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冬の滋味おかず。「おばあちゃんちの白菜炒め」は、わたしの料理の原点です。

毎年冬になると、おばあちゃんちの狭い玄関に大きな木桶が現れました。

小学生のわたしは、「ただいまー!」と靴を脱ぎながら、いつも木桶の中身が気がかりでした。

|すっぱい白菜が、5日に1度おいしくなる

両親が共働きだったので、学校が終わると近所に住むおばあちゃんちへ夕飯を食べに行く日々。

食卓には、木桶から取り出されたばかりの「白菜の漬物」が毎日並びました。

ちょっと酸っぱくて、おいしいかと言われたら、うーん…でした(笑)

けれど、平日5日に1度のペースで「白菜のおいしいおかず」が登場したのです。野菜だけなのにごはんが何杯もすすみました。

どうやら、食べ残した白菜の漬物を炒めたみたい…。だけど、どうしてこんなにおいしくなるのか不思議でたまりませんでした。

|おいしさの秘訣は、酸っぱさ

それから月日が流れ、中学生になったある日。

「白菜の漬物を炒めたおかず」はどうやって作るの?と尋ねたんです。肌荒れをきっかけに料理に興味をもつようになったものですから…。

なにかすごいコツや調味料が必要なのだろうと思ったら「酸っぱくなった白菜をごま油でただ炒めただけだよ」と言うではないですか。

え?そんなに簡単なの?
正直、少子抜けでした。

おいしさの秘訣は「うーん…」と思っていた酸っぱさ(乳酸発酵)にあったのです。

今回は、そんな思い出の味を紹介させてください。

大きな木桶も、酸っぱくなる(乳酸発酵)のを待つ時間も要りません。
誰でも手軽に作れるレシピにしました。

|材料(作りやすい量)

白菜 1/4カット(400g)
塩麹 大さじ2(または 塩小さじ1)
ゆず or レモン汁 大さじ1/2
ごま油 大さじ1
鷹の爪 3〜4輪
しょうゆ 少々

|作り方

保存容器に細切りした白菜1/4カット(400g)
塩麹 大さじ2(または 塩小さじ1)
ゆず or レモン汁 大さじ1/2 を入れてよく揉みます。水けが出るまで最低15分、できれば一晩置きます。

ビニール袋で作っても、もちろんOKです。

ゆずの場合、皮を削いで入れたくなるところ。
ですが、炒める場合は皮を入れない方がおいしいです。

ちなみに、塩揉みしてすぐに食べたい時は、炒めるよりも和え物にするのがおすすめです。3つの味変をご紹介しておきますね!

半量だけ炒めものに使うので、もう半量は自由にお使いください。

さて、まず炒める下準備として、水けが出た白菜の1/2量をしっかり絞っておきます。
フライパンに、ごま油 大さじ1と鷹の爪3〜4輪を入れて強めの中火で2分ほど炒めます。

フライパンの底がカスカスで(水けも油っぽさもなく)白菜が少し焦げるくらいになればOK。

最後に、しょうゆを数滴たらして、ザッと混ぜ合わせれば完成です。

このうつわは、祖母から譲り受けたものですが、育ち盛りの学生にとってはこの一皿があっと言う間になくなる勢いでバクバク食べていました。パクパクじゃなくて、バクバクです…!

特に、近くのお肉屋さんでからあげとポテトフライをおばあちゃんが買ってきてくれた日には、からあげと白菜炒めの組み合わせがもう最高にうれしかったです。

これからの季節に、油っぽい料理や、焼き肉・ラーメンなどの副菜にもオススメです。

|料理の味を尋ねるのが恥ずかしかった

ここまで読んでいただきありがとうございました。

じつは当時、料理の味を尋ねるのがとても恥ずかしかったんです。
「教えてほしい」「料理に興味がある」って、自分の意思を表すことに躊躇する年頃でした。

でもその後は、ふだんの料理からお正月に食べる「お雑煮」までどうやって作るの?と、横で眺めることが増えました。

調味料の味付けは「THE・テキトー」だったので、細かく知ることは出来ませんでしたが、舌がおばあちゃんの味を覚えています。

25歳で白血病になったわたしが「料理を仕事にしよう」と思ったのも、おばあちゃんちで過ごした日々や料理の影響が少なくありません。

わたしの料理の原点は、おばあちゃんの味なのです。

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