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翼は生やすもの

半年以上続いた在宅勤務と、私的な会合への戒厳令もあって人に会う機会が持てないことにつらさを感じるようになってきた。これではちょっと心がもたないのでまだ推奨されてはいないものの10月から週イチでの通勤を開始した。

同僚の方と雑談レベルの情報交換をしたり、ランチをご馳走になったり、人と会えることの幸せをひしひしと感じた。同僚の皆さん、いつも偉そうなこと言ってる私を温かく受け入れてくれて本当にありがとう。

コロナが世界に広まって生活が一変すると考え方も変わるもので、その最たるものが車を持ったこと。たばこと車は終生ご縁がないだろうと思っていたのにコロナが価値観を変えていく。

横浜に住む私たち夫婦の両親はそれぞれ西の他府県に居るので、ふだんは帰省しても正月くらいだけど、親もそれなりの年齢になってきたこともあり何かあったら駆けつける必要が出てくるかもしれない。私の父にはハイリスクとされる持病があるので有事の際に人混みかき分け電車で帰省して万が一コロナに罹患させてしまうようなことがあれば、それこそ命の危険につながってしまう恐れがある。何も起きないように祈りながらモヤモヤしていた。

地震や台風などの災害の規模も年々大きく頻度も高くなっているので、家が安全という保証もない。逃げる必要が出るような大災害時に公共交通機関が使えることは望み薄だ。夜露を避けられる場所の確保としても車を持つことは魅力的な選択肢と感じていた。

自動車部品メーカーで働き始めて4年半くらい経ったけれど、自動車の実態を何も知らないで働くことにずっと感じていた違和感も後押しになった。トルク、気筒、ギア、油圧、今まで上滑りしていたいろんな言葉の意味が車種選択や実車を通して理解できるようになった。百聞は一見にしかず、これに尽きる。

そんなこんなで6月に購入を決め、納車から3週間が経った。道路は突然車線が減ったりバイクに割り込まれたり、なぜか車道側から自転車が飛び出してきたり歩行者が分離帯に潜んでいたりとライブ感がすごい…まだおっかなびっくりなだけに目的地に到着すると達成感がすごい。ペーパー教習でみっちり再指導していただき、横浜北部から厚木くらいまでは雨天悪路でも高速に乗れるようになり、ようやく車庫入れが難なくできるようになってきた。

活動自粛期間だから何もしないのではなくて、また人と気兼ねなく会えるようになった時に備えて下拵えをする時間だ。うちの断捨離はかなりできたし、歌も高音域がだいぶん楽に出せるようになってきた。苦手だったヨガをもう一度家でやってみたら気持ちが落ち着いたし、やりたいと思っていた勉強の市民講座も始まったし、資格試験の教材も届いた。気負わずにやれることをぼちぼちと積み重ねていく。

翼は授かるものではなくて、自分で選択して生やすものだ。

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