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睡眠時間が7時間を切ることの、恐ろしすぎる弊害
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日本人の睡眠時間はあまりにも短い。
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上の表を参考にすると、日本人の平均睡眠時間は世界の中でもトップクラスに少ない。しかも、上記の時間は、寝床にいる時間と実際に眠っている時間が区別されていないため、実際の平均睡眠時間はもっと短くなっている。
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スマートウォッチや睡眠計測アプリから集計した結果では、日本人の睡眠時間は6時間強というデータも存在している。
また、中学生・高校生の睡眠時間も同様に悲惨なことになっている。
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小学生までは平均8時間以上の睡眠が確保できているが、中学生になると一気に睡眠時間が減少し、高校2年生では6時間半にまで減少している。(実際の睡眠時間はさらに少ない)
確かに、私も中学生や高校生に頃は無駄に夜更かしをしていたから、ついつい遅くまで起きてしまう気持ちは十分に分かる。
だが、今になって冷静に考えてみると、その夜ふかしのせいで授業には集中できなかったし、自習中も眠くなっていたし、友達付き合いも粗末になっていったし、良いことは何一つなかったように思える。
しかし、教育業界全体として、睡眠時間についてはあまり重要視されていない印象がある。それどころか、睡眠時間を削って勉強することが美徳とされる風潮さえある。
私は学生の頃、とある付属中学に教育実習として行ったことがある。その実習の中で、友人が授業の細案を締切までに提出することができず、担当の先生に怒られていたことがあった。
その先生は『昨日は何時まで作ってたんだ?』と、その学生に聞いていた。彼は『夜中の2時までやっていました。』と答えたのだが、それに対して『それじゃあ、まだまだやる時間はあったよな?早く寝過ぎだろ。』と返していた。
生徒だけでなく、先生の間でも夜更かしをして仕事をすること=美徳とする価値観が蔓延しているならば、生徒にもその影響は伝わってしまうであろう。
今回は、そんな軽視されがちな睡眠時間に対して、データを織り交ぜながら切り込んでいきたいと思う。
寝ないことの弊害
まず、私たちはどの程度の睡眠時間を必要としてるのか?
こちらのサイトを参考にすると、中高生は8時間〜10時間の睡眠が推奨されているようだ。つまり現状では、多くの学生で睡眠時間が足りていない。
このような睡眠不足が続くとどうなるのか?
誰もが経験あると思うが、日中の眠気、頭痛、イライラ、集中力の低下、体重の増加、免疫力の低下などが挙げられる。このような状態でまともに勉強ができるとは到底思えない。
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実際に、睡眠時間が少ないと学力にも大きな影響を及ぼすデータも存在している。こちらの数字からも分かるように、8時間以上の睡眠時間は必須のようだ。さらに、睡眠時間と学習時間の関係を表した面白いデータがある。
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上記のグラフは、睡眠時間と勉強時間、そしてテストの成績の3つの関係を表したものである。ここで面白いのが勉強を1〜3時間取り組んでいるが睡眠時間が6時間以下の層よりも、勉強は1時間未満だが7時間以上睡眠を確保している層の方が
学力が高いことである。
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![](https://assets.st-note.com/img/1702014439381-EZfbe0qu2T.jpg?width=800)
別の層で見ても、やはり睡眠時間が多くなると成績も上がる傾向は同様に見られ、だいたい7時間〜8時間ほどの睡眠は必要だということがわかる。
ここからざっくりと言える結論としては『睡眠時間が7時間未満だと学力に大きな影響を与える』と言えそうである。
具体的にどのくらいの影響かというと、正確な数値はわからないが、睡眠時間が7時間未満と7時間以上とでは、少し見づらいが偏差値2〜3くらい開きがあるように見える。
では、偏差値を1上げるのに必要な勉強時間はどのくらいなのであろうか?これは偏差値帯によって大きく変わるので一概には言えないが、とある塾のサイトをのぞいてみるとこういった記載があった。
勉強していてもなかなか偏差値が上がらない場合、勉強する時間が短い、足りない可能性があります。基礎学力にもよりますが、一般的に偏差値を1上げるには、1科目当たり「約30~50時間の勉強が必要」と言われています。つまり偏差値を10上げたいのなら、単純に計算しても1科目当たり約300時間〜500時間の勉強が必要です。まずは学習する時間を今よりも多く、しっかり確保するようにしましょう。
偏差値1上げるのに必要な勉強時間は30〜50時間だそうだ。つまり、睡眠時間が短いと、ざっくり勉強時間100時間分(間の勉強時間の40時間×間の偏差値2.5)くらいの損失を受けているのとほぼ同じである。
例えば、睡眠時間6時間のAさんと、睡眠時間8時間のBさんでは、AさんがBさんと同じ成績をとりたかったら、Bさんより100時間多くの勉強時間を割く必要があるということだ。
睡眠不足は、あまりにも恐ろしい影響を与えるようだ。
以上の結果から、睡眠時間が7時間を切るようだったら、勉強するより早く寝たほうが成績が上がると言えそうである。
私が昔中3のクラスを担当していた時、いつも眠そうにしている女の子がいた。話を聞くと夜遅くまで勉強して、あまり睡眠時間を取れていなかったそうだ。私はその子に『睡眠時間を削って勉強しても意味がない。その代わり、スマホをいじるのを我慢してその分しっかり寝なさい。』こう伝えたことがあった。
しかし、その子は最後の最後まで眠そうに授業を受け(私の授業が詰まらなかったのかも知れないが)、そのまま第一志望は落ちて私立の学校へと進んでいった。
睡眠の恩恵を侮ってはならない。
なぜ夜更かしをするのか?
では、日本の子供は夜更かしをして何をしているのだろうか?
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こちらのデータを参考にすると、理由の1位は『勉強している』だそうだ。
しかし、これは本質的な理由ではないと私は思う。
もし睡眠時間を削ってまで勉強しているのであれば、その分早く勉強を始めれば良いだけである。だが実際は学校から帰ってYouTubeを見てゲームをして時間を消費しているから、その分眠りにつく時間が後ろ倒しになるだけだろう。
中学生の26%が睡眠時間を削らざる得ないくらい勉強しているとは到底思えないし、そのレベルの層はごくごく僅かであると思う。
同様に、部活で帰りが遅いというのも限度がある。これも本質的な理由ではないであろう。
よって、大半の子の理由は
『YouTubeを見ている』、『塾で帰りが遅い』、『電話、ラインが長い』
この辺りが睡眠時間に直接関係する理由だと考えられる。
私が中学生の頃は夜更かしをして海外ドラマのDVDをレンタルしてよく見ていたのだが、それがただYouTubeやラインといった現代のメディアに変わっただけなのだろう。
夜更かしをしてもしょうがない?
しかし、夜更かししてしまう子を一概に責められないとも私は思っている。
こちらは睡眠について深く研究されている柳沢正史教授のYouTube動画だが、この中で小学校高学年から夜型になっていき、20代、30代くらいまでは夜型の人が多く、40代頃からまた朝方に戻るという説明がされている。
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確かに、近所をやたら朝早くから散歩しているおじいちゃんをよく見かけるし、若者は夜更かししがちというのは、なんとなくイメージとしても一致する。
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実際データを見てみても、30代を境に就寝時刻は早まっていく傾向が見られる。
このことから、中高生が夜更かししてしまうのはある種避けられない部分もあるように私は思う。夜更かししてYouTubeを見たり友達とラインをしているのは、たんに眠くならないだけなのかも知れない。実際私はそうだった。
学校が始まるのが早すぎる
では、こういった状態を変えるためにはどうすればよいだろうか?もちろん個人の努力も必要だが、私は常々、そもそも学校が始まる時刻が早すぎないだろうかと思っている。
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日本の学校はだいたい8時半前に登校時間が設定されているようだ。そうなると、遅くとも6時半には起きなければならないが、これは早すぎではなだろうか。
塾が終わるのが22時だとしたら、そこから家に帰ってご飯を食べてお風呂に入って、すぐに床につかないと最低ラインの7時間睡眠を確保することが難しくなってくる。
このことから、学校の始業時間を遅らせてみるというのも一つの手段のように思える。実際アメリカの学校では始業時間を遅らせた実験があり、その結果睡眠時間、成績、出席率が上がったという成果もある。
また少し古い記事だが、学校で昼寝の時間を導入したら授業に集中できると答えた生徒が増えたという取り組みもある。
これらのことから、学校の始業時刻を1時間ほど後ろに持ってくるというのはどうだろうか?その分学校が終わる時刻も1時間後ろに倒れるが、それは部活の時間を短くすることで調整すれば良い。
実験的に、どこかの学校でぜひ取り組んでいただきたい。
まとめ
今の日本では睡眠時間を削って勉強をしたり仕事をする行為をある種崇めている側面があるように思えるが、睡眠時間が7時間を切るようだったら、勉強せずに早く寝たほうが学習効果が高いと言える。
具体的に言うと、睡眠時間が7時間を切るとざっくり100時間分の勉強時間をゼロにするのとほぼ同じ損失が生まれてしまう。また、夜遅くまで勉強をするといかにも勉強をした気になってしまうため、良い意味での焦りがなくなってしまう。
また学校の先生や塾の先生達も、睡眠時間を削って勉強している生徒に対して、それを肯定するような言葉をかけるのを止めていただきたい。勉強時間を増やすために本当に大切なのは、睡眠時間を削ることではなく、ゲームやスマホ、友達とラインをダラダラし続ける時間を減らすことが重要なのである。
その努力をせずに安易に睡眠時間を削るのは、努力の方向性が間違っていることに他ならない。それを生徒に伝えるのが、我々の仕事なのではないでしょうか?
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