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沖縄の飲み屋の店主から子ども時代の話を聞く

7時前に目覚める。深酒すると早起きになる。二日酔いというか、まだ酔っ払っている感じ。 

腕には量子力学のなんちゃらがどうにかなっているというドジっ子のバンドがはまっていた。そういえば熊野古道の家守さんが「スピリチュアルを突き詰めれば最終的には量子に行きつく」と言っていた気がする。バンドを見てなんとなくわかったようなわからないような。

二日酔いにならなかったのはこれのおかげってコト……!?

今日沖縄を発つゲストハウス準備中の男の子を見送り、コーヒーを淹れていたら「バイクの鍵がない」と男の子が戻ってきた。そのままみんなで家中を探したり荷物をひっくり返したりしたものの鍵は見つからず、結局バスで帰って行った。

本人の気持ちを考えたらたまったものじゃないけど、雨かつ強風、しかも沖縄の道路は滑りやすいそうなので、逆にバスで行けてよかったのかもしれない。結局鍵はどこにあったのか、見つかったらぜひ答えを教えてほしい。

鏡を見たら顔に小さな切り傷ができていた。なぜ……?と思ったら、「昨日木に突っ込んでたよ」とのこと。そういえば部屋でつまずいて、片隅にあった謎の木と衝突した気がする。

しかも「転んだの?」と聞かれ、転んでないと言い張ったらしい。照れ隠しだったのだと思うけど、結局は恥ずかしさがプラスされただけ。顔に切り傷がある36歳、子どもと違ってそこにかわいげはない。

昨夜、最初の滞在時に親切にしてくれた女の子3人のうちの元気な女の子が石垣島から帰ってきた。今のおうちはもともと1泊だけの予定だったけど、文章を添削してほしいと連絡をもらい、彼女が帰ってくるタイミングに合わせて「延泊しましょう!」とご提案いただき2泊になった。そして昨晩お酒を飲んだノリで木曜日にもう1泊することになった。

約束通り文章をチェックし、話を聞きながら情報を足したり引いたり文章を入れ替えたりと微編集。たいしたことはしていないけど、「すごい〜!」と褒め称えていただいた。喜んでもらえて何より。

そのままなんとなく仕事をし、そろそろ出発しようかなと思ったらお昼ごはんにお誘いいただき、ありもので作ったという手作りチャイまでいただき、結局次の予定ぎりぎりまでいてしまった。

帰りには「みんなで歌うので一曲聴いていってください!」とモンゴル800を元気な女の子がウクレレで弾き語ってくれたが、「みんなで」と言いながら他の人たちはほぼ歌わずおのおのマイペースに過ごしており、妙におもしろかった。見ようによってはインスタレーション。

ふりかけグランプリ受賞のイカ昆布

今日からさらに北に向かい、国頭に2泊する。車がぶれるほどの強風で、ためしにアクセルを踏まずに向かい風に立ち向かったら車は動かなくなった。すごい。

夜は宿の隣の飲み屋さん。外国人と日本人のカップルが、常連と思わしきおばあちゃんに「飲みっぷりがすてきだから」とビールを1杯ご馳走して帰っていった。いいものを見た。

カウンターのケースに見慣れない白い何かがあったので聞いてみたら、イカのゲソ。

左の赤いやつのとなり

これがゲソ!?と驚いていたら、2切れわたしのマース煮にプレゼントしてくださった。ねっとりしていておいしかった。大きなイカだったらしい。

汁にコーレーグースを少し入れるとおいしいと教えてくれたのでおたまに入れたら「そんな入れたら大変!!」と注意された。アドバイスにしたがってほんのちょっと入れてみたら結構からい。コーレーグースのからさはかなりばらつきがあるから様子を見て少しずつ入れた方がいいそう。

イカ

店主のおじいさんは板前歴45年、今のお店を始めて25年。国頭出身で、東京と名古屋を経て地元に戻ってきたとのこと。

子どもの頃は今ほど台風の威力が強くなく、高波に向かって泳ぎ、波を抜けられたら勝ちというゲームをしていたそう。抜けられないと波に巻き込まれて背中がサンゴでズタズタになると言っていた。当時の台風は風速30メートルほどだったが、今は70メートルくらいになることもあるから「絶対そんな遊びはしちゃだめ」らしい。

沖縄で雪が観測されたことはないとされているけど、気象庁が確認できていないだけで、このあたりの山で雪を経験した人はいるのだとか。「みぞれなら見たことある」とおじいさん。公式に発表されていることが全てではない。東京で何もかもわかったような気になっていてはいけない。

店主が子どもの頃は気温が0度近くなる日もあり、火鉢で暖をとるときは両手を合わせて空間をつくり、その中で火がついた炭のかけらをバウンドさせて遊んでいたと教えてくれた。「そうやって勝負してたの」と言うので、何をしたら勝ちなのか尋ねたら「そういうことじゃないのよ」と。無粋なことを聞いてしまった。

そんな話をしていたら突然停電。村全体が停電しており、外は真っ暗。こんな経験めったにないので、不謹慎ながらはしゃいでしまった。

おすすめのスポットを聞いたら、常連のおばあちゃんも加わり、たくさん教えてくれた。帰りがけに「今日はビール何杯飲んだんですか?」と聞いたら「35杯!」とおちゃめ。良い夜だった。

カラキ酒

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