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#14 人間だとバレた日

吾輩は人間である。
この言葉に、嘘偽りはない。

風の丘ガーデンでの研修14日目が終わった。
今日の主な作業は、カーネーションの移動とペチュニアの出荷作業。カーネーションは各種類の花弁がポツポツと咲き始め、それぞれ鮮やかな色をお披露目するようになってきた。

個人的にお気に入りなのが「いちごホイップ」という品種。
大の大人の男が「可愛い〜」というには少々甘すぎる名前だが、ピンクと白の組み合わせがその名の通りなので、是非写真を見て頂きたい。

今回、生産に関わったカーネーションは、お世話になった人に贈ろうと考えている。多種多様な色を見ながら、「この人にはこの色が良いかな〜」なんて考えている時間が最近のお気に入りだ。

そういえば、最近ボロが出てき始めた。
というか、出てきたという表現より「バレてきた」という表現の方が正しいかもしれない。

この「ボロ」という言葉の意味は、
"抜けている"とか、"凡ミス"をするとか、"やらかす"とか、
そういう残念な態度のことである。

例えば、
・カーネーションの蕾を観察していたら水やりを忘れる。
・作業中、新品のズボンを引っ掛けて破く。
・意識がどこかに行って、ビスケットをボロボロ零しながら食べる。
・朝作った弁当を家に忘れる。そして夜食べるのも忘れる。
・財布を車のボンネットに置いたまま発進、そのまま駐車場に落とす。

などなど。
学校、仕事場、プライベートで長い付き合いをした人たちからすれば、相変わらずだな、ときっと思ってもらえる安心感がある。しかし、新しい人間関係を構築する上で最も問題かつ恐怖を感じるのは、最初の印象からの下落、つまり「減点方式」で評価されることである。

風の丘ガーデンのみなさんから言われた。

「最初は完璧な子だと思ったよー」

いやいやいやいや、本当にダメなとこばっかですから、、!

「でも、最近は人間が出てきたね」

人間が出てきた…
そうか、つまり最初の私は人間じゃなかったということか…。
人間じゃないとすればなんだろ…ロボット??

とにかく、最初の印象から残念な部分が徐々にばれ、減点方式によって「相徳は人間だ」という評価に着陸したらしい。

ただ、心なしか皆さんとの距離感が近くなった気がする。

「皆さん!私は"人間"です!!」

大にして言える環境で本当に良かった。


20歳のあたりから、人とのコミュニケーションのやり方がよく分からなくなった。
社会人になると、上司が社長になった。目の前の人間からお金を頂き、"生かされている"という感覚。自分で必要以上の上下関係を構築し、顔色を伺い、言葉の真意を読み解こうとする日々。気づけば、人間関係そのものに恐怖を抱くようになっていた。そして徐々にボロが出て関係が破綻。こんな人と思わなかったと言われることに怯えるように。

最初の印象と中身が違う。

なんだか詐欺師みたいだなぁ…。

と真剣に悩んでいた時期もあった。

大学を卒業して、社会人になって、仕事で素を出せたのはもしかして初めてかもしれない。

もう一度言います。

「皆さん!私は"人間"です!」


カーネーションは、綺麗な花を咲かせる。
しかし、今は綺麗な花弁も、出荷の際には剪定作業で徐々に鬱陶しくなってしまうらしい。
きっと忙しすぎて余裕が無くなっちゃうと思うけど、
心構えとしては、最初に感じた「綺麗だな」という感情を保ったまま、見送りたいなと思う。




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