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育休中の医者、副業、非常勤勤務はしてもいいのか?

40代の女医なつ🌱です。
こんにちは。

今回はたまに女医友人や後輩に聞かれる、育休中にバイトしていいの?について答えます。


育休って何だっけ?

育休は育児休暇のことです。
産休は産前産後の女性しか取得できませんが、育休は子を持つ男性も取得できますね。
こんな記事も前書きました。育休の定義についてはこの記事をどうぞ。


育休中も非常勤勤務の声がかかりやすい医者


バイト先がワクチンの時期や花粉症の時期に人手が足りなくて、、、
介護休暇で傷病休暇で、ちょっと人手が、、、、慢性的に人手が、、、
どこの病院も人員不足ですよね。

育児休暇で手が空いていることを周囲の医者仲間に知られて、かつ、人あたりや臨床能力が悪くなければ声がかかりやすい医者世界。

え?先生、休暇中で今空いてるの?
え、お母様に少し赤ちゃん見てもらえるの?
なら、ちょっと手伝いにきてくれない?

なんて声かかったり。そしてちょっと暇だと仕事したくなっちゃう仕事が大好きな人が医者には多いですよね。
あとやっぱりもう少しお金が欲しい、っていうのは、職を問わず共通ですよね。たまにこっそりバイトしている先生もいるようです。しかし本当にしていいのか?

育休中に副業、バイトしていいのか?


違法ではありません。


実際最近は副業をしている人も多い時代。医者じゃなくても会社員で産前から副業していた方は、常勤復帰はしないけど副業は休むことが難しく、休暇中に副業を再開することも多いみたいです。

違法ではありませんが、就業しながら育休手当をもらうには条件があります。
まあ普通に考えて雇用保険側からしたら、就業できないから手当支給したはずなのに、お金だけ取られ続けて他で稼いでいるなんて、おかしな話です。

厚生労働省、労働局、ハローワークの「育休中の就業に関する見解」はこちらです。

就業した場合は申告が必要。
就業している日が10日を超えてかつ就業している時間が80時間を超える場合は育休手当は支給されない。
・また、就業した時点で育休賃金月額の80%まで支給額が減額になります。また実際支給額は、減額された月額から終業で稼いだ額を引いた額の支給になります。

厚生省・育児休業給付金

まあ雇用保険側からしたら当たり前ですよね。
育休賃金月額の減額については上記の厚生労働省のリンク先を見てみてください。

上記踏まえると、もし育休中の医者がバイトをしたら月に2回バイトしたくらいで、その月の育休賃金は支給停止になりそうです。就業してもいいけど完全にボランティアですね。もうちょっと稼ごう、には当てはまりません。

そもそも、育休手当っていくらもらえるんだっけ?というのはこの記事見てくださいね。


倫理的には?

育児休暇中のバイトなど就業するのは違法ではないことがわかりました。前述の条件だと医者は2回くらいの非常勤バイト働いても育休手当が支給停止となるので、働くなら完全ボランティア。大体の育休中の方が手当減額や停止と聞くと就業しないと思うんですが、それなら振り切って育休手当を捨てて、週2日勤務とか、もっと非常勤バイトして稼いでしまおうとする人がたまにいます。医者の常勤と非常勤の給与設定バランス悪いから成り立つ考えですね。
育休中で社会保険料免除のまま、非常勤した方が得でしょ、っていう悪い輩が出てくることもあります。

って、、、医者のバイトで月8日?常勤先の雇用保険で社会保険料免除にしてもらっておいて?それ普通にめちゃ働いて稼いでるじゃん!常勤先からしたらそんなに働けるならじゃあ復帰しろ!って気持ちになりますよね。
てかこういう人ってそれ雇用保険組合に申告してるのかな?大体こういう人はちゃんと申告しないんですよね、、、。まあ聞いてないからわからないけど。
(雇用保険の悪質な不正受給は、今まで受給した額の3倍を納付するペナルティらしいです。みなさんお気をつけてね。)

個人的な倫理感としては、親や知り合いのクリニックが人手が足りなくて、スポットで困ってるとかであれば手伝うのはいいのではないでしょうか。計画的に定期でバイトするのはアウトだと思います。そしてハローワーク(雇用保険組合)への申告はしっかりしましょう。


最近の育休話で思うこと


最近、医者男性も育休を取ることが増えてきましたね。
私の男性医師後輩も数名育休を取ったと聞いたし、以前職場で男性看護師さんが育休で数ヶ月休んでいるのも見ました。

個人的には喜ばしく良い流れとも思うのですが、こういう制度が一般化してくると悪用する人もいるのが悲しいこの世の中。

以前の職場や、顔を出している他の職場で、男性育休のうち、何名かそのまま復職せず退職したと聞きました。
育児休暇を復帰前の3月まで使って、4月に復職しないで退職。

多分上記のように育休中に振り切って働いて、こっちの方が働き方いいじゃないか、的な感じで、退職したのかなと思います。(噂では皆働いていたみたいなので、、育児のための育休じゃなかったんかい。)

復職せず退職、は、男性に限らず女性でもたまにいらっしゃるようですけど、女性は育児が大変だったり(産後うつや病児のケアが大変であったり)配偶者の転勤でやむなく、、、という話が多いように思います。しかし、男性は計画的な育休からの退職が多いような印象を受けています。

当人的には法は犯していないし受けられる権利だ、と主張するんでしょうけど、個人的には本当に良くないことだと思います。制度を悪用する人が増えると、その制度自体廃止になったり縮小することになり、本当に困っている弱者に届かなくなるのが世の常だからです。

育休からの計画的な退職、その選択をする背景には、職場内の不和だったり待遇の問題だったり、退職を選択した側も言い分はあるんでしょうけど、、、。

また、職員が育休取得中すると、職場側はなかなかその部署の常勤勤務の人員枠を増やせない。だって戻ってくるはずだから。その間、非常勤で埋めるか、残った常勤で仕事を補わないといけない。人員不足は短期なはずだから。短期なはずであるが故、その間同僚に明らかに皺寄せがいくというのは、馬鹿でなければすぐわかる話なのだ。

ところが、戻ってくる時期の直前に(育休手当をもらうために)、裏切るように退職を知らされたらどうだろうか。

自分が穴を開けて、その間埋めてくれた恩はきちんと返そうよ、最低限返してから退職しようよ、育児休暇は育児のためのものであり、社会保険料免除してもらって転職を考慮する期間じゃないんだよ?
という私の意見は古いのでしょうか、、、。


おわりに


というわけで、
育休中の医者非常勤バイトは、

ボランティアのつもりならOK!ちゃんと申告しましょう。でした。

そして個人的には、育休後はのっぴきならぬ事情ない限り、ちゃんと元の職場に復職しましょう!と思います。

立つ鳥跡を濁さず、という言葉がありますが、私も医局人事や医局退職の際に職場を去る前は、できるだけ残った人、引き継ぐ人が大変じゃないように整えてから立つようにしていますした。私の性格でもありますが、人生において不要な恨みを買いたくない、処世術でもあります。

みなさんご存知の通り、医者世界は本当に狭いですからね。
前職での所業というのはすぐ伝わるものです。良くも悪くも。

それでは、また。



上の話とは全く関係ないのですが、皆さん「くるみっこ」知ってますか?鎌倉の銘菓なんだそう。付き合いの長い患者さんが、飴ちゃんくれるように2つ急にポッケにねじ込んできました。汗
「娘に最近流行ってるお菓子貰ったの。先生にもあげる!」
気持ち嬉しいです、ありがとうございます。

調べたら昔からあるのね、最近、流行ってるのかな?
缶が可愛くて贈り物に良いなぁと思ったのでご紹介です。


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