お米の等級の報道が増えた
北陸では稲刈りが8月終わりくらいから10月初めくらいにかけておこなわれる。
なので、その時期になると、誰もが新米の話をするようになる。
農家や飲食店の人だけでなく、一般の消費者の人もだ。
近くに田んぼがあったり、親戚に米農家がいたり、身近でお米の話題に触れる機会が多いし、美味しいお米を食べているからなんだろうなと思う。
そういう環境で新米の話をするのは自然なことだし、なんとなく等級があることも知っている人は知っているだろう。
お米の味がわかるから、わざわざ米農家から直接出荷する紙袋に入った状態のお米を買う消費者も多い。
スーパーやホームセンターに30キロの紙袋に入ったお米を置いてあるのは地方ならではなのか、それとも全国でも置いてあるのかはわからないのだけど、米農家や農協などが出荷したものなので、機会があったら見てほしい。
生産者の名前、品種の名前が書いてあれば、同じ品種の米、例えばコシヒカリを稲刈りして乾燥させ、籾摺りして袋詰めした玄米なので、他のものと混ざらない。
全く違う地域のお米が混ざることはないので、一袋の中身は均一なものになる。
その農家さんのお米が美味しいと思えば、その味が自分に合うということだから、その人のを選べば良いということになる。
農協の名前で出荷されていると、地域が広くなりいろんな農家さんのものが混ざって入っているけれど、それでも美味しければそれで良いと思う。
さて、等級というのはどういうものなのかといえば、実が大きくなるとき水が足りなかったり高温に当たって白くなったものが多いと等級が下がり2等米になる。
確かに風味が変わるけれど、ご飯ソムリエや飲食店で同じ品質のものを提供する場合でない限り、そこまで気にするほどではない。
なぜなら、スーパーでビニール袋に詰め直されて販売されているものは、すでにいろんな等級の米を混ぜて販売しているからだ。
農家は出荷した米の等級が下がるとそれだけ値段を下げられてしまうので死活問題なのだが、スーパーでは手頃な値段にするのに高い米と安い米を混ぜて提供している。
それをほとんどの消費者は知らないはずだ。
なぜ、米が不作のときに敢えて等級のことを報道するのか。
いくつかのニュースを見ていて、消費者寄り、生産者寄りに報道している、どちらも伝えていると感じながら眺めていたが、もしそれで等級を気にして良いものを、あるいはより安いものを、と気にすることになったら、それは消費者自身の首を絞めることになると気がついてほしい。
この異常気象で物が作れない事態は、国内産の物が全体的に不足するということで、そんなときに等級を気にして出荷してくれと農家に言われても、無いものはないのだから。
あるものをみんなで分配できなくなったら、社会的弱者がまず手に入らなくなる。
農家も作れないから生活できなくなって、辞める人がますます増える。それが大規模農家に集約されていくかもしれないが、昨今の燃料費や肥料代の高騰が大規模になればなるほど経営を圧迫する。
持ち堪えられればなんとかなるかもしれないが、もし無理だとなったら、その田んぼを誰が引き受けられるのか。
引き受けられない田んぼは放置されてしまえば、数年で米作りのしにくい田んぼになってしまう。そうなれば、生産量も下がる。
毎年の手入れが田んぼには大事なので、どうか自分の食べることばかり考えないで、作っている現場のことも考えてほしいし、最近の報道を見て、知らなかったことを知ってそこからいろいろ調べてほしい。
うちは畑だけではなく米も作っているので、思ったことを書いてみた。