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不言実行より、有言不実行の方がすごいんだ

アメリカで俳優として頑張っている幼馴染とオンラインで話す。俳優向けのマーケティング講座を受講していて、俳優としての自身のストーリーを語り、それについてフィードバックをもらう課題があるそうで、そのお手伝い。

彼女の話は幼少期から始まり、未来への展望で終わる。その都度リアルタイムで話は聞いていたけれど、ストーリーとして改めて聞くとジーンとしてしまう。

彼女がアメリカへ渡った20代半ば頃、わたしは常識にがんじがらめで、好奇心が薄く、夢を追う彼女に冷たかった。就職して望まぬ営業の仕事をしていた当時の自分にとって、好きなことに向かって頑張る彼女は妬ましい存在だったのだと今なら認められる。

だからあの頃のわたしは、俳優を目指してあれこれ動いている彼女の話を素直に聞くことができなかった。働いてないのになんなの?みたいな最低の態度を取ってしまったこともある。

でも、彼女にだって人とは違う道を選ぶ怖さや不安は当たり前にあったわけで、当時の自分の器の小ささと想像力のなさに情けなくなると同時に、今の自分が彼女の話を素直に聞けることがとてもうれしい。それはきっと、今の自分が楽しく生きられている証拠。

幼馴染は真面目で、不器用で、人に対して臆病で、意外と人からの見られ方を気にするタイプだけど、それでも「これがやりたい」をちゃんと口に出して、怯えながらも行動して、失敗と挫折を繰り返せるのはすごいこと。

昔上司から言われたことを思い出す。

「有言実行、有言不実行、不言実行、不言不実行だったら、お前は有言実行の次にいいのは不言実行だと思っている。でも、できなくても何も言われない不言実行より、たとえできなくてもやると宣言する有言不実行の方がすごいんだ」

わたしは「これがやりたい」を口にするのがすごく苦手で、できなかったらどうしよう……ばかり考えてしまうけれど、口に出せずに何もしないより、やってできないことの方がかっこいいんだよなと励まされ、涙ぐんでしまった。

思えば自分の転機も、営業をやっていた頃に「クリエイティブの仕事をやりたい」と口に出して編集部に異動したことだった。自分の中で蓋をしている「これやってみたい」にわたしも向き合わなければ、と書きながら、それをここに書く勇気はまだない。でも、向き合おうと思えたことが第一歩。今はそれでよし。

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