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課題設定が壮大になりすぎて、モヤモヤ。

こんにちは。
久しぶりに文章を書きます。

ビジネスに関わっていると、課題が大きくなりすぎることが必ずあります。考えすぎて、地球は・・・日本社会は・・とか、ビジネス慣例が・・・とか・・・。その沼にはまりすぎて、身動き取れなくことを私はビジネスメンヘラと呼んでいます。

そんな方達のためにスマートな見解を私の力でさらっと解決しますよ〜と思いきや、本年1発目は思いっきり引用全開で参ります。

僕のわずか一才年上の石川さんが書いた(全力で嫉妬)、「問い」を「問う」本である「問い続ける力」の中の一節です。

まずはこちらの引用文章をご拝読ください。

1990年12月、妻と10才になる子供を連れて、ジェリー・スターニンはベトナムに降り立った。当時、ベトナムの子どもたちは、約2/3が低栄養に苦しんでいた。その状況を改善するため、「セーブ・ザ・チルドレン(子どもたちを救う国際組織)」から派遣されたのが、スターニンだった。しかし、ベトナム政府は決してスターニンを歓迎していなかった。それどころか、次のような通知まで突き付けたのだ。「六ヶ月で成果を出してください。さもなければ、帰国してもらいます。」通常であれば不可能とも思えるミッションだが、それでもスターニンは諦めなかった。まず現状を知るため、ボランティアスタッフと共に四つの村で基礎調査を行った。自転車で猛烈に走り回り、わずか四日間で2000人以上の子どもたちの体重測定をした。分析の結果、予想通り約64%もの子どもたちが、低栄養にあることが判明した。ここで普通にデータを見てしまうと、低栄養を引き起こす最大のパターンは、「貧困」にあると考えがちだ。しかし、貧困解決のためには大きな対策が必要となり、とても六ヶ月でなんとかなる問題ではない。

ビジネスの局面や、サービス開発における課題設定でも似たようなことはよく起きます。課題は明確にも関わらず、解決するにはスコープが大きくなりすぎ端的に言うと「担当者の手に負えない」となるケースです。

そこでスターニンが注目したのが、「例外的な事例」である。具体的には、データを収集したスタッフに対して、次のような問いかけを行ったのだ。「非常に貧しい家庭で育っているにも関わらず、栄養状態がいい子どもはいましたか?」するとスタッフたちは、「あー、そう言われてみれば、確かに何人かいましたよ!」とすぐに教えてくれた。早速そのような「例外的な事例」を調べてみると、共通するいくつかの報告が見えてきた。

1)食事の前に手を洗っていた。
子どもは手づかみで食べるので、雑菌も口に入れてしまう。その結果、下痢を起こし、低栄養を引き起こす。例外的な子どもたちは、食事の前に手を洗うように言われているので下痢になりにくかった。
2)水田で取れるエビやカニを食べていた
ベトナムは稲作が中心で、1日のほとんどを水田で過ごす。例外的な子どもたちは、水田で取れるエビやカニを食べさせてもらっていたので、貴重なタンパク源となっていた。

こうして得られた知見を基に、スターニンは母親向けの二週間プログラムを作成した。参加者たちは、川で取れる小さなエビやカニの調理法や、食事の前には手を洗うことなどを、実践しながら学んでいった。その効果は劇的だった。「我が子がみるみる元気になる!」と評判を呼んだスターニンのプログラムは、ベトナム全土へと広がっていった。そしてわずか二年間でベトナムの子どもの低栄養は85%も減少したのだ!

帰納法を有効に使うポイントは「いい意味での例外」を見つけられるかにかかっている。もちろん例外なので、パターンが見えるまで例外を集められるかが最大の障壁になる。しかし、今はビッグデータの時代なので、昔よりは断然やりやすくなっている。どの分野でも活用できる手法なので、ぜひ試して欲しい。
引用:問い続ける力/石川善樹/筑摩書房

野心的な課題設定にチャレンジしているものの、何に取り組むべきかにモヤモヤしている方には、もはや僕の見解や解説など不要だと思います。ちょっと視点を変えて、イノベーティブなアクションを世の中に増やしていきましょう!

因みに、特に許諾など取っておりませんので石川さん、筑摩書房さんからお叱りを受けた場合はこの記事を即刻に削除させて頂きます。すばらしい示唆を世の中にアウトプットして下さったことに心からの感謝を持って本記事を記載しましたことをここに申し上げます。

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