朝の怖さを知らない僕

朝が怖い。本に記載されていた、自分には理解が及ばない文字列。きっと、僕はさして痛みを知らないのだろう。気付かないうちに多くの人によって守られているのだろう。前進に伴う痛みと、現状を維持するための痛みは違うのだ。おそらくは。僕は前者しか知らない。

もしかしたら遠くない未来、僕も朝が怖くなるかもしれない。写真が好きなあの子からムラサキ色した空が送られる。

ストーリーにアップされない、個別チャットで完結してしまう画像たち。僕たちは10代の高校生であって、やはり朝に到達していない。

「どうかな?」

画像の次に浮かんだ彼女からのメッセージ。僕は3文字で褒めた。彼女は何度も受け取ったであろう言葉。僕も何度も使用した言葉。きっと美しい文字列とは、文学というものは世界の解像度を上げてくれるのだろう。でも僕は文学にも詩情にも疎く、ありふれた言葉を注ぐだけ。

英雄でもプリンセスでも賢人でもない人間が主役になれる表現媒体。それが小説だ。

何者でもない君がくれた写真を綺麗なんて言葉しか良い表せられない僕を嫌悪し始めた。

映像も音も絵もいずれも含まない、文字のみで構成される世界に苦手意識が及んでいた。朝を迎えても部屋の明かりは常夜灯のまま敢えて変えなかった。

#自由詩 #創作 #小説 #ショートショート

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