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喉の奥冷やし中華の季節の渇き

拝啓 出雲にっきさま

にっきちゃんこんにちは
日曜日は文学フリマお疲れさまでした🍵

今年も楽しかった!!!
去年もわたしたちを普段から応援してくれる人たちに会えたり、初めましての方にもたくさん出会えてすごく嬉しかったのですが、今年はさらにラジオを聴いて気になったという方が多かったですね。そこから文フリまで足を運んでくれる有り難さよ……

ひだりききクラブを気になってくれて、ブースまで来てくださって本当に感謝の気持ちでいっぱいです。また鷲崎さんの番組や初めましての番組にも呼んでいただけるように、南海放送の「ねこしゃく」ももっと楽しんでもらえるように、気合いの炎がメラッとしました。

他にも熱心に句集やエッセイを立ち読みして本を買ってくれた人や、友だち同士で「この句好き!」と話してくれる人たち、ファンの方たちのやさしい言葉。ひだりききクラブのブースを覗いてくれたたくさんの人たちの言動が本当に有難くて尊かったです。インターネット上で活動していると、同じくネットに書いてくださっている感想しかわからないけれど、普段届かない生の声を聴けてかなり励みになりました。
(ネット上での感想も本当に嬉しくて、いつもブックマークやスクショをして保存してます ありがとうございます!)

自分たちがやりたくてやっていることですが、誰かに届くこと・刺さる瞬間を目の当たりにできるとすごく救われた気持ちになります。これからも自分たちのために、どこかの誰かにとってちょっと嬉しい存在になれるように、にっきちゃんと文芸を続けていきたいです。

前回の交換日記では、ウィッチンケアの感想もありがとうございました☕︎
にっきちゃんに褒めてもらえるたび、わたしはそんなに素敵な人間じゃないんだよって言いたくなるくらいもったいないんだけど、執筆で迷子になったときに思い出すのは、にっきちゃんがくれた心のこもった言葉です。まだ褒め言葉には似合わない自分だけど、いつも背中を押されています。とってもうれしいです、あのエッセイ書いてよかったな。
わたしもずっとにっきちゃんを見続けてたい!短歌というあたらしい剣を手に入れた出雲にっきにっきの文芸活動、ますます楽しみです。

だいぶ長くなってしまいました 自由律俳句の感想 いきます🍬

・ちゃおの付録いつかの飴のあじ

かつて小学生女子だったみんなに刺さる句とエッセイではないでしょうか。くだもの味の飴とかハイチュウって小学生の頃は隙あらば口に入れてたくらい好きだったけれど、いろんな味を知っていくにつれて、いつしか少女時代の宝物も、口の中で溶けた飴みたいに遠ざかってゆきます。

ちょうどさっき、LINEで「チャームエンジェル」のスタンプの広告があって、うわー!懐かしい!!と叫びそうになりました。思ったよりキャラの名前や性格も覚えていて、幼い頃に夢中になったものが自分の中にちゃんと残っていることに嬉しくなりました。(にっきちゃんの頃はチャームエンジェルやってたかな…?)

大人になって忘れてしまったんじゃなくて、わたしたちは宝物を蓄積しつづけているかもしれない、なんて思いました。だからかつての宝物を本当に取り出せなくなるまでは、いつでも子どもに戻ってもいいことにしたいな

ポケットの奥、表面がちょっと溶けた甘い飴の味のような句でした。親友さんとこれから先もずっと仲良しでいられますように。


・許さないから君でいてほしい

本当に素晴らしいエッセイでした。出雲にっきという人の文章を、言葉を知ってほしいと強く思いました。
「許さないから」と「君でいてほしい」を繋ぐのは強いやさしさと愛ですね。いまここにパッと感想を書いちゃダメだと思うくらい、にっきちゃんのある種の孤高さが光る文章でした。(だからあんまり感想は書けないけれど、今度会ったときにちゃんと伝えたい…! ) 生き方に関わる美しい作品でした。大好きです

「唐揚げ色の犬見て」「丘のようなデコに一蹴」といった、日常のちょっとおかしな句も好きでした!トイプードルって数匹集まるとからあげみたいだよね🐕


それではすずめ園の初夏の自由律俳句です


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・夜九時の塾でたむろう真白い靴下

・あどけないふくらはぎが揺れる

・透明な鍵ばかり探している

特に中学校が嫌いだった。
憧れてたセーラー服とか、マネージャーとか先輩とか。そんなの何にも無くって、現実のわたしはダサい青色のブレザーに身を包み、美術部サボり部の仲間と公園の柵に座ってお菓子を食べていた。

まっすぐに、どくどくした嫌な気持ちが常に取り巻いていたような気がする。

何があんなに嫌だったのか。
自分のことだったのに、今のわたしじゃ全部わかってあげられない。だけど中学時代を思い出すと、いまでも教室の光景の上澄みには薄ら灰色した霧がかかる。きっとこんなの変だけど、まだ学校が嫌いって思えることに安心している。

思春期とか反抗期なんてつめたい言葉で消したくないな、いつかわたしはそういう大人とか親とかになれるんだろうか。
シャーペンの先で彫ったしょうもない落書きの上ではランプが揺れ、ザラメが焦げる理科室の匂いに酔いしれていた。


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・深夜未明に伸ばす手の白さ

・赤い紫陽花アルカリ性の家に住む


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・犬ころ背中に芝生つけている

・薫風やスニーカーふやかして踏みこむ

住宅顕信の自由律俳句、「ずぶぬれて犬ころ」から思いついた句です。犬ころって、"ころ" の部分に実体はないけれど、"ころ" と付いた途端に子犬のまるっとしたおしりや、やわらかい毛の手触りが想像できてしまうから不思議。ああ、犬ころ、犬っころってかわいいな。文字を見ても、口に出してみてもすごく癖になる言葉です。

薫風は初夏の季語みたいです。
自由律俳句は季語が必要ないですが、いつか使ってみたかった言葉です。初夏だものね🌿
わたしは長靴を持っていないため、たまに雨の日にスニーカーをふやかしてしまうのですが、この季節は憂鬱なつまさきもすぐ乾いちゃう。


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・こんなに明るい街が故郷だ

岡山発の新幹線に乗って、いつもより良い駅弁なんか食べちゃって。
大阪も名古屋もきらきしていて大都会だなと思うけれど、どこまで行っても灯りの絶えない東京はやっぱりすごいなと思う。

大阪府に生まれた人や、愛知県に住む人は、新大阪駅や名古屋駅に到着したときに、ああ帰ってきたなと安堵するのだろうか。
空は真っ暗だけど、どんどん建物の背が高くなっていくのがわかる。夜の街に広がる無数の光がまぶしい。こんなに都会の街に生まれたわけじゃないけれど、他人みたいな光を放つこの東京にわたしの故郷もあるのだと思うと、なんだか信じられない気持ちになる。

でもやっぱり新横浜駅じゃ安心できなくて、東京駅に到着してやっと心が落ち着く。そして中央線快速高尾行きに乗り、小さくなっていく新宿の光を見送ってようやく「ああ帰ってきたな」と思えるのだ。

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・いま突き刺したのは犬歯です

・八重歯の面影をなぞる


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・雨雲眺めて飲む水道水

・喉の奥冷やし中華の季節の渇き

・愛想ない空脱皮して六月



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「喉の奥冷やし中華の季節の渇き」「薫風やスニーカーふやかして踏みこむ」が今回のお気に入りの句です。

最近ますます暑くなってきましたが、わたしは4月17日に冷やし中華をはじめたから、今年はみんなよりお先に夏です。

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令和四年初・冷やし中華はファミマのやつだよ。



かなしいことに、最近目が悪くなった気がします。テレビの中の文字が見えづらくて、はじめは部屋が暗いせいだとおもってたのですが、看板の遠くの文字とかもにじむし、もうダメかもしれません……  たぶんスマホやパソコンの画面の見過ぎが原因です。小学生の頃からずっと視力Aだったので悔しいな、、

文フリも終わったし今度メガネを買いにいこうと思います。たぶんたまにしかかけないので、可愛くて愉快なやつにしたいです!

にっきちゃんも目悪くならないように気をつけてね🥲それでは!

すずめ園より

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次の更新は6月8日、出雲にっきちゃんの番です☁️

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