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SHEmoneyブランド責任者まつまりさんが語る「優しく強い」リーダー像

人の上に立ってまとめるとき、どのようにチームを導いていくか悩んだ経験がある人も多いだろう。そんな中でも、理想のリーダー像を思い描くことでより充実した働き方ができるのではないだろうか。今回はマネースクール SHEmoneyでブランド責任者を務めるまつまりさんこと松尾真里さんに、日々チームをマネジメントする中で大切にしているリーダーとしての在り方を伺った。

●「30歳になるまでに何かを成し遂げたい」思いで飛び込んだSHElikes


新卒でリクルートに入社し、その後SHElikesに転職したまつまりさん。大学時代にシリコンバレーの近くに留学し、Googleを始めとするスタートアップ企業を訪問する中で、IT技術やプロダクトを作る人への憧れを抱いた。帰国後はプログラミングを学び、実際にプロダクト開発をしたこともある。

「その当時はやりたい分野が明確に決まっていなかったため、起業家輩出とも呼ばれているリクルートでまずは事業開発できる人材になろうと考えました。いろいろなスキルを身につけつつ、時折アイデアを起業家の方に見せてフィードバックをもらっていました。」

あるとき、いつも通りフィードバックをもらうつもりでSHE代表とのランチへ行ったところ、『うちでやってみたら?』と声をかけられた。大企業のリクルートから十数名しかいないスタートアップのSHEへの転職は大きな決断だったという。

「『私20代の間にここまでやってきてるんで』と言える、『紋所』のようなものが欲しかったんです。今後出産してキャリアから一旦離れても、その『紋所』を元にキャリアを再開できるんじゃないかとの思いがあり、20代でのスタートアップへの転職に至りました。」

●コミュニケーションで重要視しているのは心理的安全性


「リクルート時代は理詰め中心の厳しいコミュニケーションが多かったのですが、新規事業にはもっとラフなコミュニケーションの方が合っていると感じています。新規事業って正解がないので、正直思いつきのものが当たることもあるんですよね。普段からアイデアを出しやすい環境を作って、『それいいね!』『じゃあもっとこうしたらいいよね』と、私自身もメンバーも雰囲気づくりは気をつけていますね。」

新しいメンバーが入ってきたときは、「未来を考える会」を開催し、何に対して頑張りたいのか、根源的なところを深掘りすることを大切にしているのだそう。

「新規事業は物凄くカオスな世界で、日々物量もすごい。その中で頑張れる指針は、SHEmoneyの事業としてのwill(やりたいこと)と個人の持っているwillの重なる部分になる。言われたからやるのではなくて、自分がやりたいからこれに関わっているんだという意義づけがすごく大事になってきます。なぜSHEmoneyに関わりたいと思ったのかについて、社員のみならず、業務委託の方や副業としてスポットで入っている方含めて全員とコミュニケーションを取っています。」

ブランドの責任者という立場で、プレッシャーやきついこともある。そんなときはいつも、目的に立ち返ることを意識していると話すまつまりさん。

「もやもやしていることや不安をノートに書き出したり、人に話して整理してもらいます。心折れそう、もう無理やめたいと思ったときに、『なんでやってるんだっけ?』『これって必須なんだっけ?』と自ら問いかけて、目的があって必須であればもうやらない理由はないので奮い立たせてやりますね。」

それでもきついときは、メンバーに「ちょっと行き詰まってるんだよね」「なんか辛いー!」と明るく言ってしまう。

「悩みって1人で抱え込むと辛いですけど、シェアすると負担が減る感覚があるので、話すことで乗り越えてきましたね。」

●リクルート時代の挫折で確立された、フォロワーシップのリーダー像


今ではカジュアルなコミュニケーションが取れるまつまりさんだが、リクルート時代には塞ぎ込んでストレスを抱えてしまったこともある。

「入社3年目で10も20も年上のメンバーもいる大きいプロジェクトのリーダーに選んでいただきました。最初は誰にも相談せず、『これでやりましょう』と決める強いリーダーで行こうとしたんです。ただ、そのせいでチームが崩壊してしまって。ストレスが極限状態で、本当にきつくて。リクルートのリーダー像がいわゆる引っ張っていくリーダーだったので、それが正解だと思って頑張ってきたんですけど、自分のスタイルと違うなと感じました。」

そんな中で、上司や先輩にうまくいかないことをありのまま話したところ、「そもそもやり方が違うのではないか」との助言をもらう。

「一度立ち止まったときに、リーダーにも2種類いていいんじゃないかと気づきました。リーダーシップを発揮できる人は発揮すればいい。ただ私はどちらかというとフォロワーシップの方なので、『私はこれも苦手でこれもできないんだけれど、あなたはこれすごく得意ですよね?ちょっと助けてくれませんか?』とコミュニケーションスタイルを変えました。するとうまく回るようになって、そのプロジェクトは史上初のKPIを達成しました。自分の中の違和感を感じて立ち返ったからこその結果ですね。」

チームのメンバーで、自分の抱えていることを言えない人や、プライドが邪魔してできないことを言えない人がいたときには、目的の視座を一段上げることを心がけている。

「たとえば、人に頼ることが悪だと思っていて、自分で全部仕事をギリギリまで抱えて期日直前でできませんでしたってなってしまう人がいるんですよね。でも人に頼ることはまったく悪ではなくて、むしろいいことなのでまずはそれを伝えます。そのうえで、その人がなぜ自分でやろうとしてしまうのかに寄り添います。圧倒的に成果を上げたくて抱え込んでしまうのであれば、『本当に成果を出して事業を成長させたいなら、いろいろな人の手を借りて、最終的なアウトプットが自分1人で行ったものよりよくなる方がいいんじゃない?』と考え方を変えることをしています。」

いいものを作りたい想いは一緒でも、本人になってしまうと見えなくなる。その変化に気づくようにするために、定例でタッチポイントを設けるだけでなく、メンバーの表情や表現で、普段よりネガティブになっていないかのセンサーを働かせるようにしている。最近悩んでそうだなと感じた瞬間に1on1を入れたり、「ちょっとご飯行く?」「コーヒー飲みに行かない?」と声がけすることもあるようだ。

目の前のメンバーが何を考えているかを常に考え、人の感情に敏感でいることは根底に愛や優しさがあるからこそできることだろう。「優しさの半分は体力である」という言葉があるが、人の感情に想像力を働かせるためには、まつまりさん自身が人のために使う余力を持つ必要がある。

「わたしの尊敬する上司が、どんなに忙しい中でも、こちらが『ちょっといいですか?』と声をかけると絶対に話を聞いてくれる方だったんです。なぜそんなことが可能なのか聞いたら、暇な時間をタスク管理しているとおっしゃっていて。毎日、この時間は絶対に空けると決めて、他のタスクを調整していたんです。なので、わたしも就業時間内に1時間くらいの余白を作るようにしています。」

余力を持って仕事をし、リーダーシップに向き合ったことで、まつまりさんの優しくて強いリーダー像が実現されているのだろう。

リーダーと聞いて、過去のまつまりさんのように引っ張っていくリーダーや強いリーダーをイメージする人も多いかもしれない。しかし、リーダーの形は必ずしも一つではないし、決まった方法もないはずだ。あなたがリーダーになったときには、様々なやり方を探りながら、自分らしいリーダー像を確立していってみてはどうだろうか。


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