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電球交換で甥の成長を知る

コロナ禍となって以降、離れた場所に住んでいる家族と気軽に会えない時代になった。
徒歩10分という超近距離に実家がある私でさえ、高齢の祖母がいることを考え、用事がある時のみ短時間だけ顔を出す。

実家に住んでいる妹や、その子供である甥や姪とも、ほとんど対面では話せていない。
そんな中、今日わざわざ甥が私の家へ電球交換にやってきてくれた。

甥の成長と、コロナ禍との向き合い方について思うところがあったので、記憶が鮮明な内に記しておく。



はじめての電球交換って何歳でするものなんだろう?

私は結婚しているが一人暮らしをしている。
誤解のないように言っておくが、離婚調停中とか別居婚とかではない。
過去の経験から夫の転勤に着いていかなかっただけで、その理由は下記の記事で察してほしい。

私は男に頼って生きている人生なので、とにかく力仕事が苦手だ。
だから「電球の傘が固くて外せない」みたいな馬鹿馬鹿しい事象でも困ってしまう。

そこで頼りにするのが今年中学3年生になった甥だ。
早速連絡を取ると「やったことないけどやってみる」という頼もしい返事が帰ってきた。
こうして久しぶりに甥と対面することになる。


「やればできる」を体現してくれた

午前授業だった甥が直接うちに来て「はじめての電球交換」をしてくれた。
脳内では「だーれにーもー」という、はじめてのおつかいソングが流れていたが、思ったよりもスムーズに作業は終わった。

折りたたみ式の踏み台に「これ壊れないよね…?」と不安がったり、「なんか上手く嵌まらない!」と試行錯誤はしたものの、無事に電球は交換できた。
「これ結構固かったから、男じゃないと無理かもね」
なんて言う甥に逞しさと成長を感じる。

多様性や差別根絶が叫ばれている世の中だが、男性の力強さを女性は補うことができない。
そして女性のやわらかさを男性が補うこともできないのだ。



コロナ禍の中学生の現在

作業後、お昼ごはんを食べながら色々な話をした。

私は少なくとも良い大人ではない。
どちらかと言えば悪い大人に分類される。
だから「教育上よろしくないからこういう話題は避けよう」といった配慮はしない。
従って中学生の甥に対しても子供扱いはしない。

タバコが増税する。
この前飲んだワインの味わいについて。
今日作った料理の隠し味の話。

普段大人に対するのと同じような話題を振る。
すると甥は予想以上に関心を持って聞いてくれるのだ。

「それってどういう意味?」と疑問を投げ掛けられれば分かりやすく説明し、「僕はこう思うけどなぁ」と言われれば素直に受け止めた。
そして甥も、家ではできない話をしてくれる。

好きな子はまだできそうにない。
母から「書店員になる」という夢を反対されていること。
コロナ禍で遠出することへの違和感。

私は冗談めかしながらも、真摯に甥の話に向き合った。
町の本屋の未来が暗い話や、恋愛の機微について言葉を尽くす。
中でも私が心を打たれたのは、彼のコロナ禍に対する向き合い方だ。



「若い世代」だけで括っていいのか

甥は感染対策に対してかなり高い意識を持っている。
私も甥もワクチン接種を2回済ませているため、「家族なんだしマスク外しても良いよ」と言っても「僕は学校で外に出る機会が多いから」と言って、普段家に閉じこもっている私を気遣ったのか、食事時以外はマスクを外さなかった。

ニュースや報道バラエティーで散々報じられている通り、「若い世代は感染対策への意識が低い」と世間では思われている。
私も「中学生男子なら、早く遊びに行かせろ!とか思っているだろうなぁ」と考えていた。

ところが甥は違った。
小学生の姪に出された絵日記の宿題にさえ、「コロナ禍でこんな宿題出すのってどうなの?」と疑問を呈した。
実際、姪は「家でゲームしてるだけの絵日記なんて書きたくない!」と駄々をこね、結局甥が水族館へ連れて行ったのだ。
そのことを甥は「こんなの間違ってるよね。今はあちこち出掛けちゃいけないのに」とボヤいている。

もちろん「コロナなんて風邪」と考えて自由に行動している若者もいるだろう。
でもその影で、本気で新型コロナウィルスという脅威に向き合い、自分の行動を律している若者もいるのだ

私は甥の青春を奪ったコロナを決して許さないが、彼は静かに現実を受け入れている。
だからどうか、「若い世代」という括りで彼らを観察しないでほしい。
先の見えないこの世界で、なんとか自分なりの生き方を模索している若者たちを、どうか見守ってあげてほしいと思います。

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