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月々のうた

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毎月つくった自選短歌をピックアップしてまとめています。
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#11月

月々のうた:2023年11月

鉄橋を渡る通勤電車より鴎、だろうか、知らないけどさ 白線のうしろに垂れた向日葵へ陽射し、もうせーので跳べない 血液の歌うごと流れる速度きみを迎えに行く夜は晴れ 神様はいることにする信号の向こうで君がこっちに気づく さよならのかわりに海の家だった砂辺で波の音を聴きます 街路樹を四角い土が懸命にここは地球!と励ましている 九月、十月からのスローペースは相変わらずで、でも思いのほかこのペースが馴染んでいて、あぁこれくらいなのかもしれないな、私は、と思い始めています。本

月々のうた:2022年11月

親方が養生しとけと言うもので帰って養生しておりました ええねんがリフレインする東京行のぞみの中でようやく泣けた 北へ北へ、逃げるがごとき駆け落ちを祝福するか桜前線 でも君は行ってしまうね信号の赤は気を惹くだけの寂しさ 神様のセンスにしっくりきていないパンダは夢でシロクマになる アヒル口アヒルにすればざけんなよくらいの方がキスはしやすい 何ひとつ変はらぬ日だと言ふがごと文庫を捲る君去りし部屋 11月になりました。 この11月は文学フリマ東京があったり、スペースで私