フリーランスの忌引き休暇
先日、祖母が亡くなった。脳梗塞で倒れ、病院で1年4カ月ほど寝たきり生活を送っていたので、安らかな顔を見て、ようやく楽になれたことにむしろホッとしている。
コロナ禍で面会は制限され、入院期間中のお見舞いは母と叔母が数回行ったのみ。お花も飾れない中での1年4カ月は、祖母にとってどんな期間だったんだろう。亡くなった事実よりも、そっちに想いを馳せる方がつらい。
危篤状態になってからようやく孫の面会も許可され、私と妹は亡くなる当日に祖母と会うことができた。最後の時は叔母といとこが立ち会うこともできて、本当によかった。
大変な中、面会を許してくださった病院の皆さまには心から感謝しています。本当にありがとうございました。
さて、タイトルの件。訃報を受けて、真っ先に考えたのは仕事の調整だった。当然、フリーランスに忌引き休暇はない。身一つで生きるというのはこういうことかと、本当の意味で痛感した。
とりあえずググったら「祖父母の忌引き休暇は3日が一般的」とあったので、葬儀を含め3日間のセルフ忌引き休暇を取ろうと決めた。祖母は東京なので移動はないものの、喪主となる母のサポート&ケアもしたいし、何より仕事の不安を抱えた状態で祖母を見送りたくなかった。
祖母が亡くなったのは金曜の夜。幸い翌週の取材はゼロ(それはそれで大丈夫か?)だったので、スケジュールとしては打ち合わせを1件リスケするのみ。問題は翌週納期の原稿で、これらの調整が必要だった。
どれも急ぎではないし、「祖母が亡くなったので納期を遅らせたい」と相談して、嫌がられることはないとわかってはいる。もし相手の対応に不信感を覚えたら、その仕事は今後お断りしようとも思っていた。
それでも「結構ドキドキするものなんだな」と感じたことが自分でも意外だった。「守られていない」とはこういうことかと。
幸いにもフリーランスになってから不安を感じたことはなかったのだけど、初めて「これがフリーランスの不安定というやつか」と実感した。
結果的に、ご連絡した皆さんには温かい言葉と共に、納期の調整をご快諾いただき、本当に感謝しています。ありがとうございました。おかげさまで仕事に気を取られることなく、祖母を見送ることができました。
なお、葬儀は家族葬。久々に祖母の娘と孫、孫の家族が一堂に会し、「こんな明るくていいのか?」というくらい賑やかな雰囲気の中、楽しくとり行われました。お葬式というか、春の弔い祭。
夜は祖母の周りで飲み食いしたり、祖母と自撮りしたりと、やりたい放題ワイワイしながら時に泣き、最後はお棺に生花を詰め込めるだけ詰め込んで、フラワープリンセスとしてあの世へ送り出しました。
そんなこんなで今は落ち着き、来週から通常運行です。時々ふと悲しいけれど、なんていったって92歳の大往生。私は概ね元気ですので、皆さまどうぞお気遣いなく。
最後に。愛するおばあちゃん、本当にお疲れ様でした。35年間遊んでくれてありがとうね。
来年からはきっと、春が来ると思い出す。桜のような、私のばあさん。
(なんとNetflix配信中の映画『桜のような僕の恋人』主演の中島健人さんにインタビューしました。読んでネ!)
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