マガジンのカバー画像

月々のうた

26
毎月つくった自選短歌をピックアップしてまとめています。
運営しているクリエイター

#note

月々のうた:2023年11月

鉄橋を渡る通勤電車より鴎、だろうか、知らないけどさ 白線のうしろに垂れた向日葵へ陽射し、もうせーので跳べない 血液の歌うごと流れる速度きみを迎えに行く夜は晴れ 神様はいることにする信号の向こうで君がこっちに気づく さよならのかわりに海の家だった砂辺で波の音を聴きます 街路樹を四角い土が懸命にここは地球!と励ましている 九月、十月からのスローペースは相変わらずで、でも思いのほかこのペースが馴染んでいて、あぁこれくらいなのかもしれないな、私は、と思い始めています。本

月々のうた:2023年2月

春の陽を抱き締めたくて走り出す冷たい風と同じ速度で 芋虫になってもきっと背伸びして高い葉ばかり見てるよ私 いまだって現実は窓の外だから返信を打つひとに抱きつく クタクタに過去も馴染んだ居心地が昨夜のカレーみたいなおとこ 嫌いとか進行形じゃないよもう星が綺麗だなんてずるいよ GODIVAより千のブラックサンダーで君とジェンガをする愛がいい 激寒、からの春の気配、など気候的には実はダイナミックな2月ですが短歌的には低空飛行で、あんまり詠めなかったなぁ、という印象では