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月々のうた

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毎月つくった自選短歌をピックアップしてまとめています。
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#自選短歌

月々のうた:2024年5月

潜望鏡どうしで見つめあうように服を着たまま続くおしゃべり コンビニはあの日ココアを分けあった熱が空へと還った跡地 片割れのパピコの屑を蹴る路のウィンドウにもわれのさみしさ 足りなさに慣れてしまってもう着ないSOSの赤いブラウス 君向けのディアゴスティーニがあるんだよ週刊わたしを恋人にする ゴールデンウィークにひたすらだらけた日々を送った必然として、スイッチが入らないままなんとなく6月を迎えてしまいました。うたの日の出詠も怠けており、あ、でも1本薔薇をいただいたので

月々のうた:2024年2月

人類の二足歩行のメリットはわずかに空へ近づけること 大切なひと大切なわたしたちだった白夜のようなアパート 左利きの君は右腕から洗うGAFAの知らない個人情報 止血した愛は願いを閉じ込めて受粉のままに膿んでいくのね 舌先がきみを知ってる味噌汁の味も奥歯の治療のあとも 気づいたら2024年の2月が終わってしまいました。もう3月ですよ? なんだろう、いつもより早く回ってるんじゃないか?地球…。そんなに頑張らなくてもいいよもっとゆっくり回ってくれていいんだよ? さてこの

月々のうた:2023年8月

泣きごとは生きること手を握ること旅客機の灯を滲ませながら すれ違う渡り廊下で手を振ればその日おそらくスカートは風 光さす百葉箱だこの部屋の午後は寝息で永遠になる まだ飛べるまだ飛べるよと手を広げもう鳥たちの去った夜空へ いく夏に翼をもたぬ僕たちは雲の落とし子のなか走った くちびるの西瓜の露を拭いとる指を噛んだら真夏の遺影 八月もなんだかんだで一日一首ペースでした。うたの日にはあまり顔を出さず、自分のペースで自分のうたを作っていた月だったと思います。中でもCDTN