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パンと音楽

 昨日は馬場桜佑さん(Trb.,Fl.)、藤井空さん(Pf.,Trp.)、柳生俊彦さん(Gt.)のトリオによる「日本全国のパリミキにライブを届ける旅 vol.8 OKAYAMA」を配信で視聴。

 非常にいいライブだった。アーカイブ期間のため細かい内容は伏せるが、カバーと各自のオリジナルを織り交ぜたセットリストはまとまりもよく、演奏も楽しかった。またパリミキの店舗が舞台だけあって、CMで使われた「恋はやさし野辺の花よ」も演奏された。(スッペ「ボッカチオ」劇中歌から派生した歌謡曲で、今回は楽器のみだがメロディのみならず詞も大変美しい。CMでは、確かハンバートハンバートがカバーしていたと記憶している。)
 カメラワークや映像のスイッチングもなかなか凝っていて、天井からのカットやパン、ティルトダウンなども効果的に使われていたように思う。

 つい音楽と映像をセットで触れてしまうのは昔の癖みたいなもので、やはり放送されるものにおいては目でも楽しめるプログラムに心惹かれる。ツイキャスでの配信だったが、店舗スペースからのツイキャスでもリアルタイムで3分割リニアワイプなんて出来ちゃうんだなあと、楽しみながらも非常に感心してしまった。
 技術が進むのは早い。素晴らしいことだ。

 そうそう、事前キャス配信でご当地ネタの話題になり、方言やタカキベーカリーの話が出たのは面白かった。

 最近わたしが贔屓にしているお店はタカキベーカリー推しらしく、非常に多くの製品を扱っている。広島の企業であるのは知っていたが、岡山に工場があるのはツイキャスまで知らなかった。(関東に流通しているのは神奈川県の工場のものだろうか。)
 モハベレーズンというレーズンを使ったパンはお気に入りのひとつで、葡萄の粒の味が濃く感じる。所謂パン・オ・カレンズのようなハード生地ではなく、食パン系。モハベは聞き慣れない言葉だが、産地である砂漠の名前だ。赤ワインの原料にもなる、そんな砂漠の葡萄を食するだなんて、なんとなくロマンすら感じる。バンドのように、食材もまた旅をするのだ。
 
 思えば、音楽もパンも「満たすもの」だなあと思う。心を満たすもの、そしてお腹を満たすもの。また土地特有の空気は思い出を満たし、その匂いはいつか記憶のタイムマシンになるのだろう。匂いにまつわるトークに、地元出身者ならではの空気感を感じた。
 どれが欠けてもきっと好ましくない、大切なもの。
 明日は美味しいパンを食べようか。砂漠からきた干し葡萄、小麦粉の香ばしく甘い香り、ほんの少しトーストしたらバターとアーカイブの音楽を添えて。そうだ、少し窓を開けるといいかもしれない。


なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」