよなか茹でラーメン ラーメンとかあんまり食べないけれど もし食べるとするのなら卵高くから落としてみたい 透明のふちが白になってく瞬間すこし信頼するけれど 卵ためらったせいで真ん中生のまま変われなかった
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・コンビニ出てまどろみのSA
コンビニを出ると辺りは真っ暗で、背の高い街灯のオレンジやトラックの灯りが誘いこむようにSAすべてをまどろませていた
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・急にイグサの匂いかぎたい夜だ
・炭酸の水面に映った映画の結末
・好きな子に弁当作った日のような傷の数
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・旅のエンドロールだ住宅街の夜
東京に帰ってくるとすっかり夜になっていた。最寄駅に着く頃には皆寝静まっている頃で、そんな中わたしだけがスーツケースをゴロゴロと転がしていた。重いスーツケースは大きな音が出る。いや、軽くてもそれなりの大きさの音が出るだろう。こんなにうるさいと近所迷惑だと窓から怒鳴られないだろうかと、ひやしやしながら家路を急ぐ。
どこまでいっても、湿気たアスファルトの夜に一人きり、転がしている自分はずっとうるさいままだけど、家に居る側からすると、うるさいのは一瞬で通り過ぎるから怒られることはなかった。
わたしが家のちいさな灯りの中で書き物をしている時間、すぐ側のアスファルトをゴロゴロやる音が聴こえてきたら、きっと羨ましく思ってしまうだろう。今年は何回スーツケースをゴロゴロできるかしら、なんて思いつつも、わたしが一人旅でスーツケースを持っていくことなんて無かった。トイレに行く時とか邪魔なんだよね。
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・案じたのにまだ今日
明日が不安である。2週間連続で日曜日は寝坊している。普段は平気なのに、休日だから気が緩んでいるのだろうか。幸い、準備を超特急で進めたことで15分遅れ程度におさまったけれど、明日は遊びじゃなくて仕事なのだ。絶対に寝坊できない。なんだかお腹も痛くなってきた気がする。ごはんとお菓子の食べすぎかもしれない。はあ、明日はあの服を着て、まあ遅刻しそうになったら最悪自転車で駅まで行けば助かるかもしれなくて、あとは本を持って行くことだけ忘れなければ大丈夫なはず。iPadの目覚ましも2つくらい掛けるし、絶対に起きるぞ…なんていろいろ案じていますが、まだ前の晩のお風呂の中、シャワーを浴びているだけで何も進んではいなかった。人生はたまに気持ちカラカラになる。
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・噛みつかないクマ抱き寝る
・電気帯びた手が触れた
・水のラベル０ばかり
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・空のイヤホンして聴く心臓の音
ごはん食べているときにプツリとラジオが途切れたら、次にはキャベツ噛む音だけが大音量で繰り返される。
空のイヤホンで聴く内蔵のきゅるきゅる というバージョンも考えたけれど、ちょっとかわいすぎな気がしてやめました。
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・眼下染み入る雪はひんやり
・白い犬より寒がり
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・コインランドリー浮かぶような白
最近あたらしいコインランドリーが街中に増えている気がする。カフェが併設されていたり、明るく清潔な印象だ。この町では、夜になると古びた商店はそのまま夜の暗さに溶けこんでいったが、真っ白なコインランドリーだけはぼんやりと佇み、夜に浮かんだ不気味な巨像のようだった。
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意識していなかったけれど、なぜか今回は夜の句ばっかりです。わたしは朝を題材にしがちなのにめずらしいです。センチメンタルぶったかもしれない。エッセイも多めに書きました。文字の塊が続くので写真をたくさん挟もうと思っていたのですが、最近撮った写真が食べ物しかなくて、困りながら貼り付けました。(ちなみに2枚目の白いのはレアチーズケーキのおしりです。かわいすぎる)
にっきちゃんはわたしの句を見て、冬を楽しんでるみたいって言ってくれたけれど、なんだか去年より冬がつめたくて、身体の周りがギュッてなっている気がします。冷え性が進んだのかもしれない。
テレビで女優さんが、若い頃はオシャレは我慢だと思って寒くても薄着していたけれど、身体はあたためるのが一番大事だと言っていました。本当にそのとおりだ〜〜、、
朝ごはんを食べれるようになりたいと書いていましたが、わたしのおすすめはお茶漬けです。温かいしお手軽だし、ほっとして健康になったような気分になれます！
それでは、寒く忙しい日がつづきますが、ゆっくりお休みください
元気になったら餅パーティーしましょうね！🍵
すずめ園より
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次の更新は2月16日 出雲にっきちゃんの番です💫
『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。
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