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芦屋で高校の友人と人生を語り、おでん屋で30年後に思いを馳せる

8時過ぎに起きようと思っていたのに6時に目覚める。6時なら起き出しても良い時間ではあるので、諦めて朝の準備をしてモーニングへ。

カフェはバーっぽい作りのお店で、カウンターでは若い男の子と店員の女性が不器用に会話をしていた。酒で饒舌になっている客とこなれたバーテンダーが醸す夜の空気とはまるで別物の朝のフレッシュな雰囲気に恥ずかしくなってしまった。

3時間後に迫る高校時代の友人とのランチに向けてお腹を減らすべく、大阪駅まで1時間弱歩き、芦屋へ。早起きはたしかに得した気分になる。

友人いわく、当時一緒にマクドナルドに行った際、わたしは「ポテトっていうかポテトの塩が好き」と言っていたらしい。そんなわけはなかろうに、とがりたい年頃だったのであろう。

彼女は今でもマクドナルドに行くたびに「塩……」と思い出すそう。どうでもいいのに妙に思い出す出来事はたしかにあるけど、どうにか忘れていただきたい。

ランチの寿司

公園の砂場で友人の4歳の息子と遊ぶ。よそのお子さんも混じって砂を掘ったり何かを埋めたりそれを出したりを繰り返す。大人は目に砂が入ってつらい。

おもちゃを貸してほしいのに貸してもらえずにポロポロ泣く子もいれば、気がつけばお目当てのおもちゃでちゃっかり遊んでいる子もいる。こんな年齢から要領や世渡りの良し悪しは如実に出る。

カフェに移動し、お子さんが爆睡する間に子育てや生活など、2時間近くシビアな人生の話。

わたしが高校生の頃にマジョリカマジョルカがリリースされ、カラーアイライナーが話題になった。友人は赤いアイライナーを使って星条旗をイメージしたアイメイクをしていた。

そんな個性派でとがっていた彼女とポテトの塩でとがろうとしていたわたしは約20年後、図らずもそれなりにとがった人生を歩んでいる。

日が暮れたらものすごく寒くなり、大阪に戻ってからおでんと熱燗でほかほかになりたいとお店を探す。3軒目にして繁華街から外れた小さなお店のカウンター席にようやく入れた。

昨日の夜から薄々思っていたけど、わたしはおでんと日本酒の組み合わせがかなり好き。

慌ただしいカウンター内とホールの中継地がわたしの横にあり、なんとなくわたしも慌ただしい気持ちで矢継ぎ早に提供されるおでんを食べる。

店主と思われるおじさんはおでんのつゆをお皿に入れる際に手にかけたようで「あつい〜」と静かに言っていた。毎日おでんをよそっていればそのくらいのリアクションで済むようになるんだなと熟練の強さにほれぼれ。

反対隣は60代くらいの女性二人組。タバコをスパスパ吸いながらワーワーしゃべり倒し、「ママ頑張ってや〜!」と忙しくおでんを扱うおばちゃんを励ましていた。

わたしと友人も30年後、こうやって楽しくやいのやいの言いながらおでんをつつけていられればいうことはない。人生のせちがらさにやや落ち込んでいたが、温かくなって元気が出た。やはり寒いのはいけない。

帰りに銭湯に寄り、高温のスチームサウナでせいろの豚まんの気持ちを疑似体験。ほかほかに蒸された後は水風呂で冷やし、椅子に座ってぼーっとしていると内側から湧き上がるように体がほかほかになる。

未婚既婚、子どもの有無にかかわらず、30代半ばの女はいろいろ大変だけれども、それを通り過ぎたあとにほかほかがやってくるのかもしれない……とそれっぽいことを考えながら帰路に着く。

結局帰りも大阪駅から1時間近くかけて歩いて宿に帰った。わたしは電車があまり好きではなく、特にホームが変わる乗り換えが嫌い。

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