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クラシック・タイム

 高崎音楽祭初日、大友直人指揮・群馬交響楽団のオープニング演奏会へ。
 
 この公演は無料の完全招待制で、事前に応募した人の中から抽選が行われるもの。昼にチケットを引き換えたら、大変に前方の席だった。ポップスやロックならば、さぞファンが羨むことだろう。
 クラシックは中央すこし後ろの二階天井がかぶらない場所、もしくは上階席が音のバランス的には特等席とされるが、そもそもこのホールは音響がとてもいい。演奏家を間近に見るのも、また一興というものだ。有り難し。

すっかりお気に入りになってしまった
フォントのチョイスまでもが美しい劇場

 愛好家の裾野を広げるためだろう、プログラムはクラシック初心者にやさしい有名曲ばかりのラインナップ。モーツァルト「魔笛」序曲、ビゼー「アルルの女」より「ファランドール」など、誰しも耳馴染みのある曲が素晴らしい演奏で続く。次第に大編成になっていく曲目構成は面白い。またティンパニが2セットのため、N響からの客演も。

 チャイコフスキーがロシアの作曲家でありながら実はウクライナの血筋であることや両国の地域性に触れ、「政治のことはよくわからないが」としつつ平和を祈念する解説に胸打たれた。
 また、無料公演だけに中にはクラシック慣れしていないと思われる聴衆も見受けられ、終盤には客席から音の鳴るハプニングもありヒヤリとしたが、大友の物腰やわらかく機転に富んだ対応は大変に素晴らしかった。

 pf.横山幸雄の、3年ないし4年に一度ほどであまり演奏しないというラプソディ・イン・ブルーが絶品。ラスト、配布プログラムにはないアンコール「管弦楽のためのラプソディ」終曲「八木節」は地域を踏まえた粋なセレクト。非常に楽しいひとときだった。
 

 
【演奏楽曲リスト】

モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲
ビゼー「アルルの女」第2組曲より「メヌエット」「ファランドール」
チャイコフスキー バレエ組曲「白鳥の湖」より「情景」「ワルツ」
ガーシュウィン 「ラプソディ・イン・ブルー」
J.ウィリアムズ 交響組曲「ハリーポッター」より「ハリーの不思議な世界」
ホルスト 組曲「惑星」より「火星」「木星」
外山雄三 「管弦楽のためのラプソディ」より「八木節」(アンコール)
 
高崎芸術劇場 大劇場
公演時間 約2時間

なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」