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【サボタ日記 51鉢目】夏休みと励まされた空と千切れた多肉

久しぶりの投稿。
先週は夏休みを使って京都~神戸~小豆島~高松~直島を巡る旅に出ていた。
なぜ小豆島だったかというと、「八日目の蝉」という永作博美と井上真央が出演する映画を以前に観たときに、物語の中で出てくる小豆島の風景がなんとも物悲しげで、心に長い間(少なくとも5年以上は)残り続けてきたからだった。

晴れ渡る瀬戸の凪いだ内海と、そこに散らばる島々。山に張り付くように広がる棚田。ゆっくりと接岸するフェリー。実際に訪れた島は思った以上に観光地化されていて、港は6つもあったし観光客は多いしでそこまでのんびりでもなかったけれど、やはり実際に行ってみてその土地の空気を吸えたことは得難い経験だったと思う。

また、旅程の中で訪れた直島は小豆島以上に印象的だった。地中美術館へ開館と同時に行ったのだけれど、静かな館内に降り注ぐ日差しが、建物や芸術作品で切り取られ、美しい陰影を浮かび上がらせていた。館内の隅々に至るまで手が抜かれていなくて、空を切り取った作品の部屋に入ったとき、思わず涙が出てしまった。きれいなものを人に提供することに一切妥協しない姿勢に、心が震えた。「なんでそこまで」「そこにこだわる必要ある?」と言われ続けてきたので、地中美術館の妥協のなさには本当に救われたし、自分を肯定してもらえたような気がする。自分を守るものは自分が好きなものだって本当に思うし、捨てようと思っても捨てられないものはちゃんと大切にしてあげようとも思った。

話は前後してしまうけれど、去年の今頃、葉挿しから育て始めたグラプトペタルムが、すす病(たぶん)にかかってしまったようで、夏休み前から葉がぽろぽろと落ち始めていた。空気の通りも悪いし、水栽培で育てているので、病気にかかってしまうのも仕方のないことなのかもしれない。茎から葉を全部落として、元気がありそうな病気にかかっていないように見える葉一枚を、葉挿しできないかわずかに望みを託してとっておいた。夏休みが終わって出社してみると、葉がすべて落ちて茎だけになった途中と、葉だけになったもの、それぞれからなんと新しい芽が出ていた。すす病になって無残な見た目になってしまったけれど、株は二つに増えることになった。せっかくだし、葉から芽吹いた方は家に連れ帰って土に植えてあげてもいいかもしれない。これからの成長が楽しみになった。それにしても植物たちの力強さには度々励まされる。茎一本の姿になっても懸命に生きようとする。本当に勇気づけられる。このしぶとさとみずみずしさを、見習わなければ。

そういえば今日、日経新聞の「歌壇」に短歌を送ってみた。採ってはもらえないだろうけれど、これからも少しずつ送って、掲載を目指したい。嬉しいことでも悲しいことでも、心が動いたとき、そのわずかな心の動きをつかまえて歌に残すことはとても良いリズムを生んでいる。毎日web歌会にも詠出していて、歌を詠むことが自分の中に少しずつ根付いてきているように感じる。一枚の葉から大きくなって、また二株にわかれたグラプトペタルムのように、短歌も少しずつ育っていってもらえたらいいなと思う。

昨日から秋めいて、夜風も涼しくなってきているので、体調にはくれぐれもお気をつけて。
短歌も、それ以外のことでも、また勉強しようという意欲がモリモリ湧いてきているので、来週もがんばります。

それではまた来週。

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