見出し画像

先生、バレンタインデーどうするの?

2月が近づくと職員室でもバレンタインデーを意識せざるを得なくなります。この時期はどう行動すべきか、悩む先生方も多いのではないでしょうか。特に新任の先生や転勤したばかりの先生は、学校によって違う規則や風習に戸惑うことも多いかと思います。


また、「生徒や同僚からバレンタインチョコをもらったら…」と今からわくわく(?)している先生もいらっしゃるかもしれませんが、ここで適切な対応をしないと生徒や教員からの信頼を失うことに繋がりかねません。

Twitterフォロワー数5.7万人(2019.2現在)、現役女教師のなつみの力を使ってTwitterにいる先生たちに協力してもらい、職員室・学校のバレンタイン事情についてアンケートを実施しました。「他の学校はこうしてるのか」「こういう返しをすれば指導につながるのか」など、先生方が新たな気づきをこの記事で得ていただければなと思います。


少しでも行事ごとで悩む先生が減り、本来の業務に力を注げる時間が増えることを願ってこの記事をまとめるつもりです。第一章では職員への対応第二章では生徒への対応について書きます。


第一章 職員室でバレンタインチョコは配るべきか

まず、職員室バレンタインデーについて個人的な意見ですけれども、「どうせ返ってこない場合も多いし、お返しを考える手間を相手に与えるのも申し訳ないし、わざわざバレンタインにチョコはあげる必要はない」とわたしは考えています。(既婚者や普段なかなか働いてくれない先生に、自分の給料削って渡すくらいなら、可愛いホストに渡して喜ばれた方が価値がある【真顔】)


バレンタインデーでなくても、感謝を示す方法はいくらでもあるので、日頃から何事も「ありがとう」と声を掛けるのが一番に違いありません。

旅行先でのお土産を渡すことも同じですが、渡すなら面と向かって感謝を伝えたい人に渡すべきだと考えます。職員室の机の上に、誰が置いたかわからなくて「これ誰からの?」となって、調査を始めるあの時間、わりと無駄だなと思います。勝手にもぐもぐ食べるのも申し訳ないので、せめて名前書いておいてほしい。
 
なつみの愚痴はさておき、twitterでの調査結果ですが、

画像1

「大人数で」という意見と同率ですが、「用意するつもりなし」という意見が多いので、バレンタインにわざわざチョコを渡すという慣習は無くなりつつあるのかもしれません。ただでさえ、気遣いしちゃう優しい性格が多い教師陣、「渡さなくても問題ない」と思ってほしいです。


リプで意見をいただいたのですが、「他の先生とお金を出し合って割り勘して渡す」というようにしている職場もあるようです。そうすると一人当たりの支出も抑えられて良いですよね。ただ、自分が必要ないなと思えば参加しなくていいと思います。支払わないことで圧をかけてくる教員がいたら、それはハラスメントです。昔から続いていることに絶対従う必要などありません。一緒にしたいと思った場合のみ参加すればいいのです


学校によって、先生によって、バレンタインデーの扱い方は異なるのは確かですが、何より自分が「渡したい」と思う気持ちが大事な行事です。「美味しいと思うものをみんなと共有したい」「一緒に食べて喜んでほしい」という思いがあるならバレンタインデーの用意は積極的にしたらいいですが、「用意したくないな」という気持ちが少しでもあるなら、無理はしないこと。バレンタインデーに何もしなかったからといって、評価が下がることなんてありません。あったら問題です。(わたしも、TE○GAチョコを堂々と置けるような楽しい職場だったら、積極的にバレンタインに参加していたでしょう)


第二章 バレンタインチョコを生徒から渡された場合の適切な対応方法

自分が学生の頃からも変化しつつあったバレンタインデーという行事について。ここ最近感じる傾向として、以下のことがあります。


・男子がドキドキするイベントではなくなっている。女子中心のお菓子交換会である
・バレンタインデーと、テスト勉強や受験がかぶっていたら、2月14日にこだわらず別日に交換している

最近の生徒は、よくスケジュール立てて行動していると感じます。バレンタインデーにこだわって告白日を決めないし、徹夜して想いを込めたチョコを作って寝不足になることもしません。楽しみ方に、非常に柔軟性があります。我々も見習わなければならないなと思わされます。

それでも、バレンタインデーは「愛の告白の行事」というイメージは未だありますし、その季節が近づくと生徒は非常にそわそわしています。どんなお菓子を作るだとか、いくつ用意するだとか、張り切る生徒の様子を見ているとこちらも微笑ましくなります。

だからこそ、先生方には「規則だから駄目だ」「持ってくるな」などという冷たい返しをするだけの教員になってほしくないです。バレンタインデーという機会を通じて、教育的によい指導につなげられる方法を考えてみましょう。


■「先生は、今年はチョコ誰にあげるの?」
若い女の先生は毎年のように聞かれてしまうセリフだと思いますが、どう返すのがよいのでしょうか。「旦那さん」と言えたら一番楽なんですが、「彼氏」「好きな人」と返すと、「誰?○○先生?」と勝手に同じ学校の先生との噂を立てられかねません(そもそも、学校の先生というのは外部に出会いがないと思われすぎている)。「自分にご褒美で買う」などと言うと、寂しい奴認定してくるし、本当に子どもという生き物はピュアなので厄介です。


正解などないと思いますが、こういう質問を投げかけてきた時ほど、生徒のいかなるセリフも楽しんで返すのが大事なのではないかと思います。「誰にあげたら喜んでくれそう?」「校長先生に渡して評価上げてもらっちゃおうかな~」などと、冗談のように一緒に会話を楽しみながらも、核心は話さないというのがいいのではないでしょうか。クラスの雰囲気もよくなるし、先生として明るいキャラづくりができるのではないかと思います。


生徒は先生のことを知りたいとは思っていますが、真実を求めていません。先生をからかってみて、少しでも楽しく話したいだけなのです。


■「先生に、チョコあげてもいいですか?」 
男性の先生は学校にいるだけでモテますから(笑)、女子生徒からこのように声を掛けられる先生も非常に多いと思います。ちなみにアンケート結果は以下の通りなのですが、なつみとしてのそれぞれの返し方の見解を述べたいと思います。

画像2

①「学校に余計なものを持ってくるな」
という返しが、一般的でよくいる厳しい先生の典型かと思います。学校によって規則は違いますが、指導対象になるならきちんと注意はしておかないといけないと思います。しかし、こんな先生、つまらない。せっかく生徒が勇気を出して訊いているのに、冷たく突き放すのは、生徒の心に傷が残る場合があります。

②「気持ちは嬉しいけど、学校に持ってきてはいけません(お返しはできない)」
このように返せば、生徒の気持ちを否定していないことが伝わります。「気持ちは嬉しいが」という言葉を添えるか添えないかで、今後の信頼度も変わってくるに違いありません。ただ、この返しはわたしは惜しいと思いますし、生徒にとっては納得いかない場合もあります。

③「お返しはできない(持ってきてはいけない)けど、気持ちはうれしいよ。ありがとう」
最早、恋愛テクニックの話にもつながってくるのですが、相手への印象を良くするためにはマイナスの話を後に持ってくるより、後からプラスの話を持ってくる流れにするべきです。生徒も、「ダメなことはわかったけど、勇気を出して聞いてみてよかった」という気持ちになり、今後も良好な関係を築きやすくなります。ただ、あくまで深入りせず、断るという姿勢が大切です。未成年の気持ちを弄ぶと、面倒なことになるのは先生の方ですから。

④「ありがとう。ホワイトデーにお返しするね」
規則が緩めな学校なら、このようなことがあってもいいのかもしれませんが、わたしは反対ですね。いくら生徒からモノをもらっても、それは生徒が勝手に行ったこと。返す必要はないし、返したものによっては、「先輩の時と違う…」などと平等性が保たれない場合があり、面倒な感情が起こることがあるからです。


 アレルギーを持つ生徒も増えています。教師は薬を投与できないのと同様に、食に関わるものも与えない方が無難です。いくら菓子作りが得意な先生でも、手作りのものを渡すと何か起こった場合、保護者等からクレームが来ても言い返せません。


 わたしは在学中の生徒に何かモノを渡すとか、おごるとかいうことは一切しません。常にどの学年のどのクラスの生徒に対しても平等でありたいと考えているからです。「あの先生に渡せばお返しをもらえる」という、そんな人気を獲得するより、人気は授業で獲得すればいいと思っています。

 わたしたちは見えないものを提供する仕事をしています。信念がブレないように、生徒への配慮が欠けることのないように、さまざまな場面で適切な返答ができるよう、よりよい生徒対応を常に考えていきましょう。

 今回の記事を通じて、先生方が毎年のバレンタインデーを少しでも憂うことなく、本来の職務に力を注げるよう祈っています。また、個人的な見解も多く含まれているので、あくまでもご参考程度にしていただければ有り難いです。多くの先生方からの意見も頂戴して、よりよい記事に改良していきたいと思いますので、コメントや応援をしていただけると嬉しいです。

気に入る記事がございましたら感想やシェアいただけるだけで十分です。ありがとうございます。