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やりたいことの賞味期限と消費期限のその先に

 先日、久しぶりにゼリーを作りました。普段、家でお菓子などめったに作らない、ずぼらな私にもできた簡単なレモンゼリーです。レモンを半分に切り、中身の果肉を取り出し、果汁を材料に使い、レモンの皮を器にしてゼリーにするという、見た目もレモンのレモンゼリーができました。インスタでたまたま見かけたレモンゼリー。レモンの色と香りのさわやかさに惹かれ、早速作ってみようとレシピを保存しました。材料を確認すると、あとはレモンだけを買ってくれば、家にあるものでできそうだと思い、やってみることにしました。息子にも写真を見せると「これ、食べたい」というので、早速レモンを買いに行きました。最近は暑さのせいで、買い物に行くだけで疲れてしまいます。近所の商店街の八百屋でレモンを買って、すぐに家に戻り、しばらく涼んで休憩していました。すると、「レモンゼリーまだ?」と息子に言われ、「あ、そうだった」と思い出し、休憩して早くも忘れかけていた自分に気が付きました。息子の一言によって私の記憶が戻り、重い腰も立ちあがりました。

 遠い過去の話になりますが、右も左も上も下もよくわからなかった大学生の頃、ただただパンが好きで、パン屋でアルバイトをしていたことがありました。大学卒業後はパン屋で働き、おいしいパンを多くの人に食べて喜んでもらいたいと思っていました。就職活動では、パン会社を多数受けましたが、内定はもらえず、結局、パンとは何も関係のないアパレルの会社に就職することになりました。そこで、私のパン職人になる夢はいったん保留となってしまいました。そんなにパンが好きなら、仕事をしながら、パン教室に通ってみようと思い立ち、社会人になって慣れてきた頃、休日にパン教室に通い、パン作りを学びに行ったこともありました。あんパンや、フランスパン、クロワッサンなど、一通りのパンを教室で習い、みんなで作って食べました。パンが作れるようになり、教室でできたパンを家に持って帰りました。友人や家族にも食べてもらい、「おいしいね」と言われ、うれしかったことを思い出しました。パン職人になりたいと思っていた過去の私は、このパン教室に通ったことで、大分満足したようで、その後、「パン職人」という仕事には就かず、月日は流れ、すっかりパンを食べる側のお客さんになりました。もう、パン屋で働きたいと思わなくなりました。パン職人になっておいしいパンを多くの人に食べてもらいたい、という夢は、私の中で賞味期限内に小さく形を変え、うまく消費されたことがわかりました。
 
 そんなことを思いながら、今回、このレモンゼリーを家で作り、息子と一緒に食べるということにも賞味期限と消費期限があるのだろうと思い、すぐに取り掛かりました。やってみたいと思ったことは、すぐにでも小さくできることをやってみて、どんどん消費していくと、賞味期限内に、おいしく味わうことができるということが、改めてわかりました。さらにその次にまたやりたいことが見えてきました。

 日常の中で、めったにしない私のゼリー作り。その小さな非日常の時間によって、新たにまた小さなやりたいことが派生してきました。この夏、オレンジやグレープフルーツなど、素材を変えて作ってみようと、色々な器のゼリーを作ることが楽しみです。

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