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あいちゃん《前編》

性自認や性表現がストレートでない場合、日常において不安やトラブルがある。
そんな性的マイノリティを感じる人の気持ちを考えたことはありますか?

今日は性別は男性、見た目はかわいらしい女性のような姿のあいちゃんに取材させて頂きました。自分らしい姿をSNSで発信され、Xのフォロワーが18,000人以上のインフルエンサーです。

前・中・後編の3本に分けてお届けします。

前編ではあいちゃんの生い立ちから現在までを伺いました。
性別の違和感を感じてきた幼少時代から学生時代、自分らしい性表現をされたきっかけや、受け入れてくれた現職との出会い。
あいちゃんの半生から、その魅力に迫ります。

それではいきましょう!!

性の違和感を感じていた子ども時代

~あいちゃんは、ジェンダーレスで自分らしい姿を発信されています。
性に関して違和感はいつごろから抱いていましたか?

あいちゃん 性に対して違和感を覚えたのは、たしか幼稚園の頃でした。男の子って戦隊ものが好きじゃないですか?私も見ていましたが、ピンクや黄色、白のレンジャーばかりに惹かれました。
かわいい物が好きで、遊ぶお友達も女の子がほとんどでした。気持ちははっきり覚えてはいませんが、自分を女の子のように思っていたのかもしれません。

小学校になると、同級生たちに「気持ち悪い!」とか「男女!」というようにからかわれることが増えました。いつしか女性っぽい部分を隠すようになっていったんです。
小学校の高学年の頃からは、男の子の友達もできて、男の子と遊ぶことが増えました。とはいえ性格はなよなよしていたので、入っていたスポーツ少年団でも上級生にからかわれたりキャッチボールの相手がいつもいなかったりと、しんどい思いも経験しました。

~そうだったんですね。中学生・高校生になると男性、女性でさらに分かれていきますよね?そういった変化はどんな風に感じていましたか?

あいちゃん 男子の輪の中にいるけど疎外感は抱いていましたね。先生からも「なんでお前はなよなよしてるんだ?」と言われていました。当時は異端児扱いというか。
その後大学に進学したんですが、それを期に少しずつ自分らしくなれたと思います。りゅうちぇるとかとまんくんみたいなジェンダーレス系のメイク男子がテレビに出てきた時期で、少しずつ男性がメイクしてもいい風潮が出てきました。私も憧れて、そういうファッションに寄せていきましたね。

そのころからスマホ持つようになって、いろんな出会いも増えるじゃないですか。当時私は自分がゲイだと思っていて、界隈の男性と出会って遊ぶことが増えました。そこそこモテて、それで満たされていましたね。

~そのころは性自認は中性みたいなイメージですか?

あいちゃん そうですね。性対象は男性で、性自認も男性でした。女性の線を越えないというか、まさに中性みたいに感じていました。その頃は微塵も今のように女性のような格好をして生きるって思ってなかったです。

~なるほど。そこからどうやって今のような姿になったかを聞いていきたいんですが、そこから学生が終わって社会人になるんですよね。

あいちゃん 新卒で土木資材メーカーに入って営業してたんですよ。

~土木ですか!意外!なんかイメージ違いますね。

あいちゃん 自分でもなんでそんな男臭いとこ入ったんだろうって思います(笑) 超縦社会の体育会系。言葉悪いけど、上司が「右」と言うと全員右向くような風土でした。
取引先も泥臭い感じで、私が営業に行ったら、「なんぞお前、女みたいになよなよしたやつやな」とか言われたことがありました。ここでも生き辛さを感じていましたね。
私生活でも、当時23でゲイとしてのモテ期を過ぎてしまって、急にモテなくなってきたんですよね。仕事もそんなだし、モテないし。なんだかなぁみたいな。

~23とかめっちゃモテそうですけどね!

あいちゃん ゲイ界隈にどんどん若い子が入ってきて、旬な子たちをどんどんみんな食べていくからブームが過ぎるのも早いんですよ(笑)
モテなくなってきて、どうしようかなと思ったのが、一つの転換期でした。
結局1年くらいで働いていた土木資材メーカーを辞めました。私にはどうしても合わない環境でした。たまたま関西に親戚がいたのでこっちに移ってきて仕事探すことにして。
仕事を辞めると、もっと自分らしくなりたいという気持ちがわき上がってきました。女装すればもっと私らしく生きられるはず、気の合う友達もできるはず、そんな考えがどんどん膨らんでいったのです。
もう隠すのやめようって決意しました。ちょうどご時世的にも、自己表現の多様化が進んできた頃で。もう好きに生きようと思って、少しずつ髪も伸ばし始めました。
事務の派遣の仕事見つけて2年間くらい働いたと思います。服装もけっこう自由にしてました。
その派遣先が学校事務職だったんです。学校の先生って生徒にみんな平等とか言うけど、結構裏では性差別があるんだって思うことが多かったんですよね。

~学校って人の新陳代謝が活発な環境ではないですもんね…隠れ差別ありそう。

あいちゃん そんな環境を目の当たりにして、私はやっぱり男性としては生きたくないなって改めて思いました。「男性でもあり女性でもあるこの性を受け入れてくれる企業で働きたい!」そうようになりました。そこで転職活動を始めたんです。

~それで自分らしい姿で生きようって思われたんですね。

あいちゃん 今の会社に入社する1年くらい前から女装を始めてみました。髪は地毛だけど、お化粧して写真撮ってTwitterであげはじめました。そんなにフォロワーも増えないし、相手にされないと思ってたんですが、少しずつかわいい!って言ってもらえることが増えました。ブレずに自分の姿を発信し続けたのがよかったのかと思います。

※そのころのあいちゃんの投稿

~素敵ですね。今の会社への転職活動の話をこの前のライブ配信でされてましたね。面接のとき社長さんから「そのスーツ窮屈じゃない?ほんとに自分のしたい恰好は違うよね?」と言われたんですよね。そういった性自認に関わる事ってセクハラの可能性もあり、なかなか言い辛いと思います。でもそういったリスクもあるのにあいちゃんのことを認めてくれようと発言してくれたことに驚きました。

あいちゃん 本当ですよね。まだ社員6人しかいないベンチャーなんですよ。
性別のこともあり転職活動がなかなかうまくいかない中、その会社を受けました。まず履歴書を送るじゃないですか?スーツを着て髪を整えて写真を撮ったんですが、女性らしい見た目で生きるようになったことで、その写真がどう見ても男装の姿で不自然に見えました。
書類選考を通って面接になり、社長が面接してくれることになりました。それで冒頭に聞かれました。「最初に聞きたいことがあるんだけど、そのスーツ窮屈でしょ?イキイキしてるようには見えないです。ほんとにしたい姿はほかにあるんじゃない?」と。そこで私のセクシャリティの話をしました。真剣に聞いていただけて、「ウチの会社では何も気にしない」と言ってもらえました。

~理解ある人ですね!あいちゃん自身をちゃんと見てくれる会社に出会えて良かったです。

あいちゃん 内定を頂けて入社することができました。他の社員さんも自然に接してくれるので何のストレスもありません。自分の居場所と思えるようになりました。一員になれてほんとよかったと思えます。
でも転職活動で喧嘩した企業もありました(笑)
私本名男らしい名前なんですよ。例えば偽名だけど太郎みたいな感じで。それでそのとき面接官に「どう見ても男性の名前だけど、あなたじゃないでしょ。この履歴書。」って言われて。

~え、理解しろよ(汗)

あいちゃん 面接で目の前にいる私と履歴書の名前がリンクしなかったんでしょうね。なんでこんな騙すような真似ことするんですか?って。
嫌でしたね。人として見てほしいのになんで性別でしか見れないんだって怒りました。

~最悪でしたね…
私も現職の会社で「ちょっと髪長くない?」とか、「なんで化粧してるの?」とかチクチク言われてました。違反してるわけじゃないのにね。もちろん理解してくれる人もいるけど、あまり肯定的に受けてもらえることは少ないですね。
そういうことがあるたび、嫌な気持ちが溜まっていきます。

あいちゃん ありますよね。私はそういうこと言われたら正論で返します。「それ、女性に対して言うんですか?どんな髪型が社会人なんですか?」とか。たいてい答えられないんですよ。だったら言わないでくださいねって感じですね。

~かっこいい~!私も言うようにします!

前編はここまでです。
明後日投稿予定中編も是非読んでくださいね(^^)

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