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宙ぶらりん花火の約束

拝啓 出雲にっきさま

にっきちゃんこんにちは
ここ数日はギラギラした熱も落ち着いて、ほんのり秋の気配を感じますね。家の近くでトンボが飛んでいるのを見つけました。

わたしは夏の句を好んでたくさん作っていたけれど、今年はやや"夏熱"は冷めてしまい、空が高くてちょっと冷たい空気を思い出しては「あ〜秋っていいなあ」なんて想いを馳せています。夏の句に勢いが出ないのは、頭の中がちょっと夏バテしてるみたいで寂しいです。もう夏は終わってしまうので、夏の句のすずめ園じゃなくて、秋か、もしかしたら冬の句のすずめ園になれるくらいこれからの季節の句をたくさん作りたいです🍁


前回のにっきちゃんの交換日記は夏の日と空想を自由に行き来するような、伸びやかさのある交換日記でした。まるで夏休み ☀︎

飛び級で走るどこまでもの夏

さわやかな緑と甘酸っぱいオレンジ色が浮かんでくる夏の自由律俳句ですね。
この句で気づいたのですが、夏って"どこまでも"という言葉がとても似合う。春、秋、冬だとあんまりしっくりこないけど、夏にはどこまでも続く遥かな景色が想像できます。冒険心がくすぐられるような。
飛び級という言葉のチョイスも素敵でした。きっと長い夏休みには普段できない体験をしたり、階段を何段も飛ばして駆け抜けてゆくような成長があるのでしょう。
大人になってしまったわたしにとって、そんな夏は現実には訪れていないけれど、かつて永遠に感じられた夏のまぶしさをこの句で思い出しました。宿題はしたくないけれど、また長い夏休みも、ラジオ体操も、成長することだって夏に体験してみたいです。


身体があってわたしは眩しい

はつらつ僕ら蚊にとってポカリ

一句目はどこか幽霊っぽさを感じました。恐さ・寂しさを伴わない幽体離脱みたいな句で、順番的には「身体があってわたしは眩しい」が先ですが、幽体離脱して、「はつらつ僕ら蚊にとってポカリ」の空想を散歩して、自分の身体に回帰するというストーリーをこの2句の流れで思い描きました。
蚊なんて誰からも疎まれるものなのに、蚊の視点にも立って想像できるにっきちゃんは本当にすごい…!蚊に血を吸われるのは嫌なのに、ポカリだと書かれるとすごく美味しそうだし、納得してしまいそうになる。ポカリというチョイスもこれまた絶妙で、夏にガブ飲みしたいものといえばポカリだし、わたしたちにとってポカリが"水より人の体に近い水"であるのに対して、蚊にとって血液は命ですものね…  
実は昨日自動販売機でポカリスウェットを買ったので、そこに書いてあった"水より人の体に近い水"というフレーズが印象的で覚えちゃいました。そして今年はまだ一ヶ所も蚊にさされていないので、残念ながらわたしは蚊にとってポカリじゃないみたいです、、

わたしは空想をするのが苦手で、だいたい目に見えるものしか考えられないのですが(だから旅エッセイみたいなものしか書けない)、にっきちゃんの自由律俳句や文章を鑑賞していると、同じジャンルの文芸活動をしていても全く個性が異なっていて、空想は本当に才能だなあと思います!あっぱれ…!(この前の感想ににっきちゃんが使ってたので あっぱれ返しです🎈)

それではすずめ園の自由律俳句です!

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・背中だけ褪せずに窓辺で待つパンダ

・汗かいて部屋の温度になるサイダー

・突き立てたフォークで貫くナポレオンパイ


ぬいぐるみが歩行者を見つめる遊歩道
細いリードに犬をつないで歩く婦人
ふたりとも個性的な服装をしたカップル
木の幹を囲むように設置されたベンチ
に置かれたコンビニのアイスコーヒー
のカップからこぼれ、レンガの隙間に黒い液体が染み込まずにずっと滲んでいる

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池袋は苦手な街


・犬が犬を飼っている人の手を嗅ぐ

・飲む前にちょっと溶けて苦い薬

・ゆたかさホットケーキの泡を数えて

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・発泡スチロールの底の焼きそばのぬくもり

・りんご飴齧ってできた鋭利なところ



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・甘い匂い漂う先にギャル


自分の居る空間が突如として強く甘い匂いに包まれた。あたりを見渡すと、さっきまでは誰も立っていなかった場所にスマホをいじっているギャルがいた。この甘いにおいの根源はきっとあなただろう。

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・腹から消えゆく湯の羽衣

今日のわたしは手のひらもお腹も温かくて、なんだかいいにおいがする。足の先に嫌な力が入っていなくて、ふわふわ、浮かんでゆくような気配に包まれていた。

たぶん、さっき入ったお風呂のせいだ。

普段は夜のうちにお風呂に入るけれど、その日はごはんを食べた後に床で何時間も眠ってしまったのだ。わたしは以前から、「お風呂に入る前に寝てしまい、真夜中になってお風呂に入る」時に味わう気持ちがものすごく嫌だった。一刻も早く眠りたいのに、「風呂→髪を乾かすなどの身支度」という2ステップを踏まずには眠れないことがつらすぎる。そうなってしまった時、心の中では赤ちゃん並にぐずっているが、実際には虚ろな目でシャワーを浴びている。

しかしこの日は全てを諦めてそのまま眠り、早朝にお風呂に入り、昨夜できなかった洗い物をして、朝ごはんに残り物の大根の味噌汁を飲み、ZIP!朝ドラマ「泳げ!錦鯉」を横目に出勤したのだった。

朝風呂をするのはいつぶりだろうか。
こんなにふわふわ幸せになれて、早起きもできるのなら朝風呂も結構いいかもな、と思ったけれど、身支度の遅いわたしに毎日そんな余裕があるわけがない。せいぜい、普段夕食後に入るお風呂の時間を変更して、帰宅してすぐに汗の張り付いたTシャツを脱ぎ捨てシャワーを浴びることが精一杯だ。


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・宙ぶらりん花火の約束

・双眼鏡でも見えなくて音だけ聴こえる

・虫の声夏派と秋派でする喧嘩


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夏休みが終わっていきますね。
秋は待ち遠しいけれど、みんなの夏休みが終わるのは、みんなと一緒に寂しくなります。

今年の夏はなんとなくフルーツが食べたくなることが多かったです。今まではフルーツよりはアイスやスイーツ的なものの方が好みなのであまり買わなかったのですが、今年はみずみずしさを欲しているのか、この1ヶ月だけでも桃やキウイをいくつか、それに今日は梨を食べました。ぶどうやマスカットも食べたいけれど、一人で暮らしているからなかなか買う勇気が出ません。粒粒がたくさんあるから…

最近は業務スーパーの桃が安くておいしいことを知ったので、近くに行った際にはまた桃を買ってみようと思います。


それではまた来週です
おまたせしました!にっきちゃん🦙

すずめ園より

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次の更新は8月31日 出雲にっきちゃんの番です🍉

『ひだりききクラブ』プロフィール

出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。

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