ゴミを捨てたら、どうなる?
もう1ヶ月近く前のこと。
念願の、それはもう念願の「ゴミ処理場見学」に行ってきた。とても楽しかったので、記録に残しておこうと思う。
ゴミ処理場ってどんなとこ?
私の住む川崎市では、もともとゴミ処理場見学は事前に予約さえすれば誰でもできる。が、スタッフの方に案内してもらえるツアーは「事前にお問い合わせください」とのこと。一人で行くにはハードルが高かった。
そうこうしていると、世間は夏休みに突入した。
そして見つけたのは「2023年夏休みスペシャルウィーク」の案内で、スペシャルガイドツアーとワークショップが体験できる「夏休みスペシャルウィーク」を開催いたします! とのこと。
なんとまあ。絶対に行きたい。でも各回40名限定の枠に立派な大人が一人で参加して枠消費してるのも気が引けるし、1歳の子ども連れで参加するのも大変そうだな・・と思った矢先、同じ川崎市内に住む姉と姪(小学3年生)に一緒に来てもらうことを思いつき、とんとん拍子で約束を取り付けた。
受付開始日はたまたま私の誕生日。開始時間の朝9時から鬼電しまくり、50回目くらいのコールでなんとかつながってプレミアムチケットを手に入れた。ハッピーバースデー、私。
そしてやってきた当日。
館内はめっちゃくちゃ綺麗でゴミひとつなく、覚悟していたゴミ特有の臭いは全くない。どうやら完成してまだ10年ほどらしい。
時間になって集合場所へ行くと、どのグループにも必ず一人は小学生。参加者は20名足らず。つまるところ、ガラ空きであった。
ゴミ捨てルール(川崎市)
さて、ガイドツアーが始まる前に、そもそものゴミ捨てルールについて思い出しておこうと思う。
川崎市の場合、ゴミの捨て方はだいぶ細かいほうなので、東京23区出身などでこの分別に免疫ない方は慣れるまで大変かもしれない。
ペットボトルや缶びん、あとは電池を分別回収するのは、日本全国わりと共通ではなかろうか。家庭ゴミで出たペットボトルにはフタとラベルをはがす分別ルールがあるのも、国内じゃ定着している感がある。
一方で、それ以外の回収物のうち、たとえば何が普通ごみかは自治体によって線引きルールが異なる。そもそも「普通ごみ」という区分ではなく、「可燃ごみ」「不燃ごみ」等に分かれる自治体も多い。そして、たとえば川崎市の「普通ごみ」と渋谷区の「可燃ごみ」はイコールではない。確かに両方燃やすのだけれど。
ゴミの捨て方が自治体によって異なることからわかるように、ゴミ処理の詳細は自治体によって異なる。というか、ゴミ処理の方法が違うからゴミの捨て方が違うといったほうがいいのか。
ちなみに、上記の通り大きく8カテゴリある回収物のなかでも特に「プラスチック製容器包装」が回収されてからどのように処理されていくのかに興味があった私。だけど、結論からいえば私がガイドツアーに参加した王禅寺処理センターではプラの処理機能を持っていないらしく、見学できなかった。ショック!
ゴミ処理の全体像
各自治体内で出たゴミは、その自治体内だけで運搬し、その自治体内で処理されなければいけないそう。川崎市には6つのゴミ処理施設があり、うち5つが現在稼働している(1つは建て替え工事中でそろそろ完成予定)。
川崎市は東西に長い。私の行った王禅寺処理センターは一番西側にあり、周辺の区から出たゴミを焼却している。そんな処理センターが中部にもいくつかあり、東端の浮島処理センターがいわば大ボスである。最大規模の処理能力を持つだけでなく、プラなどの各地の処理センターでは扱えないカテゴリの回収物を処理もしている浮島。東京湾に面した場所なので、各センターのゴミ処理の過程で出た焼却灰を埋めているのも浮島。
カテゴリ別にみるゴミ処理
では、ここからは各カテゴリ別にゴミ処理の流れをまとめてみる。
普通ごみ
川崎市で私たちが普通ごみとして捨てていいのは、たとえば以下のものたち。
ぱっと見では他の自治体の可燃ごみと似てるが、プラスチック製品も普通ごみに入るのが特徴かと思う。なお、プラスチック包装は普通ごみには入らない。ダイソーなどの100円ショップで買うような整理収納グッズも子どものおもちゃもハンガーも、プラスチック製なら普通ごみ。
それに、マクドナルドなんかでテイクアウトするとポテトもバーガーもそれを入れる袋も紙製になっていてSDGs意識してるなと思うけど、そんな紙マークがついてる紙製の箱や包装紙でも、汚れているなら普通ごみ。
さて、そんな普通ごみは、週2回ペースで回収されゴミ収集車で各地域の処理センターへ向かう。
外回りをしてきたゴミ収集車たちが処理センターに入ると、プラットホームと呼ばれる場所に到着する。この青い扉のむこうにゴミ集積エリアがある。
見学中、ゴミを掴んだクレーンが見学者の前まで動いてきてゴミを見せてくれるというファンサービスがあったのだけど、あまりにお目汚しなので割愛。誰かが普通ごみにこっそり混ぜたペットボトルが小学生から白い目で見られていた。
「ごみピット」に集められたゴミは順次焼却炉で燃やされる。24時間有人監視で炉内は燃え続け、燃え尽きたゴミは灰になる。焼却灰は無害らしく、問題は排ガス。この有害ガスをそのまま空に放つともちろん環境汚染まっしぐらなので、無害化する必要がある。排ガスを冷却し(その際に発生する蒸気で発電)、有害ガスをろ過し、触媒で分解していく。
「ごみピット」で集積されたごみをこまめに攪拌しているのも、有人監視で温度を見張ってるのも、理由のひとつは炉内の温度を高温に保つため。低温で焼却するとダイオキシン等の有害ガスが発生してしまう。
もし有害ガスの原因となるものを分別せず普通ごみとして捨ててしまうと、どうなるか。分別せずに捨てたあと誰かが代わりに分別してくれるプロセスはご覧の通り含まれていないので、一緒に燃やされ環境破壊に加担してしまうことになるかも。分別だいじ。
空きびん
川崎市でも空きびんは資源として回収されている。
小さい頃、家で親がビールを飲むと、ビール瓶は酒屋さんに回収されていた記憶がある。当時は繰り返し利用するリターナブルびんが多かったらしい。今は、集められたびんを粉砕して溶かしてまたびんに整形するリサイクルが中心。なので、びんはびんでもリサイクルできないびんは資源ではなく普通ごみ。
集められたびんは色別に分けられていく。ここが、人力。人がやってる。
茶色のびんを粉砕して溶かして固めても、無色透明のびんにはならない。茶色のびんは、茶色のびんにリサイクルされていく。だから色で分けなければいけない。
反射的に「色別に分けるなんて機械がやればいいのに」と思った私。でも、そういった技術を用いた機械はまだまだ高額で、導入するには税金が投入される。安くならないと導入できないのが現実だそう。
そして、ここではびんは色別に分けられていくだけ。実際にリサイクル作業を行うのは再生処理業者である。びんの底に吸い殻等のごみを入れられていると迷惑なのは想像に難くない。キャップを外し、中をすすいで資源回収に出しましょう。分別だいじ。
空き缶・ペットボトル
これはほとんどの自治体が同じな気がする、空き缶・ペットボトルの資源回収。
ペットボトルはPETマークが目印。そういえば、以前うちのマンションで注意喚起されていたのは、ペットボトルっぽい雰囲気の食品油や醤油の容器について。表示をよく見るとPETマークではなくプラマークが書いてあるので注意。
ここでは機械が登場。機械がアルミ缶・スチール缶・ペットボトルに分けてくれる。が、その後、異物を取り除くのはまたもや人力。このあとそれぞれ再生業者に渡りリサイクル工程へと進むので、異物を取り除いたらプレスされ大きな資源の塊になって出荷されていく。
異物とは、すなわち他のゴミ。資源ではないものは除去。人力で、除去。
よくトイレでも見る「注射器をゴミとして捨てないで」という案内の理由はこういう場面があるから。人力作業なので、鋭利な注射器は危険。分別だいじ。
粗大ごみ
私がこれまで粗大ごみで捨ててきたテーブルや椅子、マットレス。まだ使えたけど、引越しの過程で捨てざるを得なかったものたち。粗大ごみで回収されたあと、リユースに回されてるのかな〜なんて思っていた。
が、そんなことなかった。普通に全部燃やされていた。
粗大ごみとして捨てられたあと、ものによっては分解され、燃えるものはすべて普通ごみと一緒に焼却炉で灰になる。金属は資源としてリサイクルされていく。
まだ使えるものは自分でリユースに回さないと、誰もやってくれないのだ。
ちなみに、うちでは先日、不要になったベビーカーやアイロンをジモティースポットに持ち込んでみた。自分でジモティーとかメルカリ出すの面倒な人には便利。
プラスチック製容器包装
見学できなかったので、こちらで・・
ミックスペーパー
ほかの自治体では聞きなれないかもしれないカテゴリ、ミックスペーパー。
こちらも見学できず、残念。
見学を終えた感想
いやー、楽しかった!
やはり自分の目で見てみるといろいろリアルで理解も進むし、当事者意識が高まる。普通ごみと一部の粗大ごみ以外は焼却処理されていないこともよくわかった。「混ぜればごみ、分ければ資源」とはよく言ったもんだ。
大満足な私と姉を尻目に、姪は「つーかーれーたー」と不満顔。
バーターで、約束していたヨネッティ王禅寺のプールに行って、流れるプールで遊んでアイス食べて帰ってきた。
そんなヨネッティ王禅寺の温水プールは王禅寺処理センターに隣接しており、焼却時の余熱によって温められている。
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