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京都は雨が似合うおどろおどろしい土地

『ADDress』という空き家のサブスクを契約した。今日からしばらく放浪生活。

まずは京都へ。宿泊先はガチの古民家。世話焼きで話好きな歴史オタクの夫と、控えめながら有力な情報を持っていそうな妻が夫婦で住む一軒家の4畳一間が私の宿。

家守さんからはたくさん京都の小話を教えてもらった。京都はおどろおどろしい土地であり、ゆえに寺が多い。改めて歴史の積み重ねがえぐい。

夜は鴨川のほとりのカウンターのみの小さな飲み屋へ。80歳のおじいさんが切り盛り。京都で生まれ育ち、一度はサラリーマンになったものの、親からお店を継ぎ、以来40年以上続けているそう。

同じ場所で同じ仕事をずっとしていて、飽きたり別の場所に行きたくなったりしないのか。そう尋ねると、「旅は好きだけど、住みたいと思う場所はここ以外になかった」とのこと。仕事に関しては「好きだからとしか言いようがない」らしい。

その答えに至るまでにはきっと紆余曲折があったのだろうけど、40年続けている事実と、目の前でニコニコしている人の良いおじいさんを見れば、それが真実なのだろうと納得するしかない。説得力がある人は無条件にかっこいい。

おじいさんがトイレから「満開!」とお花を持って出てきた。鴨川で摘んだおしろい花で、水あげが悪いから花が咲くのは珍しいそう。貴重な瞬間に立ち会えたことも、それを共有してもらえたこともうれしい。

カウンターにはお花が飾られていて、それは全ておじいさんが鴨川で自ら摘んできたものなのだとか。活けているのになぜかドライフラワーになった花屋で買った元生花を部屋に飾るわたしとの豊かさの格の違いを突きつけられる。

明日の京都は雨。「残念です〜」とこぼすと、おじいさんと常連のおねえさんが「雨の京都は良い」と教えてくれた。京都は雨が似合う街だそう。一気に雨が楽しみになった。こういう返しができる人にわたしはなりたい。

お店を出てからは銭湯へ。番台から脱衣所が覗ける昔ながらの仕様。メガネを外せばほぼ見えないので、さほど気にせず普通に風呂へ。面倒なので濡れ髪のまま歩いて宿へ。良い初日。

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