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ホワイトモカと日々の願い

冬になるとどうしても、スタバのホワイトモカが飲みたくなる。寒さでかじかむ夜の帰り道はとくにそうだ。今日はまさにそんな日だったので、迷わずスタバに向かった。甘ったるさが身体中に染み渡り、ほっと息を吐く。マスクから溢れた体温が眼鏡を曇らす。

いつかの夏、アイスのホワイトモカを頼んだときは甘ったるくてとても飲みきれなかったのにな。それ以来ホワイトモカは、わたしの中で冬の風物詩となった。


毎年この時期になると「いつ帰ってくるのか」という祖母からの電話があるのだけれど、今年はまだない。いま祖母は老人ホームと家を行き来する生活を送っていて、なかなか電話も繋がらなくなってしまった。昨今の状況を考えると祖母も迂闊に帰省しろとは言えないのだろう。最後にあったのは、もう一年以上前。最近は会う度に目に見えて弱っていく祖母を見るのが辛くて、そう長くはない祖母の未来を感じている。

祖母はわたしたち姉妹が生き甲斐なので、会いに行きたい半分、会いに行ったら力尽きてしまうような気も半分。でもやっぱり、会いたいよ。一人暮らしだってわかってるのに、一箱20個入りのりんごを送ってくれたりしてさ。食べきれないよ、って言わなきゃいけないのに。


話は逸れるけれど最近、なんとなく気持ちがもやもやしていて晴れなくて、なんでだろうって考えたら気づいた。わたし、もう一年もひとり旅をしていない。

ちょうど今年の元旦に日本に帰ってきて、そのあとコロナで旅ができなくなって。夏には北インドに行くはずだったのに。国内旅行はいくつかしたけれど、すべて恋人と一緒の旅行で、旅ではなかった。それもいいけれど、わたしにはひとりで知らない場所を訪れる時間がどうしても必要なんだ。こんな世の中でも行ける場所はないのか・・・と本気で探している自分がいる。一番行きたくて一番会いたい人には会えないのに、おかしな話だ。わかってる。


はあ、とため息をつきながらホワイトモカを口に運ぶ。温まる体、曇る眼鏡。そういえばコロナの直前、眼鏡からコンタクトに移行しようとしていたのだけれど、なんとなく病院に行きづらくなってそれっきり。見通しが立たない視界とおさらばしたいんだった、忘れてたよ。

行きたい場所には行きたいし、会いたい人には会いたいんだ。早くそれが叶う世界になりますように。

おやすみなさい。



世界はそれを愛と呼ぶんだぜ