見出し画像

白浜に向かう道中にあった、情緒不安定なエビとカニの水族館

熊野古道を出て、白浜へ向かう移動日。お世話になった宿は二日間かけて歩く熊野古道中辺路の真ん中にあり、宿泊者は基本的に一泊しかせず、翌朝は早朝に出て行く。

つまりこの8日間知らないおじさんとほぼ二人暮らしだったわけで、冷静に考えると不思議な生活だった。外の明かりや遠くから聞こえる人の声で目覚めるのは心地良くもある。今朝はオーストラリア人男性の「アリガトウゴザイマシタ」の声で目覚めた。

家守さんはスピリチュアルな人だと自認していたが、酒屋の店主もお寿司屋さんの皆さんも出会った地元の人たちも、あたりまえに大きな何かを信じている。本当にそういう土地なんだな。

書き忘れたどうでもいいことは、部屋のテラスの後ろは山だと思っていたら道だったこと。人が通って初めて気づいた。せっかくだし全裸で酒でも飲んでみようかと狂ったことを考えていたが、やらなくて本当によかった。これも大いなる何かが止めてくださったのだろうか。

白浜は直接向かえば1時間ちょっとだけど、那智の方から海岸沿いドライブするのもいいと思うと家守さんから教えていただいたのでそうする。

熊野古道への名残惜しさはあったが、やはり海が見えるとテンションは上がる。

今日一番良かったのは、道の駅にあったエビとカニの水族館。まず入り口の張り紙が悪趣味。

中の展示もなかなか狂っていた。「スベスベマンジュウガニは毒があるから食べちゃダメ!」と警鐘を鳴らしながらスベスベマンジュウガニのおいしい食べ方として味噌汁の作り方を紹介し、「絶対食べてはダメ!!」と注意書きを足す。お情緒……?

不安になる説明書き

「カブトガニはカニじゃない!クモやサソリの仲間!」と説明しながらサソリを紹介するエビとカニの水族館。結局サソリもエビカニではないわけで、なぜここにサソリ……?と混乱する。

サソリ

「さわってみよう!!」という張り紙とともに、世界一大きなカニとの触れ合いコーナーもあった。迫力がすごい。

そんな気軽にさわれるかよ

イソギンチャクと梅干しを並列で説明するセンスにもグッときた。和歌山だからウメボシイソギンチャクにフォーカスするのはわかるけど、梅干しの説明を横に置く意味はあったのか。

もうこわいよ

その後も道の駅にいちいち立ち寄る。道の駅の存在を教えてくれたのは叔父で、叔父の車に乗るとすぐ道の駅に寄ってくれた。寄り道せず最短で目的地に向かう父は絶対に道の駅に寄ってくれなかった。今のわたしはいくらでも道の駅に行ける。大人は自由で最高。

線を無視する自由な駐車

宿で食器が見当たらず、ダメと書いてあったがまぁいいだろうとコップを借りる。とはいえ正式に借りていい食器の場所は確認しておこうと家守さんにメールしたら、「監視カメラで見たんですけど、すでにコップ使ってますよね?」と電話が来てものすごい引いてしまった。

勝手に使ったわたしが悪いのは重々承知だけど共有スペースとはいえ見張られているようで気分悪いし、監視カメラあるなら最初に言っておいてほしい。

気を取り直して熊野の思想の強い酒屋で買った日本酒と、調達してきた和歌山産の炙りカマスとタチウオのお刺身で晩酌。暗くて何も見えないけど目の前は海で、窓を開けてちょうど良い気候で波の音も聞こえる。

部屋の眺望はいいんだけど、家守がどうしても気になるので身銭を切ってホテルに泊まることも検討中。すっかり水を注されてしまった。やけ酒気分で日本酒を飲むのは危険でもある。

日本酒のコップの中に虫が浮いていた。クソォと思って指ですくったら生き返った。とても良いことをした気持ち。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?