ついうっかり連続殺人事件に巻き込まれたら(1930文字)
みなさんは推理小説や謎解き映画といった、いわゆるミステリ物はお好きだろうか?
私は好きだ。
しかし好きすぎるがゆえに、困ったクセがある。
全力で犯人を当てに行ってしまうのだ。
今回はそんな私のどうしようもないクセをなんとか世のため人のために役立てようと、みなさんが絶海の孤島や山奥の洋館で連続殺人事件に巻き込まれた際の一助となればと思い、筆を執った次第です。
ストーリーを楽しめない
例えば小説の場合。
話題になっている本の帯には「99%が騙される!」だの「誰も予想できない犯人」だのと煽り文が入っていることがある。
この時点でもうダメ。
「あ、素直に読んじゃいけない系ね?了解」と、完全に戦闘モードに入ってしまう。
作者の仕掛けた罠に掛かってなるものか、と一字一句に目を配り、伏線と思しき箇所をシラミ潰しに探していく。
少しでも不自然な一文を見つければ「おやおやぁ?上手に隠してるつもりかもしれねーが、かわいいあんよが丸見えだぜー!ヒャッハー!」と、逃げ隠れる村人を探し回る鬼のように、ネチネチと作品を読み込むのだ。
映画についても同様。
「あなたは絶対に騙される」だの「この謎、解明不可能」だのとキャッチコピーが入っているともうダメ。
映画の冒頭から「登場人物に特徴的なクセは無いか」「背景に不自然な点は無いか」など、目を皿のようにして画面全体に気を配る。
ポップコーンなど食べている暇は無い。
おかげでストーリーがまったく頭に入ってこないのだ。
事件は突然やってくる
さてみなさんは連続殺人事件モノというのはあくまでもフィクションであり、自分には関係ないからこそ楽しめる、と思われることでしょう。
いけません。
「自分は関係ない」という考え方は良くありません。
いいですか?
人生は常に「かもしれない運転」が大事なのです。
無人島の所有者からパーティーの招待状が届くかもしれない。
山奥に建てられた資産家のお屋敷に招かれる日が来るかもしれない。
そこで数々の推理モノと戦ってきた私の経験から、みなさんが万が一「連続殺人事件に巻き込まれてしまった時」に役立つ情報を提供したいと思います。
題して「こんな奴は疑え!生き延びるための豆知識」。
その1 親切な奴を疑え
連続殺人事件では、探偵役に対してやたらと協力的な奴が出てきます。
旧知の仲でもないのに親切にしてくれて、タイミング良く脱出アイテムを見つけてきたり、いち早く殺人現場に駆けつけたりするのです。
怪しいですねぇ…。
「自分は味方である」というアピールのために、あえて危険な役回りを買って出たりします。
決して心を許してはいけません。
その2 年齢を疑え
足腰が悪く、いつも杖を付いているようなご老人が居合わせている場合もあります。
この人にはとても殺人は無理だろう、と早い段階で容疑者リストから外されることが多いでしょう。
本当に老人かなぁ…。
そもそも足腰はどのくらい悪いのか?
実年齢はいくつなのか?
怪人二十面相のように変装をしている可能性もあります。
気を付けましょう。
その3 死体を疑え
序盤であっさり殺されてしまった人物というのは、みんなさっさと忘れていくものです。
実際に死体が見つからなかったとしても「これはどう考えても助からない」という状況であった場合、死んだ者として処理されてしまいます。
生きてるんじゃないかなぁ…。
実は犯人が死んだふりをしていただけというパターンも結構あるので、「本当に死んでいるのか」「生きている可能性は無いか」を検証することを強くオススメします。
その4 美女を疑え
我々一般人は、ついつい美女=正義と考えてしまいがちです。
「こんなかよわい女性に殺人などという恐ろしいことができるはずがない」というバイアスがかかり、むしろ保護の対象になったりします。
でも女は強かだからなぁ…。
特に探偵役に好意を持っているように近付いたり、過去の苦労話などをし始めたら注意しましょう。
余談ですが、東○圭○作品に「色白で陰のある美女」が出てきたら大体そいつが犯人です。
連続殺人事件に巻き込まれた時の準備をしておこう
いかがでしたでしょうか。
「備えあれば憂いなし」と言います。
みなさんも常に連続殺人事件に巻き込まれる可能性を頭に入れておき、入念にシミュレーションを行っておいてください。
さて今回の記事、実はこちらのコンテストのために書きました。
本来は参加するつもりはさらさら無かったのですが、草葉の陰に身を隠していたところを渡邊さんというスーパードクターに見つかり、〇〇について思うことというクレイジーな名前の男に土下座で頼み込まれたので今回執筆いたしました。
ちなみに優勝賞金1,000円だそうなので、みなさんもおやつ代やタバコ代を稼ぎにゼヒ奮ってご参加ください。
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