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濡れた毛先のパーマの名残り

拝啓 出雲にっきさま

にっきちゃんこんにちは。
もうすぐ文学フリマ札幌ですね 句集は一緒に作りましたが、わたしは自分の本がやばいです…

締め切りとの戦いなので毎日ヒリヒリしていますが、何かを作ることに全力を出せる貴重な期間だと思って寝不足をよく味わっています がんばれ〜〜、、


前回のにっきちゃんの交換日記の感想です🍵

・雷みたいに泣きたい夜もありまして
「目覚めたら恐竜になっていたい夜がありまして」のシリーズ!読んですぐわかりました
恐竜も雷も力強いワードですが、「ありまして」という語り口調で締めることで急におちゃめ風な句に転換されていますね にっきちゃんの声で再生される…!
言葉の規模が広くて一見ファンタジーの世界なのに、本音が包まれていてる面白さがあって好きな句です


・みちゃった観覧車灯り消えちゃうとこ
まず観覧車の灯りが消える瞬間を詠んでるところが好きです…

観覧車の灯りって、たぶん、きれいとかロマンチックだけじゃないと思っています。月みたいに消えることはなくて、まっくらな夜でもそこで待っててくれるような安心感があります。
そんな灯りが消える時は、誰かが仮面を脱ぐ瞬間と同じ、見てはいけないものを"みちゃった"気分になりそうです。きっとその町は観覧車の灯りがついている時が正しい夜なんだと思う。


・転がるお茶拾う瞬間栗拾い
栗拾い都会ver.な発想がかわいいです よくある日常の場面と妄想がこっそり交わる瞬間が切り取られていて最高の自由律俳句!(そしてにっきちゃんのこういう発想が面白くて好きです)

甘栗むいちゃいましたも、栗ごはんも好きだけど、栗拾いはやったことがなくてわたしにとって遠い存在です。一体どこへ行けば栗拾えるのかわからないので、代わりに落ちて転がった物を拾うときは栗拾いの気分でひょいと掴んで背負ってるリュックに投げてやりたいです。この場合、剥いても蒸してもお茶味だけど!

・タモリはしゃぐ夕方はもう無い
句はもちろんエッセイが素晴らしかったです。わたしは音楽全然詳しくないのですが、文章が描く音楽の輪郭だけで引き込まれるくらい…

これを読んでわたしもシャムキャッツを聴いてみました。秋の朝と、鈴虫が奥に聴こえる夜の住宅街で。
歩きながら流れるきらきら眩しい曲の途中、暖房のついた電車で聴くにっきちゃんを想像したけど、やっぱりあまのじゃくで それがなぜかにっきちゃんらしいななんて思ってしまいました
また音楽の自由律俳句とエッセイ読んでみたいです!


それではすずめ園の自由律俳句です🌾


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・散歩の夜ほど長い

・読んだ漫画の台詞と歩く

・もう茶葉しか出ない時間

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・出されたごみの種類で知る現在地

出されているゴミの種類やマンホール蓋をよく見ているからわたしは町の境界線が分かってしまう、よく下ばかり向いて歩いている

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・さよなら弾むランドセル

・見送った背中に響く鍵の音

・振り返ってやっぱり去った

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・オレンジ包んでひとつキャリーへ

・孫に送る分も買う

・もうチューインガムは好きじゃないけど

町のおばあちゃんがよく持っている、布っぽい素材の小さなキャリーケースのようなものに心惹かれている。

お年寄りの持つアイテムで代表的なものといえばやっぱり杖だと思う。わたしも「お年寄りのイラストを描いて」と言われたらとりあえず手に杖を持たせておくだろう。
しかしあのキャリーは杖と同じくらいおばあちゃんのポピュラーなアイテムなはずなのに、きっと絵には描かれない。

ある日、町を観察しているとかなりの数のおばあちゃんがキャリーを所持していることに気づいた。
わたしたちは旅行の時くらいしかキャリーケースを使わないけれど、おばあちゃんは商店街でも区役所でも持ってきている。
リュックやトートバッグタイプの袋に取っ手が付いたものもあれば、生地が硬めで、蓋の部分が平らになっていて座れそうなものもある。この前はベビーカーが小さくなったような形のものを見かけた。

自分が使わないものを、普段使いしていること自体にも惹かれたが、一番好きなポイントは「おばあちゃんしかキャリーを持っていない」というところだ。なぜおじいちゃんはキャリーを持っていないのか。この点に関しては本当に謎だけど、その不思議さに気づいたときに一層魅力を感じたのだ。

ああ、わたしはおばあちゃんになったらあの小さいキャリーケースを転がそう。よく歩いているので足腰には自信があるが、歩行の補助的な部分で必要なくてもファッションとしてキャリーケースを使いたい。できれば小花柄で、蓋のところが平らで、椅子としても使えるものが良い。でもトートバッグタイプの、買い物の荷物が入る前にひしゃげたキャリーを転がす後ろ姿も味があるので捨てがたい。

キャリーを転がして近所のサミットへ行く。きっとその頃には好みとかも変わっちゃって、ミカンとかが好きになる。たぶんそうなる。「でもフルタのチョコレートが好きなのは変わらないね」って103歳になった母に言われたことをふと思い出す。
自分の家用と孫用に3袋のチョコレート、お会計を済ませて自慢のキャリーにそっとしまった。

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・見てないニュースでパンダが生まれた

・子ガラスに荒らされている

・濡れた毛先のパーマの名残り


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・夏なら21時の空の夕

・もう秋だあきらめろ

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そういえば、去年は10月になった途端に金木犀のにおいが道に漂いはじめたことを覚えています。9月30日はただ鈴虫で、10月1日から金木犀の香りがありました。
今年はどうでしょう、文学フリマの直前だから金木犀のことなんて忘れてぴゅ〜っと家に帰ってしまう気がする…!そしたら東京に戻って、10月4日からゆっくり歩きたいな。

散歩は夜のほうが音やにおいを感じられる気がします。わたしが夕方から夜の時間ばかりに散歩するからそう思うだけでしょうか


なんだかそろそろ、年内にやりたいことをちゃんとやっていかないとダメな気配がしています。

まだいちごのホールケーキ(4号)切らずにそのまま食べてないし、原付も乗らずに免許だけ取りっぱなしのまま。それからにっきちゃんと出雲にも行きたいな

🐈

けれどまずは目の前の文フリ札幌ですね、、
(結局ここに戻ってきちゃう)

準備に追われすぎてて忘れてたけどあと何日か後にはずっと行きたいと思っていた北海道に行けるのうれしいな 北海道だいすき

現地ではいろいろおいしいもの食べましょう🍛
それではまた来週です!

すずめ園より

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❄️ おしらせ ❄️

ひだりききクラブは文学フリマ札幌に出展します!初遠征🎊

今回はなんと、作家で俳人のせきしろさんとのコラボサークル!
「ひだりききクラブとせきしろ」として一緒に本を販売いたします㊗️新作句集や個人ZINEもせっせと準備中です

ブース番号【い-23・24】にておまちしてます
10/3は札幌で会いましょう🍛

10月3日(日) 12:00〜16:00
「文学フリマ札幌」
会場:北海道自治労会館
入場無料🆓

https://bunfree.net/event/sapporo06/#12001600

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次の更新は9月29日 出雲にっきちゃんの番です🌰

『ひだりききクラブ』プロフィール

出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している

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