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月々のうた

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毎月つくった自選短歌をピックアップしてまとめています。
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#tanka

月々のうた:2024年5月

潜望鏡どうしで見つめあうように服を着たまま続くおしゃべり コンビニはあの日ココアを分けあった熱が空へと還った跡地 片割れのパピコの屑を蹴る路のウィンドウにもわれのさみしさ 足りなさに慣れてしまってもう着ないSOSの赤いブラウス 君向けのディアゴスティーニがあるんだよ週刊わたしを恋人にする ゴールデンウィークにひたすらだらけた日々を送った必然として、スイッチが入らないままなんとなく6月を迎えてしまいました。うたの日の出詠も怠けており、あ、でも1本薔薇をいただいたので

月々のうた:2024年4月

きみ型にあいた心の穴だから埋めればそれはキミなんだろう ほんとうの願いをひとつだけ持てば綿毛のようにあなたは飛べる 普段着を死装束として君がまたねと言って離す僕の手 エピソード1を聞かせて続編のようにあなたの遠いはつ恋 対岸が見えない川で君の名を呼べば世界はやさしく滅ぶ 1か月過ぎるのが速すぎますよ。ついこの間まで桜が桜がと言っていたのに気づけば5月。どうしてこんなに速いのか。 連休までの仕事前倒しのあおりで4月は引き続き繁忙モードだったこともあり、うたの日への

月々のうた:2024年3月

別れてはいけない人なんていない珪土マットにひと知れず水 踏まれたら野道になって夏草の露であなたを少し濡らそう 低反発枕は戻るゆっくりと揮発していく夢を惜しんで くちびるを裂かず言葉は舌先へ残り噛み砕くにはいとしい 後ろ手をほどいて受ける雨よまだあがるな銀の線で突き刺せ はい、3月も終わってしまった!新年度! 思えばこの3月は、私の人生でも特筆すべきさまざまな出来事の連続でした。ありすぎました、ほんとうに。辛いことと嬉しいことの、その極限的なパワーで両極へと、本当に

月々のうた:2022年12月

かじかむ手さよならに既読をつけたダークモードの文字は初雪 明日より夏へとのぼる観覧車きみと乗り込む冬至の夜だ ルルルルルもう無理みたいルルルルル着信音を空へと投げた なお甲が乙を微笑ませる限り恋は延長される(無期限) 腹の虫宇宙生物説を説く君が怒りで育てる何か 僕Aと僕Bの交換日記引き継ぎ事項「起きたら逃げろ」 まだ何も言えず綺麗な思い出へ動物園に蛍の光 2022年もついに終わってしまい、あたらしい年になりました。 昨日と今日の連続にしか過ぎないのに、4桁の数字