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その人の中の「ウェルビーイング」を見つける

カウンセリングの臨床の仕事をするようになって、丸28年。

病院やメンタルクリニックではなく、カウンセリングセンターとか心の相談室みたいなところって、昔はほとんどなかった(検索しても、特に地方では引っかかるところは極僅かだった)けれど、現在はオンラインカウンセリングの普及もあってか、かなりの数の相談場所があふれている。

カウンセリングって一口にいっても、実はそのカウンセラーによって様々なやり方がある。
いわゆる心理療法と呼ばれるもので、どんな手法(アプリケーション)をどんな基礎理論(OS)で使っているのかによって、同じクライエントさんに向き合ったとして、出てくる答えや方向性が全然違ったりする。

だから、カウンセラーとの相性ってとても大事なんだと思う。


で、手前味噌ながら、最近カウンセリングの調子がすこぶる良いらしい(笑)

・・・というのは、この数ヶ月、立て続けにクライエントさんが感動して帰っていくから^^;;

いや、お世辞かもしれない。
あ、でもお世辞を言わないといけないような空気は醸し出していない・・・はず。

それに、自分自身でも、カウンセリングしながら思考を回らしている角度というか、拾い上げている情報のフィルターというか、そういうものが変わってきてるなーという気はする。


思い当たる要因は、大きく二つ。

一つは、昨年末から新しい知識としてインストールした「ポリヴェーガル理論」

詳しくはここでは語らないけれど(関係書籍がたくさん出ています)、これまでカウンセリングにおけるリレーションとか、ラポールの重要性とか、受容的共感的対応とか、そういうカウンセラーとクライエントとの関係作りについて様々な心理療法で学んできたものについて、身体的なメカニズムからエビデンスをもらった感じ。

クライエントさんの心が(身体が)こわばっていて、緊張状態にある限りは、どんなに良い例えも核心的な質問も、全く意味をなさない。

ポリヴェーガル理論を学んだことで、カウンセリングにおける寄り道というか、ちょっと回り道に感じるようなことが、実はけっこう大事なんだということを意識するようになった。


そしてもう一つ。
これが今日の記事の1番のテーマなのだけれど、

クライエントさんに向き合っているとき、いま最も注力しているのは
「この方がいまの状況の中で、しっかり機能しているところはどこか?」というもの。

実は、私と夫が共同代表理事を務めているウェルビーイング心理教育アカデミーという団体では、一般に「(心理的にも身体的にも社会的にも)しあわせ」と訳される【ウェルビーイング】を「(心理的にも身体的にも社会的にも)良く機能している状態」と捉えている。


これ、なかなか素晴らしくて(笑)、そうするといろんなものが見えてくる。

嫌なことのストレスから一旦離れようとすることもウェルビーイングの側面だし、
疲れたから休もうと思うことだってウェルビーイングの側面だし、
怒りを爆発させてしまったことを悔いてどうにか修復しようとすることもウェルビーイングの側面だと言える。

ウェルビーイングを「満たされている状態」としてしまうと、満たされていないのは、ウェルビーイングではない、、、となってしまいがち^^;

私たちは、体調の良い時も悪い時もあって、心もご機嫌なときも憂鬱なときもあって、社会との繋がりだって円滑なときもちょっとすり減っちゃうときだってある。

ゆらぎのある存在だ。

苦難や試練の中でも、その人のペースなりに、そのとき思いつく精一杯をしていて、ぎこちなくてもなんとか回復しようとか、もっとチャレンジしようとか、もう少し様子を見ようとか、ゆらぎながらなんとか生き続けようとしている。

その働きこそがウェルビーイングなのではないか・・・
そういう揺らぎを起こせるということは、その人が「良く機能している」ということではないか・・・

そんなふうに考え始めたら、臨床で出会うクライエントさん一人一人の中に「ウェルビーイング」が見つけられるようになって、それを一緒に共有できるようになって、そうすると沈んでいたクライエントさんもちょっと元気になって・・・という、なんかミラクルが起こっている今日このごろなのだ。

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